政府が閣議決定した「平成29年版消費者白書」で、2016年の消費者トラブルの傾向として、健康食品や化粧品を「お試し」で購入したつもりが、「定期購入」の契約となっていたというケースが指摘されている。相談件数は4年間で20倍にも増加しており、消費者庁も注意喚起を促す。

特別価格は「定期購入」が条件 目立たぬ記載でトラブル多発

消費者庁,詐欺
(写真=PIXTA)

同白書によると、2016年に消費相談センターなどに寄せられた消費生活相談の件数は88万7000件で、前年と比べ約5万件の減少となった。全体の相談件数は減少しているが、新たな販売手法が次々と生まれる中、相談件数が増加しているトラブルもある。

「お試し」のつもりで購入したが、実際の契約は「定期購入」となっていた。こうしたケースを巡るトラブルが急増している。「定期購入」に関するトラブルは2016年に1万3129件に上り、2012年の658件から4年間で実に20倍となっている。

「定期購入」を巡るトラブルでは、一定期間のみ特別価格で商品を提供するが、その条件として「定期購入」が必要であると契約で謳うケースが目立つ。特別価格について大々的に宣伝する一方、「定期購入」が条件であるとの文言は小さく記載されていたり、購入時に目につきにくい場所に表示されていたりする。消費者は「お試し」期間後に「定期購入」を検討する流れを想像するが、実際は「お試し購入」と同時に「定期購入」の契約を結んでしまっているのである。

こうしたトラブルは酵素やダイエットサプリメントなどの健康食品で多発している。全相談件数の内、7割強にあたる9678件が健康食品となっている。他に青汁などの飲料や美容クリームなどの化粧品でも同様のトラブルは起きている。また、相談者の約8割は女性となっており、SNSの広告に表示される「初回お試し価格○円」などの記載を見て、注文をするケースが多いという。消費者庁はトラブルの増加を受け、消費者への注意喚起を促すなど、対策を進めている。

相談内容は日々変化 新たなトラブルには要注意