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今回は、原油価格とカナダドルの相関関係について書いていきます。まず、そもそも論として相関関係と因果関係の違いを説明した上で、実際に原油価格とカナダドルの相関関係を見ます。その上で相関関係の背景を考察した上で、シェールガス革命の影響を見ます。また、同様の事例も紹介します。


相関関係と因果関係

相関関係は、2つの事象について「一方が大きくなればもう一方も大きくなる」等の関係がある事を指します。例えば、「夏の平均気温」と「かき氷の売上」の関係が挙げられます。暑い夏の年の方がかき氷が多く売れる傾向があるといった関係です。

しかし、相関関係があるからと言って、そこに論理的な因果関係が存在するとは限りません。例えば、小学生をサンプリングして、「各生徒の体重」と「各生徒の数学能力(試験で計測)」をプロットした場合、恐らく相関関係があるでしょう。しかし、「体重が重いほど数学能力が高い」傾向があるにしても、「体重が重いから数学能力が高い」わけではなく、「年齢」や「累積の勉強時間」といった別の要因が存在するから相関しているのであって、体重の多寡が数学能力を決めるのではありません。(小学生は年齢によって明確に体重の平均が異なり、結果として重い小学生ほど高学年の傾向があり、数学の試験の結果に差が出ます。)こうした現象を「擬似相関」と言います。では、この事に注意して原油価格とカナダドルの関係を見ていきましょう。


原油価格とカナダドルの相関

下図1は、米ドル/カナダドルレートとWTI原油価格の推移を示しています。一見して分かるように、一部の時期を除き、原油価格が上がるとカナダドル高になる傾向があります。特に2000~2012年の相関は高そうです。

図1:WTI原油価格とカナダドルレートの推移

図1:WTI原油価格とカナダドルレートの推移

出典: 世界経済のネタ帳

注:左軸は原油価格(ドル/バレル)、右軸は為替レート(ドル/カナダドル)

相関係数は、1980~2013年では0.501と中相関というぐらいですが、2000~2012年に関しては0.967と極めて高く相関しています。

カナダドルの名目実効為替レートと原油価格を見ても、ほぼ同じ動きをしており、図2のように2000年頃からの相関が極めて高い状態になっています

図2:カナダドルの名目実効為替レートとWTI原油価格の推移

図2:カナダドルの名目実効為替レートとWTI原油価格の推移

出典: 世界経済のネタ帳

注:左軸は原油価格(ドル/バレル)、右軸は為替レート指数


相関の背景

では、この最近の為替レートと原油価格の高い相関の背景には何があるでしょうか。いきなり結論を言う前に、その理由について2つの仮説を立ててみましょう。

仮説1:カナダの原油輸出量が増え、そのことによるカナダドル買いが増えている。

仮説2:因果関係は無く、擬似相関にすぎない。

まず仮説1を検討してみましょう。単に原油価格が上がるだけならカナダドル相場には無関係なはずですが、もし、カナダの原油輸出額が増えているならば、その取引の為にカナダドルが買われるので為替レートが上昇するかもしれません。

図3がカナダドルの名目実効為替レートとカナダの原油輸出額の推移を示しています。図のように、1990年代終わり頃まではカナダの原油輸出が減り続けていましたが、2000年頃から輸出が急激に増加する傾向にあります。これは、2000年頃まではカナダにおける原油の重要性が低下していた事によって為替レートの影響が小さくなり、2000年頃からカナダにとっての原油の重要性が高まって相関が強くなったと解釈する事が可能でしょう。

図3:WTI原油価格とカナダの原油輸出額の推移

図3:WTI原油価格とカナダの原油輸出額の推移

出典: 世界経済のネタ帳

注:左軸は原油価格(ドル/バレル)と原油輸出額(10億ドル)。

では、仮説1は正しいのでしょうか。残念ながら、因果関係というのは簡単に証明出来るものではなく、擬似相関である可能性もおおいにあります。例えば、「資本取引の障壁が無くなるにつれて、既存の理論通りに経済成長の度合いによって為替レートを説明出来る環境になった」と解釈し、「経済成長による為替レートの上昇」と「経済成長による原油需要の増加」という2つの相関が組み合わさっている擬似相関である可能性もあります。図4は、カナダの実質経済成長率とWTI原油価格の前年比変化率の推移を見ていますが、少しずつ為替レートと相関するようになり、2000年以降はかなり連動するようになっています。

図4:カナダの実質経済成長率とWTI原油価格変化率の推移

図4:カナダの実質経済成長率とWTI原油価格変化率の推移

出典: 世界経済のネタ帳

注:左軸は実質経済成長率(%)、右軸は原油価格変化率(%)

このように、どちらの仮説も十分に有り得るので、相関関係が見つかったからと言って因果関係があるとは限らない事に注意しなければなりません。(他の仮説が成立する可能性もあります。)


シェールガス革命の影響

筆者の立場としては、両方の要因が働いているという考え方です。とは言え、ここで複雑なモデルを組み立てて実証分析を行う事はしませんが、仮に原油価格が為替レートに因果関係をもたらすと考えた場合でも、その因果関係が弱まる可能性を考慮しなければなりません。

その一つがシェールガス革命で、シェールガスに限らず、別の代替エネルギーが発達すれば、相対的に原油の重要性が小さくなるわけであり、そうなればカナダドルが売られた後に、原油価格との相関関係が弱くなるというシナリオは有り得ます。尤も、カナダはシェールガスも多く出ており、原油からシェールガスのシフトというだけでは、相関する資源が変わるだけかもしれません。


同様の事例

原油価格と為替レートが相関するという事例はカナダドルに限らず、他の通貨でも見られます。筆者が調べた例ではロシア・ルーブルと資源価格の相関があります。他にも、オーストラリア・ドルや南アフリカ・ランドなど所謂「資源国通貨」と呼ばれる通貨と資源価格との相関が高いという例が多数あります。

但し、「確実に儲けられる情報」が広まってしまった時点でその情報が無に帰す場合がある事には注意しましょう。実際、オーストラリア・ドル等資源国通貨と資源価格の相関性が低下しているという報告もあった事を補足して終わりにしましょう。投資をする際などは、安易に決めてかからずに注意して取り組むことが必要といえるでしょう。

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参考: 豪ドルなど資源国通貨、商品相場との相関性が低下-旺盛な逃避需要で(Bloomberg, 2011/07/25

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