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これまで主に金融会社のシステム開発に携わってきました澤田と申します。今回は、新興国投資のポイントを株式投資の切り口からまとめてみました。


新興国投資のポイント

最近までは、新興国への投資といえば、企業の情報開示が不十分であるなどのため投資のための情報が不足していたり、経済や株式市場自体が不安定であるため、特に個人投資家にとっては簡単ではありませんでした。しかし、最近では、金融商品も充実してきたことから新興国の台頭は株式投資の分野でもトレンドと見られ、リスク管理はもちろんリターン獲得を追及する上でも、選択肢の一つとして注目されています。先進国の経済成長が停滞している傾向にある中、高い経済成長を示しているのが新興国ですが、一般的には「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」や「VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)」などが新興国にあたり、これからも経済成長の余力が残っていると考えられ、株価も上昇しやすい傾向にあると言えます。このため、新興国への投資のポイントの一つには、ある程度長期的な視点から投資することであると一般的には言われています。株式市場においても新興国では、短期的に見れば先進国に比べて、株価変動の振幅が大きくなる傾向にあります。新興国では一時的な外部要因による株価変動の下落幅も大きくなる傾向にあるため、それがファンダメンタル等の根本的な原因によるものでなければ、保有株式を即座に手放すことが適切でないケースも少なくない言えます。


経済成長と株式相場の相関性

一般的には国の経済成長とその国の株式市場全体の相場の間には高い相関性があると言われています。ある国の企業価値の向上は経済成長の原動力であり、経済成長が続いている間は、その国の全体的な株価水準は上昇傾向になるのが一般的です。逆に経済が成長している間は、その国の企業にはビジネスチャンスが訪れやすい傾向にあり、そう言う意味では新興国の株式への投資は、新興国の高度成長の恩恵を受けやすい投資であると言えます。つまり、その国の全体的な株価水準を上昇させるためには、その国の経済が盛り上がっている状態であることが必要であり、株式投資においても、経済が減退傾向にあり、損をしている人が多い中で利益を出すことは比較的難しいことであるのに対して、逆に利益を出している人が多い中で利益を出すことは比較的容易であると言えます。株価水準は短期的に見れば、市場心理などの影響により不規則な動きをすることがあるものの、長期的に見れば、その国の経済成長率が反映される傾向にあります。そういう意味では、長期的な投資が前提の株式投資において、銘柄の選択も重要ですが、それ以上に株式市場の選択が重要であると言えます。


新興国株式への投資方法

新興国株式への投資は、投資信託等を購入して行うのが一般的です。現地株や米国預託証券(ADR)等を直接購入するという方法もありますが、取り扱っている金融機関が限られ、また取り扱い金融機関においても、投資対象国や投資対象の株式銘柄が制限されており、情報の不透明感もあることから特に個人投資家が投資対象国や企業の情報を収集し、投資する銘柄を選択するのは、容易なことではないというのが現状です。新興国の株式への投資については、企業の大きな成長が期待できる反面、市場や企業の情報把握が難しく不透明感があることや倒産によるリスクも大きいことから、リスク分散ができ、投資対象国のプロの知識を活用でき、比較的安い費用から購入できる投資信託が適しているといえます。また、新興国の株式への投資はリスクも高いことから、全体の運用資産の中で占める割合をあまり高くせず、各々のリスク許容度に応じて購入する必要があります。


新興国株式投資のメリット

前述しました通り、個人投資家が新興国の株式に投資する方法としては、新興国の(株式)投資信託等を購入するのが一般的ですが、新興国は、高い経済成長率を示していることが多く、一般的には経済が成長すればするほど、内需が拡大して輸出も増加するため、国内の企業にはビジネスチャンスが訪れやすく、全体的な株価水準も上昇する傾向にあります。これも前述しました様に、新興国の経済成長は一時的な流行や市場心理などによる影響などではなく、今や新興国における生産高は、世界中の生産高の中でも大きな割合を占めています。本来、株式は長期的な投資対象であるため、短期的な将来ではなくて、長期的な将来において新興国の経済がどうなっているかを予測して投資することになります。従って、長期的に新興国の株式に投資することは、安く買って高く売却できる可能性が高くなると言えます。新興国株式投資の大きな魅力の一つは、この様な長期的に見た場合の、経済成長の果実であり、また新興国の株式への投資はリスクも高いことから、長期的な展望のもと余裕を持って投資を行う必要があると言えます。


新興国投資のリスク

新興国投資の大きな魅力にハイリターンがあげられますが、当然のことながら、それはハイリスクの裏返しでもあります。それは、先進国に比べて新興国が政情不安、経済不安、インフレ懸念など不安定な要因を抱えているからです。これらのリスクがひとたび発生した場合、株価や為替レートが急落する可能性もないとは限りません。実際に、近年においても2000年代前半のアルゼンチン、トルコ、2010年代のギリシャ、アイルランドなどのように新興国の経済危機は発生しています。新興国投資のリスクには、カントリーリスクや為替リスクなどがあります。

カントリーリスクとは、投資・融資先の国の政治・経済・社会などの情勢の変化等から、予期しない損失や資金回収不能が発生するリスクのことを言います。従って、外貨建ての金融商品に投資する場合などには、当該国のカントリーリスクを把握して、充分に注意しておく必要があります。また、為替リスクとは、外貨建て金融商品への投資者が、当該国の為替相場の下落によって損失を被るリスクのことを言います。こちらも為替レートの変動には注意して、リスクが高いと予想する場合などは、為替ヘッジなどの対策を講じることもできます。確かにハイリターンは新興国投資の大きな魅力ですが、その分のリスクを過小評価していると、投資家のライフプランに対して不相応にリスクの高い投資を続けてしまうようなことにもなり、場合によっては大きな損失を被ることになりかねません。投資家のライフプランやライフステージなどに応じて、リスク分散をはかり、新興国投資の割合を調整することが望ましいと言えます。

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