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先週のマーケット動向 先週の株式市場は、前週末の世界株安にもかかわらず、好決算を下支えに底堅いながらも3日続落してスタートしました。その後も米欧株安が重しとなり、利食い売りに押される展開が続きました。週末には米株安と円高が嫌気され売り優勢となる中、オバマ米大統領がイラクへの空爆限定の軍事行動を承認したことが伝わり、リスク回避の売りに加え、海外勢によるヘッジ売りも膨らみ、下げを加速させました。

各日ごとにポイントを整理すると以下のようになります。
8月4日 米株安を嫌気し、買いが続かず3日続落
8月5日 低調な中国非製造業PMI、円相場の強含みで投資家心理が悪化したことで、4日続落
8月6日 地政学的リスクが再燃し、対ユーロでの円高も警戒したことで5日続落
8月7日 GPIFを巡る報道をきっかけに切り返し6日ぶりに反発。重要イベントを控え、上値は伸び悩む
8月8日 「イラク限定空爆の承認」で売り加速。円高進行、先物のヘッジ売りが下げに拍車をかけ、日経平均は454円安と大幅に反落。


今週のマーケット予想

来週(11~15日)の東京株式市場は、地政学的リスクという外部要因に大きく左右される可能性が高いです。国内は、お盆休みのため、市場参加者の減少に伴う取引高の低下が予想されます。 今週末の強烈な下落に対する懸念と、値ごろ感からの反発の動きが混在する地合いとなりそうです。 日経平均株価の想定レンジは、1万4500~1万5000円とします。東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は8日に78%と一般に底値圏とされる70%に接近してきました。 4~6月期の決算発表が残り少なくなるなかで、最大の注目点は、13日発表の4~6月期の国内総生産(GDP)となります。 消費増税に伴う個人消費の後退などが、どの程度の数値となっているかに注目が集まります。 市場の予測ではマイナス6%〜9%台で推移すると予想されているため、これより下ぶれするのかどうか、が注目点となります。

また、先週GPIFが9月以降の運用に際して、株式の組入比率の上限を撤廃するとの報道がありました。 この報道に対して株式市場はポジティブに反応して買いが入りました。 特に海外投資家は日本の株式市場の支援材料が少ないので買い材料を探して取引を控えていました。従ってこのニュースによって買い戻しが入ることが予想されます。 来週も一定の買いは入ってくると予想されます。総括してみると、来週の相場は膠着が続くと考えられます。


今週の注目すべき経済スケジュールと指標まとめ

来週の相場スケジュールをまとめたいと思います。
8月11日 ①第3次産業活動指数、②工作機械受注
8月12日 ③企業物価指数、④独ZEW景況感指数など
8月13日 4-6月GDP速報、⑤米小売売上高
8月14日 機械受注、⑥独4-6月GDP速報値、⑦米消費者信頼感指数
8月15日 英4-6月GDP改定値、⑧米鉱工業生産指数

これらの指標の注目点をそれぞれ説明していきます。

①第3次産業活動指数 これは第3次産業(非製造業、広義のサービス業)に属する業種の生産活動を総合的に捉えることを目的としている指標です。 これを注目すべき理由は今回の日本の景気回復が製造業ではなく、非製造業主導であると言われているためです。 この指数が予想を上回る・下回るサプライズがあれば株式相場も連動するでしょう。

②工作機械受注 これは設備用機械類の受注状況を調査した経済指標です。 これは企業による設備投資の動向を把握するためのものです。設備投資の動向が上向きだと景気にプラスであるため、注目される指標の一つとなっています。

③企業物価指数 企業間で取引される財(商品)の価格の変動を示す指数です。国内企業物価指数・輸出物価指数・輸入物価指数で構成され、日本銀行が月次で公表しています。企業向けサービス価格指数がサービスを対象とするのに対し、企業物価指数は工業製品・農林水産物・鉱産物・電力・都市ガス・水道などを対象としています。商品の需給動向を把握し、景気動向・金融政策の判断材料を提供するため、注目すべき指標の一つとなっています。また、企業物価指数は消費者物価指数とある程度相関するため、インフレ率の予想のために注目される指数となっています。

④独ZEW景況感指数 民間調査会社・ZEWが発表する景気先行指数です。次の半年の景気見通しに対する調査で、一般的にはこの指数が50を超えると景気が良いと判断されます。ドイツ経済は欧州経済の牽引役であるため、この指標も注目される指標の一つとなっています。

⑤米小売売上高 小売売上高は小売業及び飲食店の売上を供給面から見た指標で、米国の経済指標の中でも最も注目される指標の一つとなっています。 個人の消費動向を見る上で重要な指標となっています。

⑥4-6月GDP速報 GDPは一国経済の動向を図る上で最も総括的なマクロ経済指標であり、最も注目を集める指標の一つであり、この数値如何で株式相場は大きく変動うることになります。

⑦米消費者信頼感指数 経済・雇用・所得などに関する調査に基づいて算出される市場です。これは家計の動向を把握するために参考にすべき指標の一つとなっております。 この指標の注目点は以下の二点です。 ⑴「期待指数」は実質個人消費との連動性が高い傾向にあること ⑵現在の雇用環境に関する質問の「就職が困難」という回答は失業率との連動性が高いこと という二点が挙げられる。米国は中央銀行が操作目標として失業率を挙げているため、雇用統計への注目度が非常に高い国となっているため、連動してこの指標への注目度も高くなっています。

⑧米鉱工業生産指数 製造業・鉱業・公益業の生産に関する統計です。これは米国の企業動向を把握するために参考にすべき指標の一つとなっています。 特徴としては①実質GDPとの連動性が非常に高いこと ②米国内の鉱工業生産はグローバルな製造業の動向に大きく影響を受けること が挙げられます。 これらの特徴を踏まえ、発表値を見ましょう。

以上、指標の解説を挙げましたが、これらを見る上で重要なのは、今の日本・海外経済の大きなトレンドにおいて、これらの発表値がどのような意味を持つのか、を考えることです。 今までのトレンドの前提を覆すほどのサプライズなのか、それとも一時的なものなのか、一つ一つの指標を注意して見ていきましょう。