「つみたてNISA」が2018年1月からスタートする。少額ずつの積立金で投資信託を購入し、値上がり益や配当金に税金がかからない積立投資信託専用の新しいNISAだ。しかし、制度開始が半年後にせまっているにもかかわらず、認知率は1割にとどまるのはなぜか。現行のNISAや個人型確定拠出型年金(iDeCo)との違いと合わせて解説する。

「つみたてNISA」とは

NISA,つみたてNISA,iDeCo
(写真=PIXTA)

「つみたてNISA」とは、2018年から開始される少額投資非課税制度だ。2014年からスタートしたNISAは総口座数が1000万を突破したが、投資額の6割超は60歳代以上の高齢者層となっている。NISAのさらなる普及には、手元資金が不十分な若年層の理想促進が課題と考えた政府は、「積立NISAの創設」と検討してきた。結果、少額から積み立て、長期の分散投資ができる仕組みとして作られたのが「つみたてNISA」だ。

積立投信なら月々数千円から自動的に投資信託の購入額を増やしていける。従来のNISAでも積立投信を購入することは可能だが、非課税枠を使った投資期間が5年と決められているため、10年20年といった長いスパンの投資には使いにくい。「つみたてNISA」は20年間非課税での投資が可能だ。

従来のNISAとの違い

現行のNISAとの大きな違いは、非課税投資枠と投資対象だ。

今のNISAは非課税制度を適用できる投資枠は年間120万円までとなっているが、「つみたてNISA」は年間40万円までと従来の3分の1にとどまる。ただし投資期間は現行の最大5年が20年になるため、非課税の恩恵を受けながら投資できる総額は40万円×20年=800万円(現行は120万円×5年=600万円)なので、単純に少ないとは言い切れない。

投資対象は現行が株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)から選べるのに対し、「つみたてNISA」は投資信託のみとなる。それも、国が定めた低コスト・長期安定といった基準をクリアしたものに限られる。

現行のNISAと「つみたてNISA」は併用することができない。したがってどちらかを選ぶことになる。まとまった資金があり投資信託以外にも興味がある場合は現行のNISAが良いだろう。長期的にコツコツ積み立てながら安全に資産運用をしたい場合は「つみたてNISA」が適している。いまNISAを利用している人が「つみたてNISA」に変更することも可能で、現在のNISA口座にある銘柄は買付から5年間は非課税が継続される。

iDeCoとの違い

個人型確定拠出型年金(iDeCo)との違いが分からないとの声が多いのでまとめておくiDeCoと「つみたてNISA」には、月々決まった金額を拠出、長期投資を目的としており、税金の優遇が受けられるという共通点がある。

根本的な違いは、iDeCoは60歳まで払い出しができないのに対し、「つみたてNISA」はいつでも払い出しができる点だ。iDeCoは公的年金の補完が目的なので、積み立てた元本や得られた利益は年金または退職金といった形式で60歳以降に受け取れる。「つみたてNISA」は貯蓄から投資を促すことが目的なので、いつでも好きな時に引き出しが可能だ。

売買はどちらも好きなタイミングでできるが、iDeCoの場合利益が出てもそれを引き出して使うことはできない。「つみたてNISA」はいつでも出し入れ可能だが、iDeCoのように掛金が所得控除の対象になることはない。

認知率は5月時点でたった1割

野村アセットマネジメントの調査によると、「つみたてNISA」の内容や概要について「知っている」と答えた人は全体の1割にとどまった。「名前も聞いたことがない」と答えた人はなんと52%にも上る。投資経験別では、投資や積立の経験がある層では利用する意向が高く、投資経験がない層では低い。つまり、もともと投資をしている人は証券会社のホームページやマネーニュースなどで「つみたてNISA」の情報を知ることができるが、それ以外の人は新制度の存在自体に触れる機会がないことが分かる。

しかし、安全性が高く少額から投資が可能な「つみたてNISA」は、むしろ投資経験の乏しい人に向いている。初心者がいきなり個別銘柄を何十万円分も購入するのはハードルが高く、数ある投資信託の中から安全性が高く手数料が低いものを探し出すのは非常に困難だ。積立投信なら少額から分散投資が可能で、個別銘柄の選定の必要がなく、「つみたてNISA」は国の基準をクリアした低コストで安全性の高い商品しか投資対象にならない。国はすみやかにルールを確定し、周知徹底すべきだ。

「つみたてNISA」に向いている人

非課税で投資できる期間が20年もあり、長期運用に適している。また、投資枠年間40万円ということは、月々最大3万3000円ずつ積み立てる計算にな、無理のない範囲内で計画的に投資ができる。また、国の選定基準が厳しいことから、手数料が低めで安全性の高い投資信託があらかじめ抽出されている。これらの条件は初心者にも有利なものだ。

したがって、「つみたてNISA」に向いている人はたとえばこんな人である。
・長期運用を考えている
・少額ずつ投資したい
・低コスト・安定性重視
・投資初心者
とはいえ、「つみたてNISA」にはまだ決まっていないことも多い。対象商品は国の基準を満たすものだが、どの証券会社でも対象商品の一覧はまだ公表されていない(2017年7月時点)。現行NISAやジュニアNISAと一本化されるという話もあり、今後制度の変更がおこることも考えられる。

申し込みを急ぐ必要はないが、知っていて損はない制度だ。(ZUU online編集部)

【あわせて読みたい 「つみたてNISA」記事】
併用できない「つみたてNISA」と「NISA」 両者の違いとは?
「つみたてNISA」を賢く利用する秘訣とは? 30代、50代、60代のケースで解説
「つみたてNISA」口座開設開始 NISAと迷っている方へのアドバイス
「つみたてNISA、iDeCo、NISA」 効率が良い資金の置き場所はどこ?
「つみたてNISA」と「iDeCo」どっちがいいの? お悩みの方へ

【あわせて読みたい 「人気」記事】
あなたの100万は20年後いくら?利回り別「資産運用シミュレーション」
「世界で最も権威ある投資銀行ランキング」トップ3は日本でも有名なあの企業
「住民税が6月から増えた」のはなぜ? 税のキソを税理士が解説
「Anello」(アネロ)バッグが大流行している理由
投資信託は分配金利回りが高いだけで買ってはいけない理由とは?