7月20日、東京商工リサーチは国内銀行92行の2017年3月期の平均年間給与の調査結果を発表した。高給取りの代名詞ともいえる銀行マンであるが、近年はマイナス金利政策の影響等で収益環境は厳しさを増している。今回の調査でも平均年間給与は5年ぶりの前年割れとなっている。
92行の平均年間給与は615万2000円 第1位はあの銀行
国内銀行92行の平均年間給与は前年同期比0.8%減の615万2000円となり、5年ぶりに前年の水準を下回った。平均年間給与の多い上位10行は次の通りである。
銀行別平均年間給与ランキング(カッコ内の数字は前年同期比)
10位 阿波銀行 726万5000円(2.60%減)
9位 千葉銀行 732万7000円(0.45%増)
8位 みずほ銀行 744万5000円(1.76%減)
7位 静岡銀行 763万7000円(0.33%減)
6位 新生銀行 772万5000円(1.21%減)
5位 三菱東京UFJ銀行 773万8000円(1.71%減)
4位 あおぞら銀行 791万0000円(1.80%増)
3位 スルガ銀行 810万6000円(1.53%増)
2位 東京スター銀行 812万2000円(1.16%減)
1位 三井住友銀行 814万8000円(1.84%減)
第3位にランクインしたのは、スルガ銀行 である。本業のもうけを示す単体実質業務純益は2017年3月期決算で前年同期比7%増となる636億円、単体純利益は同14%増の417億円となっており、業績は好調だ。利ザヤの大きい個人向けローン等に注力している成果が表れている。
第2位には第二地銀の東京スター銀行がランクインした。2017年3月期決算では単体実質業務純益は前年同期比20%減となる68億円となったが、単体純利益では同1%増となる107億円を確保した。平均年間給与は昨年より1.16%減となるものの、昨年同様2位の座を守った。
第1位に輝いたのが、三井住友銀行である。2017年3月期決算では単体実質業務純益は前年同期比14%増となる8467億円、単体純利益は同10%増となる6818億円となり、業績は好調だ。有価証券利回りが高かった事に加え、経費削減の効果も出た。メガバンクでは唯一トップ3入りとなり、昨年より1.84%減になりながらも、首位の座をキープした。
前年アップは3割のみ 銀行を取り巻く厳しい環境
5年ぶりに平均年間給与が前年割れとなる等、国内銀行の収益環境は厳しい状況が続いている。国内銀行92行の内、前年の水準を上回ったのは31行に留まり、約7割の銀行で給与水準は前年を下回った。大手7行でもあおぞら銀行のみが増加と状況は規模の大小を問わない。
金融庁はメガバンク等の主要行の2017年3月期決算の状況をまとめているが、それによると、主要行の連結業務純益は前年同期比11.2%減、連結当期純利益も同4.0%減と厳しい数字が並ぶ。
日銀のマイナス金利政策の影響で、利ザヤが縮小している事が業績に響いている。運用においても、国債は利回りが低下しており、米国も金利が上昇する等、収益環境は厳しい。集まった預金の運用難に悩まされている状況だ。
地銀、第二地銀も同様である。全国地方銀行協会がまとめるデータによると、2017年3月期の地銀の単体業務純益は前年同期比18.5%減、単体純利益は同15.4%減となる。第二地方銀行協会がまとめる第二地銀のデータでも、単体業務純益は前年同期比19.3%減、単体純利益は同11.6%減である。
政府の「働き方改革実現会議」等を通じ、賃上げやベースアップへの要求は強まっている。しかし、国内銀行の置かれている事業環境は厳しく、高給取りの代名詞ともいえる銀行マンに逆風が吹いている。地銀の再編論等も叫ばれており、国内銀行を取り巻く環境は簡単に好転しそうにない。(ZUU online編集部)