矢野経済研究所の「酒類市場に関する調査(2017年)」によると、国内酒類市場規模は前年度比0.6%減の3兆5738 億円となり、緩やかな縮小傾向が続いている。分野別に見ると、ビールや清酒、焼酎が縮小している一方、ウイスキーや低アルコール飲料は好調な推移を見せている。
食中酒としての需要が高まる低アルコール飲料とウイスキー
2016年度の国内酒類市場規模は前年度比0.6%減の3兆5738億円となった。ここ数年、前年度比で数%の減少が続いており、緩やかながらも市場は縮小傾向にある。
縮小が続く国内酒類市場であるが、分野別に見ると、また違った一面が見えてくる。近年目覚ましい成長を続けているのが、缶チューハイや缶ハイボール等の低アルコール飲料である。サントリーホールディングスが公表する低アルコール飲料市場の調査結果「サントリーRTD(Ready to Drink)レポート」によると、2016年度のRTD市場は前年度比12%増と好調に推移しており、2017年度も7%の成長を見込んでいる。
中でもアルコール度数8%以上のRTDはここ数年、低アルコール飲料市場全体を上回る速度での成長を続けている。アルコール度数を8~9%程度に高めた「ストロング系」の商品は、手軽に酔う事ができる事に加え、店頭価格が350ml缶で100円前後と手ごろである事も相まって、人気を博している。
もう一つ、注目すべき分野が、ウイスキー市場である。各社がハイボールにして楽しむ事を前面に押し出した営業活動が功を奏し、若い世代にも浸透しつつあると見られる。国税庁のまとめる税務統計によると、ウイスキーの課税数量は平成27年度に前年度比17%も増加している。
低アルコール飲料やウイスキーが食中酒と地位を確立してきている事も成長の要因である。食事と一緒に飲まれる食中酒は従来ビールや焼酎が中心であった。しかし、若い世代を中心にビール離れやハードリカーを避ける傾向が強まっており、飲みやすさを売りにした低アルコール飲料やハイボールが食中酒としての支持を得ている。国内酒類市場が縮小傾向にある中、低アルコール飲料やウイスキーの成長に期待が掛かっている。