真夏のサッカー界を最も賑わせたニュースとなったのが、母国開催のリオデジャネイロオリンピックでチームを金メダルに導いた中心選手・ネイマールのスペイン1部リーグの名門バルセロナからフランス1部パリ・サンジェルマン(PSG)への移籍だった。
電撃的な移籍とともに、話題を集めたのがその移籍金。欧米メディアは史上最高の2億2200万ユーロ(約291億円)と報じた。クラブのナーセル・アル=ヘライフィーCEOは中東カタールの大富豪であり、莫大な金額を積み上げてまで選手獲得に躍起になれるのは、こうした大富豪のオーナーの存在が大きい。
そこで欧州サッカークラブでオーナーに名を連ねる大富豪をピックしてみよう。
マンチェスター・シティ
――シェイク・マンスール氏、資産額約3兆円
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティのシェイク・マンスール氏は、投資会社のアブダビユナイテッドグループのオーナーも務める。
同グループは、2008年にマンチェスター・シティのオーナーとなった。オーナーに就任した年には、ブラジル代表のロビンホをスペインのレアル・マドリードから3250万ポンド(約50億円)で獲得。この金額はプレミアムリーグの記録を塗り替え話題となった。
また、マンスール・オーナーは、イギリスのテレグラフ紙のランキングでは、最も裕福なサッカークラブのオーナーとして、資産額は200億ポンド(約3兆円)と、プレミアムリーグでもひと際その存在感を放つ。
マンチェスター・シティ
――ロマン・アブラモヴィッチ氏、ロシアの石油王
同じくプレミアムリーグのチェルシーのロマン・アブラモヴィッチ・オーナーは、ロシアの石油王とも称される。2003年、当時財政難に陥っていたチェルシーを買収してオーナーの座につくと、豊富な資金力でクラブの経営を立て直し、ジョー・コールやダミアン・タフなど有力選手を引き抜いてチームを補強した。そして、欧州の名立たるクラブで監督として活躍するモウリーニョ氏もアブラモヴィッチ氏がチェルシーに招いた。
同氏は車好きとしても知られ、テレグラフ紙によると、フェラーリやランボルギーニ、パガーニなど幅広いコレクションは850万ポンド(約12億3200万円)に上り、米経済紙フォーブスは、資産額を91億ドル(約1兆円)としている。
トッテナム・ホットスパー
――ジョー・ルイス氏、イギリス最大のパブチェーンオーナー
サッカーファン以外には馴染みが薄いかもしれないが、プレミアムリーグの名門の1つトッテナム・ホットスパーのオーナーを務めるジョー・ルイス氏も大富豪として、築き上げた莫大な資産で選手の補強などに乗り出した。
レアル・マドリードで活躍するガレス・ベイル選手も2007年‐2013年にかけて、トッテナム・ホットスパーでプレーした。フォーブスによると、ルイス氏はプレミアリーグのクラブ他、イギリス最大のパブチェーンの株式、高級レストランやホテル、オーストラリアの農業など幅広い投資を展開し、資産は57億ドル(約6270億円)に上る。
ACミラン
――シルヴィオ・ベルルスコーニ氏、イタリアの元首相
大富豪オーナーはイングランドのプレミアリーグだけにとどまらない。イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相は、イタリア・セリアAのACミランのオーナーとして君臨する。ビジネスマンとしてメディア王とも呼ばれ、政界進出後は首相にまで上り詰めた。ACミランは日本代表の本田圭佑選手も所属した名門チーム。
フォーブスによると、ベルルスコーニ氏とその家族の資産は70億ドル(約7700億円)に上り、イタリアのみならず、世界の富豪として、政界を引退した後も今なおその名をとどろかせる。
ユベントス
――アンドレア・アニエッリ氏、自動車メーカーFIATの創業一族
セリアAの王者のユベントスも富豪によって支えられている。そのオーナーは、アンドレア・アニエッリ氏で、イタリアの自動車メーカーFIATの創業一族。
アニエッリ家とユベントスとの関係は深く、1923年にFIAT創業者の息子だったエドアルド・アニエッリ氏がオーナーとなったのがはじまりだった。1960年代にはアニエッリ家とユベントスとの関係は一時途切れたが、2010年にアンドレア・アニエッリがオーナーに就任して、常勝軍団ユベントスの新しい時代が幕を開けた。
欧州の名立たるチームの功績や人気は、選手や監督のパフォーマンス、熱狂的なファンの存在以外に、世界にまたがる大富豪オーナーの潤沢な資金によるクラブ経営の立て直しやライバルチームからの選手補強によって実現している面は否めない。
一方、スペインの強豪レアル・マドリードは特定のオーナーではなく、ソシオと呼ばれるクラブ会員がその運営を支え、大富豪のバックアップに頼らずとも、世界的な人気・実力を兼ね備えるチームだ。しかし、サッカーがスポーツの枠にとどまらず、グローバルなビジネスとして存在感を増していくのは、やはりこうした大富豪たちによるクラブ経営の参加が少なからず影響しているのだろう。(ZUU online 編集部)