日経平均予想レンジ19,500~20,000円

今週は、4日間立ち合いの中、NYダウの騰勢一服や北朝鮮をめぐる報道での円高進行が投資家心理を冷やし、相場の下押し圧力となった。日経平均は5/31以来の安値水準19,660円まで下落した。

海外の焦点

米国では、8/4発表した7月雇用統計が20.9万人増と市場予想の18.3万人増を上回る伸びとなった。失業率は4.3%と前月から0.1pt低下した。賃金も平均時給は26.36ドルと前月比0.09ドル増え、前年同月比では2.5%増加した。労働市場は引き締まりを示しており、FRBによる9月会合でのバランスシート縮小開始の発表を後押ししそうだ。

ダウ平均は米金利上昇でバンカメなど大手金融株が買われ、9日連続で史上最高値更新を援護した。調査会社トムソン・ロイターがアナリストを対象に実施した調査によると、S&P500種の4-6月期決算の利益は前年同期比12.0%増となる見通し。7-9月期も9.3%増と予想されており、堅調な企業業績が株価の支援材料となっている。

国内の焦点

国内景気指標では、鉱工業生産指数が8月相場の支援要因として期待される。6月の生産実績は101.7(前月比1.6%増)、7月の生産予測は102.5(同0.8%増)、8月の生産予測は106.2(同3.6%増)となり、生産は3カ月連続で上向く見込み。8月の生産予測は今年最高であった4月の103.8の生産実績を上回ってくるだけに、日本株は良好な鉱工業生産と企業決算に加え米国株高に支えられた堅調な地合い継続は期待できそうだ。

一方テクニカル面では、下値サポートの75日線を割り込み、新たなレンジを探るのか正念場を迎えた。上昇中の75日線(19,889円)を早期に回復すれば、上昇トレンドへの期待は回復するが、明確に割り込むと下落トレンドに転じる可能性も強まるだけに注意が必要。オバマケア見直し失敗で3/22にもち合いを下放れ、75日線を下回ってから調整局面に入り、4/17の安値18,224円まで下落した経緯は記憶に新しい。

東証一部の騰落レシオが12/15に165.6%へ上昇し、過熱シグナルが点灯してから3カ月後の事であった。今回騰落レシオは5/24に164.6%へ乗せ、下値切り上げ相場も3カ月目に入ってきた。この間、騰落レシオは100付近から113.28(8/7)に再上昇してきた。タイミング的にも調整リスクは警戒しておきたい。

来週の株式相場

以上、来週は良好な企業業績やファンダメンタルズが下支えとなるもののテクニカル面では調整局面入りを示唆しており、新たなレンジを模索する展開と捉えられる。日経平均のレンジは上値は節目の2万円が意識され、下値は19,500円が目処となろう。

株式見通し8-10

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト