厚生年金や国民年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は8月4日、4-6月の四半期に5兆1153億円の運用益をあげたと発表した。かなり良い成績だが、マスコミ報道は安倍改造内閣に集中し、影が薄くなってしまった。そこで、現役世代にとって重大関心事である年金の運用状況について簡単に振り返っておこう。

公的年金運用、4-6月は大幅黒字

GPIF,年金運用
(写真=PIXTA)

この大幅な運用益により、GPIFの運用資産(時価ベース)は、今年3月末の145兆円弱から6月末は149兆円強と、3.5%増加した。GPIFの過去の実績と比べるとかなり優秀だ。

最も大きく寄与したのは日本株で、資産の増加率は6.6%、次いで外国株が5.5%、外債は4.5%だった。一方、日本債は日銀の金融緩和の継続で-0.9%と唯一のマイナスとなった。

株価は4月に大きく下落する局面もあったが、その後は経済や企業業績が全般に堅調だったことや、6月にはFRB(米連邦準備理事会)による利上げもあり、米国市場で最高値の更新が続くなど、世界的に上昇した。またこの3ヶ月間は円安基調で推移したため、外国株、外債では為替換算益も生じている。

この結果、GPIFが市場運用を開始した2001年度以来の累計収益率は年平均+3.07%と3月末までの+2.89%から大きく向上した。しかし、だからといって将来の年金給付に大きな余裕が生まれたというわけではない。

日本の年金制度はこのままでは将来、立ちゆかなくなると見る専門家は多い。少子高齢化で保険料を支払う人口が減る一方、受け取る側は増えるという状況が当面続くからだ。厚生労働省が公表した2016年度の年金収支を見ると、厚生年金と国民年金の合計の歳入額は49兆円強、歳出額は47兆円で、2兆円強の黒字になっている。

年金収支は来年度にも赤字に