2016年6月24日に、英国のEU離脱ショックでつけた安値が二番底を形成し、ここが長期サイクルのアベノミクス相場の第二ステージの出発点になる。そして、2016年11月、トランプ大統領の経済政策が出た時点で、その余波が日本経済にも及ぶという期待が日本の株式市場にも生まれて、今回のトランプ相場が始まった。長期上昇の第二波が始まっているというのが、波動から見たいまの私の予測です。

(本記事は、菅下清廣氏の著書『 2019年までに株でお金持ちになりなさい 』徳間書店 (2017/6/30)の中から一部を抜粋・編集しています)

菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。マーケット情報配信サービス「 スガシタボイス 」、株価の解説・予測が無料で読める「 スガシタレポート オンライン 」を配信中。

チャートの理解の前に「波動」とは?

2019年,株式相場
(画像=Webサイトより)

この2016年6月24日から始まった長期トレンドの上昇相場の行き先は、2万7000円を予想しています。これはおそらく2018年の年末あるいは、遅くとも2019年の6月頃までにはつけるだろうというのが、私の長期的相場観です。なぜならアベノミクス第二ステージも第一ステージと同様出発点から2年半から3年という時のサイクルになるのではないかと予想しているからです。

ただ漫然とチャートを見ているだけでは、相場の予測はできません。チャートを見て、「時間の波動」と「価格の波動」が瞬間的に理解できるようにならなければいけません。例えば、このチャートから何が読み取れるのか。その解説の前に波動(サイクル)の基本をおさらいしておきましょう。

長期波動では、まず、2年半から3年のサイクルがあります。アメリカの経済学者ジョセフ・A・キチンの名前をとって「キチンの波」とも呼ばれます。このキチン・サイクルは在庫調整の波と言われています。

次が、7年の波です。7というのは一つのラッキーナンバーです。ちなみに、1989年12月末に日本の株は大天井を打ちましたが、出発点はどこかというと1982年8月です。ちょうど7年かけてバブルはピークを迎えました。1982年の8月から10月が底です。ニューヨーク・ダウも2009年に7000ドルを割れて、約7年後の2015年に最初の天井をつけた。これは偶然なのかということです。

その次にやってくるのは20年の波動です。アメリカの経済学者サイモン・クズネッツが発見したことから「クズネッツの波」とも言われる約4分の1世紀のサイクルです。この波は建設循環の波です。その次が45年から60年と言われる「コンドラチェフの波」。これはロシアの経済学者ニコライ・コンドラチェフに由来する半世紀程度の大きな周期で見られる景気の波です。

「コンドラチェフの波」は諸説がありますが、インフラ(社会基盤)の変革の波と言われています。 この2〜3年の波、7年の波、20年の波、50〜60年の波というのはすべて景気循環の波です。景気循環の波と株価の波は連動しています。時間差、時差があるだけです。

トランプ大統領がどうなろうと2018年の年末ぐらいまで上がる

いまいちばん重要なのは、この中で、20年の波動でしょう。1989年に株価が天井を打ってから20年のサイクルで実際に何があったかといえば、株価が大底を打っています。20年後の2009年3月10日にリーマンショック後の最安値7054円をつけています。これが、日経平均株価の大底です。物差しで測ったように、ぴったり20年後にやってきています。このように、波動のサイクルで株価は底を打ったと見るのが波動理論の考え方です。

2009年に入った時点で、株価は天井を打って20年目に入ったと意識する者としない者に分かれます。たとえば、2017年6月のいまなら、私は2018年の6月を強く意識します。なぜなら今回のトランプ相場の長期波動の出発点、2016年6月から2年後だからです。前回のアベノミクス相場の第一ステージは、出発点から約2年半上昇して天井をつけています。ですから2018年6月に第二ステージの山(当面の天井)が、やってくる可能性があるからです。

日本株は今のところ、アメリカ株とほぼ連動しています。基本的にはニューヨーク・ダウの動きに従って上がったり下がったりします。アメリカは大統領任期の2年目に中間選挙があります。その2年間にトランプ大統領としてはアメリカの景気を上向かせなければいけない。そうでないとトランプの共和党がこの中間選挙に勝てなくなるからです。ということは、2017年、2018年の2年間でトランプはいろいろアメリカの景気が良くなる政策を打ち出してくる。なので、この2年間にトランプ相場の大きな波がやってくるということが予想されます。

トランプが大統領選挙に勝利した2016年の11月からトランプ相場が始まっている。波動から見て、2年半から3年の上昇というのが、一つの周期です。その長期サイクルとは別に、短期のサイクルでは、いま、トランプ相場の理想買い相場の上昇第一波が終わって、これから第二波が始まろうとしています。

おそらく、トランプ大統領がどうなろうと、アメリカ株も日本株もここから少なくとも、2018年の年末ぐらいまで上げる。もしかすると、東京オリンピックの2020年くらいまで続くトランプ・バブル大相場がやってくるかもしれません。だから、2019年までに株でお金持ちになるビッグチャンスがあるのです。