2017年に入り史上最高の3190億ドルの資金流入を記録した米国のETF(上場投資信託)市場だが、その過熱ぶりに価格バブルの懸念が高まっている。

投資家の関心がアクティブファンドからパッシブファンドに移行したことが原因として挙げられているが、かつてのITバブルや世界金融危機を彷ふつさせるとの指摘もある。

09年の2倍に成長した米国のETF市場

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(写真=Thinkstock/GettyImages)

ETFとは種類が豊富な上に、少額から投資が出来る投資信託とリアルタイムな時価売買が出来る株式投資の利点を兼ね備えており、投資初心者から上級者にまで人気の金融商品だ。低コストで運用可能な点も魅力的である。

近年、業績の不安定さや高額な手数料などを理由に、これまで主流だったアクティブファンド人気が影をひそめ、代わってETFのようなパッシブファンドに投資家の関心が移行している。

16年に3190億ドルだった米国のETF市場は、17年7月の時点でそれを上回る3190億ドルに達した。09年と比較すると、約2倍の規模に成長を遂げていることになる(ETFGI 調査)。

ETFを取り扱っている資産運用会社の多くは、その恩恵を十分に受けている。特にブラックロックのETFブランド「iシェアーズ」は1589億ドルと前年から210億ドル増と飛躍的に伸びているほか、ヴァンガードのETFも918億ドルと、あと70億ドルで前年の記録を超える。

ETFの流動性はベアマーケットに対応できるのか?

しかし、ETFの潜在的な危険性が、「手頃な資金と手数料で簡単に運用できる」という利点で覆い隠されているとの指摘もある。

価格変動はもちろん、為替変動の影響も直撃するなど複数の弱点が挙げられているが、最大の懸念は流動性だろう。

オークツリー・キャピタル・マネージメントの共同設立者ホワード・マークス氏は、「ETFの十分な流動性が、まだベアマーケット(弱気市場)で試されたことがない」と、土壇場になってETFが売却できるか否かに疑念を唱えている(ファイナンシャルタイムズ紙より)。

同じく米国のヘッジファンド、エリオットのポール・シンガーCEOも顧客宛ての手紙の中で、「パッシブファンドが簡単に儲かるという幻想は、政府が加速させたもの」と批判している。

アクティブファンドとパッシブファンドの両方を取り扱っている英国のアビバ・インベストメントのユアン・マンローCEO は、17年3月の時点で、「ETFバブルが歴史的なITバブルや世界金融危機の発生・崩壊と酷似している」との警告を発している。

またETFへの極端な需要の高まりが「株式市場の価格を押し上げている」との説に関しては、楽観的な意見もある。ブラックロックの米国iシェアーズ部門の責任者、マーティン・スモール氏は 、国際株式・債券市場の時価総額をETFとインデックスが占める割合が10%(17兆ドル相当)である点を挙げ、「十分なデータがない」と否定。ETF人気をポジティブな影響と主張している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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