英国エコノミスト誌の調査部門である「エコノミスト・インテリジェンス・ユニットがまとめた「世界で最も住みやすい都市ランキング2017」で、7年連続1位といなった豪州・メルボルン。100点満点中97.5点という驚異的な数字を記録したメルボルンについて、豪州在住の筆者が解説する。

モダンとレトロが融合する街

豪州,調査・まとめ,現地レポート
(写真=Donald Yip/Shutterstock.com)

メルボルンの街を歩いていると、水と緑の美しい光景が見られる。市内を流れるヤラ・リバー沿いにはサイクリングやジョギングをするローカルが目立ち、忙しい合間を縫っての息抜きを楽しむ姿が見られる。街中ではモダンなオフィスビルディングがあるかと思えば、レトロな教会や美術館があったりと、街の雰囲気を上手に調和しているのも特徴的だ。

移民の国であることを肌で感じるメルボルンでは各国の料理店が点在し、イタリア系移民のコーヒー文化を象徴するオシャレなカフェも多いのも特徴だ。好みのコーヒーとマフィンで10ドル程度なので物価は高めと感じるかもしれないが、高時給国なのでそれもありと言えよう。

「住みやすい」は暮らしがラクであるということ

市内の公共交通機関はバス・電車・トラムになるが、myki(マイキー)という日本のSuicaのようなリチャージ式カードを共通して使用できるので大変便利である。郊外へ広がる電車はお隣のニューサウスウェールズ州まで延びるものもあり、時間はかかるものの料金の安さと手軽さでローカルも多く利用している。国土の広いオーストラリアでは移動手段に車以外のものがあるというだけで便利と称される。

住みやすいは英語でLiveable(Live+Able)と表現し、生活が困難なくできる、暮らしやすいという意味がある。メルボルンは24時間体制の病院やコンビニがあり、スーパーやショッピングモールも充実している。教育や生活水準がい上、一般市民も学生もステータス意識が高く、人々も他の都市と比べてハイソな雰囲気である。道もきれいで公園も多い。

個人的には東京での暮らしが長かったせいか「アクセス」と「物価」という点ではやや不満が募ってしまうが、世界的に見ればメルボルンは最高に恵まれた環境なのであろう。

日本人にもシドニーと並んで選ばれているほどなので、やはり人気都市であることには相違ないと言えるが、ローカル目線では多少感じ方が違う。国民の28%を移民で占めるオーストラリアでは、メルボルンのような大都市を中心に民族的なぶつかり合いも増えてきているため、頻発する街中でのトラブルが気になるという声も高い。

大都市に住む10代のホームレス

住みやすさナンバーワンという栄冠を獲得したメルボルンであるが、街中を歩いていると何人かのホームレスを見かけることがある。

足早に通り過ぎる人たちを横目にしながら、段ボールをまとい、パーカーで顔を隠すようにしながら生活をしている。住みやすさ世界一に輝いた都市で生活するホームレスの人たち。一見、何とも皮肉に見える光景ではなかろうか。

最近のニュースでメルボルンで生活するホームレスの実態を特集していた。ホームレスの年齢は10代から60代。中でも目を引いたのは複雑な家庭環境に嫌気がさし13歳で家出し、以後ずっとホームレスを続けている女の子であった。現在は16歳の彼女は取材で、ボランティアで健康を診断をしてくれるナースの存在を明かしてくれた。

多くのホームレスはメディケア(国の医療保険、基本的に無料)を所持していないため病院に行けないのが現状だ。その問題を解決しようと、自分たちの意思でホームレスのもとへ訪れ、健康状態をチェックしているナースたちがメルボルンにはいるのである。ナースの笑顔と何気ない会話は、どれだけ冷め切った心を温かめてくれるであろうか。世界で最も住みやすい都市には、ホームレスの生活を陰で支える人々の思いがあった。

深刻な交通渋滞など問題あるが名門大学も複数の文化都市でもある

筆者はオーストラリアに住み始めて8年目を迎えるが、車でメルボルンを訪れる時には必ずと言っていいほど交通渋滞に巻き込まれる。ハイウェイの構造が複雑なため、間違った車線に入れば袋小路で別の方角へ連れて行かれる始末だ。

ラッシュアワーの時間とは無関係に、ブレスライザー(飲酒しているかのテスト)や道路工事、そして交通事故などで規制がかかることが多く、何度行ってもストレスを感じないことはないというのが正直な感想である。

そうは言うものの、メルボルンという一都市に国内の名門大学トップ8校・Group of Eightの2校があり、王立展示館とカールトン庭園という世界遺産があるのは市民が誇れる都市の魅力でもある。

世界一住みやすい都市メルボルンに、一度は住んでみたいと感じたであろうか。(トリ—・雪香、豪州在住のフリーライター)

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