英国のバークレイズ銀行やロイズ銀行がコスト削減策の一環として、従業員のデスクに「人感ヒートセンサー(熱流計)」を設置し、従業員が机で作業している時間を測定・分析しているという。

同社は机での作業時間を正確に認識することで、「光熱費を含む省エネオフィス環境の設計に役立てる意図」だと説明しているが、同様のシステム導入を試みた新聞社では従業員などから苦情が殺到し、わずか一日で廃止になったそうだ。

机裏面に張り付いた「黒い箱」の正体は?

コスト削減,省エネ,職場環境
(写真=Thinkstock/GettyImages)

バークレイズ銀行が導入したのは、「Occupe Eye」 というオフィス利用率自動分析システムだ。人間の放熱を感知して動作する人感ヒートセンサーを用いて、オフィスが実際に利用されている度合いを測定し、コスト削減につなげるという発想だ。

このデバイスは机の裏面に設置された「黒い箱」であることが、同行の複数の社員の証言から明らかになっている(ブルームバーグより )。

コスト削減、省エネを意図した対策とはいえ、「四六時中黒い箱に監視されているような気がして落ち着かない」というのが、大半の従業員の本音ではないだろうか。目的はどうあれ、従業員に心理的な圧迫感を与えるのは否定出来ない。

広報部は「新システムの導入はあらかじめ従業員や総同組合に通告しており、人事部から苦情も出ていない」と主張する反面、詳細は公表していなかったと認めている。その一方で「通告された覚えはない」という従業員もいる。

年間140億円の節減を期待

同様のセンサー分析を採用しているロイズ銀行はコスト削減策を賢く打ちだすことで、年間1億ポンド(約140億円)の節減を見込んでいる。同行の広報部は「定期的に職場(作業スペース)を見直すことは重要」とし、センサーで職場の利用度を監視すると同時に、従業員からのフィードバックも重視しているとコメントした。

一方、デイリー・テレグラフ紙は導入した日に従業員やジャーナリスト組合から苦情が入り、間髪置かずデバイスを撤去する羽目に陥ったそうだ。

英国最大規模の労働組合、ユナイテッド・ザ・ユニオンのドミニク・フック氏は、「センサーは従業員の個人的な行動をスパイする目的で利用されないとの条件で導入されている」と確信しているものの、「生産性の測定目的のみに利用されている点を、引き続き監視する」と述べている。

ブルームバーグによると、米国の大手銀行では導入されていないそうだ。お国柄、ビジネス環境やアプローチが異なるといったところだろうか。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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