サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)被告が懲役5年の実刑判決を言い渡された。

青瓦台(大統領府)の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席秘書官は、政経癒着の連鎖を断ち切る契機になることを期待すると述べたが、青瓦台が地方法院の一審判決に公式立場を表明するのは異例である。

韓国では、有罪判決は、財閥トップの不法行為を容認してはならないという時代の流れが反映された結果という見方が強いようだ。

マスコミは実刑判決をどう伝えているか

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(写真=NextNewMedia/Shutterstock.com)

朴槿恵前大統領の親友の崔順実(チェ・スンシル)被告が支配したとされる財団の設立資金や崔被告の娘の乗馬競技に行なった支援について、同法院はサムスングループの経営権継承に向けた便宜供与を求めた賄賂とみなし、同時にグループの金を横領した罪や前年12月の国会聴聞会で行った答弁を偽証と判断した。

サムスントップの実刑は1938年の創立以来はじめてだ。故李秉(イ・ビョンチョル)創業者や李健煕(イ・ゴンヒ)会長も有罪判決を受けたことはあるが、執行猶予などで実刑は免れている。

聯合ニュースは論評を避けている。サムスン関係者の話として、同月8日の論告求刑公判で特別検察官が懲役12年を求刑したことから有罪はある程度予測していたが、トップの不在が長引く動揺は隠せないと伝えている。

財産国外逃避など納得できない部分が多く、世論を意識せざるを得なかったのではないかとの見方も示す。

サムスン電子は、弁護人団が既に控訴の方針を明らかにしたとの理由から、公式な発表は行っていない。

朝鮮日報は法曹界関係者の間で、判決に疑問の声が相次いでいると報じている。有罪の根拠となったサムスングループの経営権継承に関する証拠は明示されていない。被告はいずれも否定しており、面談を録音した資料などはないという。

ハンギョレ新聞は、政経癒着の悪弊を断ち切り、トップ支配による「皇帝経営」から理事会中心の透明経営を定着させる「災い転じて福となす」機会と論評する。疑惑が表面化した当初、サムスンの政経癒着を疑った新聞社だ。

2審判決までサムスングループは“トップ空白”の事態を迎えることになったが、未来戦略室が廃止されて以降、グループの中心的役割を果たしてきたサムスン電子より他の系列会社に及ぼす影響の方が大きいと見る。

サムスン電子は、半導体の好況で過去最高実績を上げており、李在鎔副会長は最高経営者(CEO)よりも大株主としての役割を果たしている。重工業やエンジニアリングなど、不況や低価格受注で困難に陥っている系列会社にとって「獄中経営」は制約があり、大型買収合併や系列会社の社長人事など新たな成長戦略は延期せざるを得ないだろう。

妹の李富真(イ・ブジン)ホテル新羅社長が代役を務めるという噂も流れているが、可能性は低いとハンギョレは指摘している。

世論はどうみているか?