2017年3月10日、政府は住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)を閣議決定し、6月9日に成立させた。2018年はじめの施行開始を目指している。
この内容は、世界的な潮流といえる「シェアリングエコノミー」の代表格としての民泊をきちんと整備し、誰でも安心して使用できる仕組み作りを目指すものだ。本格普及も進む一方、自治体や既存の旅館、ホテルなどは顧客減少などの不安も抱えている。その点に配慮してか、民泊新法は「人を宿泊させる日数が年間180日を超えないこと」とされた。
これまでは違法な民泊が横行
これまでの民泊は、有料で宿泊客を繰り返し受け入れる施設運営は旅館業法の「簡易宿泊所」という位置付けか、旅館業法の適応除外である国家戦略特区での運営のみ認められていた。しかし実態は、旅館業法違反の無許可営業が多く、厚生労働省が登録サイトから1万件以上抽出し調査した結果、合法だった物件は、わずか16.5%にとどまった。
このような違法な民泊が横行している背景は、ビジネスとして儲かるからだ。例えば大きさにもよるが1LDKタイプの都心に近い物件を賃貸に出す場合、10~20万円が相場だが、民泊として貸し出すと、管理費や清掃費などを払い出した後の手残りが35~40万円程度となるケースが多い。
新法の対象となる施設は、あくまで住宅という位置付けだ。民泊に使う建物用途も「住宅、長屋、共同住宅又は寄宿舎」といったシェアハウスに近い。この中に織り込まれるのが、家主居住型と家主不在型の2パターンだ。
苦情受付が誰かという点がポイントだ。家主居住型は家主(事業者)が、家主不在型は住宅宿泊管理業者が苦情受付窓口となる。