北朝鮮が29日早朝、北海道襟裳岬上空を通過する中距離弾道弾「火星12型」を発射したことを受け、為替相場では円相場が急伸して、一時4カ月半ぶりの108円30銭台を付けたが、午後になって次第に落ち着きを取り戻した。外国為替市場は大きく円高に振れて、一時108円36銭を付けた。対照的に金相場は高値が付いた。トランプ米大統領は比較的冷静な声明を発表した結果、軍事的対応を取らない限り市場は落ち着くだろうというのが大方の見方である。

アイザワ証券のファンドマネジャーは「北朝鮮をめぐる地政学リスクは、今後も付き合っていかなくてはならない。米債務上限問題や金融政策の不透明感もあり、投資家はあえて日本株のポジションを増やすリスクは取らない」(ブルームバーグ)と指摘。また金融株については、「世界景気からみても金利が勢いよく上がっていくイメージは描けず、資金は向かいにくい」とコメントしている。

一時108円台半ばも、午後は落ち着く

外国為替市場は、NY市場で先週のジャクソンホール会議でイエレンFRB議長が金融政策で深入りしなかったことで、ドル売りが進み109円台前半まで値を落としていた。今会いは一気に円高が進み、ドル円は109円台前半から108円台前半に下落、クロス円もつられて軒並み下落した。

朝方の動きは次第に落ち着いたが、警戒感が残る分だけ円高リスクは持続しそう。これまで下値を支えた108円台半ばをいったん割り込んだことから、下値を探りやすい状況ではある。トランプ米政権の対応、安保理開催の成り行きによっては、109円近辺が重くなり、円高進行の流れが強まる可能性は残っている。

株式はリスク相場が続き、取引は閑散