シンカー:7月の鉱工業生産指数は前月比-0.8%となった。6月の同+2.2%の上昇の後としては堅調な結果であると考える。経済産業省の誤差修正済の予測指数である同-0.3%を若干下回った。2016年後半からのIT関連財を中心とする生産・在庫循環のグローバルな好転は一服している。しかし、生産の増勢は、IT関連財から内需を中心に裾野が広がってきているようだ。これまではまだ海外の回復や政府の景気対策に支えれた景気回復であるが、今後は企業活動の拡大による設備投資、雇用、賃金の回復が中心となる自立的な形に徐々に進化していくだろう。8月の経済産業省生産予測指数では、資本財(除く輸送機械)が前月比+12.1%、耐久消費財が同+6.3%とかなり強くなっている。更に、7月の実質輸出は前月比+1.7%と強く、IT関連財の増勢の一服後も、伸びを維持していく兆候がみられる。IoTなどの産業変化もあり、データセンサーや車載向けの部品などは増加を続けていくだろう。7月の生産の結果が若干下振れたのは、在庫が前月比-1.2%と2ヶ月連続のマイナス(6月同-2.0%)となり、在庫がしっかりとしたコントロール下にあることも理由だろう。景気循環は上向き続けており、2017年9月に「いざなぎ景気」の57ヶ月を抜いて戦後2番目の長さとなることはほぼ確実となった。
7月の鉱工業生産指数は前月比-0.8%となった。
6月の同+2.2%の上昇の後としては堅調な結果であると考える。
経済産業省の誤差修正済の予測指数である同-0.3%を若干下回った。
2016年後半からのIT関連財を中心とする生産・在庫循環のグローバルな好転は一服している。
4-6月期には実質輸出は前期比-0.5%となり、1-3月期の同+2.9%から減少に転じた。
しかし、4-6月期の生産は同+2.1%と好調を維持した。
生産の増勢が、IT関連財から内需を中心に裾野が広がってきているからだろう。
人手不足を背景とした効率化と省力化だけではなく、新製品の投入などでの売上高の増加のため、設備投資と研究開発が拡大し始めている。
そして、政府の景気対策の効果と2020年のオリンピックに向けた建設投資も強くなっている。
2014年4月の消費税率引き上げの下押しをようやく乗り越え、雇用の増加と賃金の上昇を背景に、消費活動がしっかりしてきた。
4-6月期の実質GDPが前期比+1.0%(年率+4.0%)と強く、外需の寄与度が-0.3%と弱かったが、、内需が同+1.3%と極めて強かったことと整合的な動きだ。
更に、7月の実質輸出は前月比+1.7%と強く、IT関連財の増勢の一服後も、伸びを維持していく兆候がみられる。
IoTなどの産業変化もあり、データセンサーや車載向けの部品などは増加を続けていくだろう。
グローバルな景気動向は堅調で輸出の増勢が続き、日本が比較優位を持つ資本財が堅調な伸びをみせるとともに、競争力の改善を反映してシェアも上昇するとみられる。
経済産業省の生産の判断は「生産は持ち直しの動き」となっており、生産は増加を続けていくだろう。
8月の経済産業省の予測指数は前月比+6.0%(+3.6%から上方修正)となり、誤差修正後でも同+1.4%と堅調である。
9月の予測指数は同-3.1%と弱いが、8月が強すぎる予測指数から現実的な数字に下振れることで、次回には上方修正となるだろう。
これまではまだ海外の回復や政府の景気対策に支えれた景気回復であるが、今後は企業活動の拡大による設備投資、雇用、賃金の回復が中心となる自立的な形に徐々に進化していくだろう。
8月の予測指数では、資本財(除く輸送機械)が前月比+12.1%、耐久消費財が同+6.3%とかなり強くなっている。
製商品、素原材料、仕掛品を含む民間在庫(実質GDP)は、4-6月期には3四半期連続の減少になっており、在庫は抑制された状態であることも支えとなっている。
7月の生産の結果が若干下振れたのは、在庫が前月比-1.2%と2ヶ月連続のマイナス(6月同-2.0%)となり、在庫がしっかりとしたコントロール下にあることも理由だろう。
景気循環は上向き続けており、2017年9月に「いざなぎ景気」の57ヶ月を抜いて戦後2番目の長さとなることはほぼ確実となった。
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司
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