上海総合指数に上昇トレンドが出始めた。8月29日(火)こそ0.08%高、3365.23ポイントで引けているが、25日(金)は1.83%高、28日(月)は0.93%高と急騰している。

長期の視点でみれば、現在の上海総合指数は、2016年1月の急落分を埋める過程の途中にある。全体相場の大きな流れを追ってみると、2015年夏の急落相場からの戻り高値は12月23日の場中で付けた3684.57ポイントである。2015年12月31日の上海総合指数終値は3539.18ポイントで、年末の段階では戻り高値近辺であったといえる。

しかし、1月に入り、(1)不用意なサーキットブレーカー制度の導入、IPO制度の登録制への移行に伴う需給悪化懸念、2015年7月の急落時に行った売買禁止措置の解禁騒動など、証券行政の失敗、(2)人民元安に伴う流動性の不足、(3)春節を前にした季節要因による流動性の不足などが重なり、上海総合指数は急落、1月27日の場中には安値2638.30ポイントまで下げている。戻り高値からの下落率は28.4%、2015年末からは25.5%に達している。現在の状況はこの急落を埋める長い回復過程にある。

上海総合指数は緩やかな回復過程にあるが、この間、2016年11月下旬、2017年4月中旬、8月上旬と、過去3回に渡って、3300ポイント付近が上値抵抗ラインとなって上昇を妨げてきた。今回この強力な抵抗ラインをブレークアウトしたことで、市場では上昇期待が高まっている。

2017年4月中旬と8月上旬の間、最大で300ポイント弱下げている。同じだけ上昇するとみれば、3600ポイント弱あたりが当面の上値目標となりそうだ。ちなみに、この辺りは2015年12月にもみ合ったところであり、2015年1月急落の出発点付近でもある。

2017年6月中間期業績は二桁増益をほぼ確保

中国経済
(写真=PIXTA)

今回のブレークアウトの要因は何だろうか? 特別な材料は見当たらないが、強いて言えば、発表が進む企業業績が総じて良いことぐらいである。

証券時報の集計によれば、8月27日夜までに発表された本土上場A企業2194社の決算内容を集計すると、2017年6月中間期の純利益は25.6%増益であった。全体の71.1%に当たる1560社において、利益が前年同期よりも増えている。石炭、鉄鋼、非鉄金属、化学工業、エンジニアリングといった景気循環によって業績が左右されるシクリカル銘柄の利益が大きく増えている。この部分だけを見れば、景気回復の初期段階のようである。

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