近年のワインブームを反映した好調な業績が窺える結果が、9月1日に発表された帝国データバンクの「ワイン製造業者の経営実態調査」より明らかとなった。2016年は調査対象となった国内ワイナリー138社の内、約6割が増益となったという。しかし、足下ではブドウ価格の上昇に加え、輸入ワインとの競争激化も懸念される等、先行きには不透明感も漂う。

ワイン製造を主業とするワイナリー、多くは小規模で運営

ワインメーカー,ワイナリー
(写真=PIXTA)

帝国データバンクによると、全国にワイン製造業者は206社あり、調査ではこれらを「ワインメーカー」と分析。その内、果実酒醸造業を主業とし、葡萄酒醸造を専門に行っている企業を「ワイナリー」と分類している。

全国に206社あるワインメーカーであるが、本社所在地を都道府県別に見ると、「山梨県」が最も多く、その数は69社であった。「長野県」の19社、「北海道」の18社と続き、上位3道県で全体の約5割を占めた。山梨県の「甲州」、長野県の「メルロー」、北海道の「ピノ・ノワール」等、上位3道県はいずれも国内有数のブドウ栽培地として知られている。

ワインメーカーの内、果実酒醸造業を主業とし、葡萄酒醸造を専門に行う「ワイナリー」は全国で138社となっている。設立年代を見ると、「2000年代」が23社と最も多く、「2010年代」の13社と合わせると、全体の4分の1が2000年以降に設立された事となる。構造改革特区の一つであり、2002年に募集が始まった酒税法の緩和措置である「ワイン特区」制度がワイナリーの新規参入を加速させていると見られる。

また、ワイナリーは比較的小規模に運営されているケースが多いようだ。従業員数を見ると、半数を超える75社が「5人以下」となっており、「6人~20人」の44社を含め、全体の86.2%が従業員20人以下となっている。売上高の規模においても、全体の56.5%に上る78社が「1億円未満」となっており、「10億円以上」は僅か8社に留まっている。

業績好調のワイナリー 2016年は全体の約6割が「増益」に