2018年1月から開始される「つみたてNISA」の口座開設手続きが2017年10月から可能になる。「つみたてNISA」は、従来からの「NISA」と併用できない。そのような中で両者にどのような違いがあり、何を踏まえた上で選択すれば良いのだろうか。

NISA、ジュニアNISAとは?

つみたてNISA
(写真=PIXTA)

通常のNISAから見ていこう。NISAには通常の「NISA口座」と未成年を対象にした「ジュニアNISA」口座がある。NISAは2014年から始まった少額投資非課税制度のことで、NISA専用口座を開設することで、株式や投資信託を購入することができる。

NISA口座では、(1)毎年120万円を、(2)最長5年間まで、(3)投資総額最大600万円まで、投資することができる。通常であれば利益に対して20.315%の税金がかかるが、NISA口座の投資枠で発生した利益に対しては非課税になる。

NISA口座ではない「特定口座」や「一般口座」の場合には、株式投資などで損失が発生したら他の利益と損失を相殺(損益通算)することができる。しかしNISA口座の場合には、利益に対して非課税にできるメリットがある反面、購入した株や投資信託に損失が発生しても、特定口座や一般口座の利益とは損益通算を行えないというデメリットがある。

次に、未成年を対象にしたジュニアNISAを見ていこう。2016年から始まったジュニアNISAでは、(1)0~19歳までの未成年者であれば、(2)年間80万円まで、投資することができる。

NISA口座同様、ジュニアNISA口座の投資枠で発生した利益に対しては非課税にできる反面、特定口座や一般口座の利益と損益通算を行えない。さらに、18歳まで原則払い出しができない他、金融機関を変更できないというデメリットがある。

どちらのNISA口座であっても、NISA口座を現在利用している人で、2018年以降もNISA口座を利用する場合には、2017年9月までにマイナンバーを提出する手続きを行う必要性がある。10月以降は追加の書類が必要になるため、マイナンバー提出の有無を急いで確認しておきたい。

つみたてNISAとは? 指定の投資信託とETFから選択して運用

2018年1月から始まるつみたてNISAを見ていこう。つみたてNISAでは、(1)年間40万円まで、(2)最長20年間、投資することができる。NISA同様、通常であれば利益に対して20.315%の税金がかかるが、NISA口座の投資枠で発生した利益に対しては非課税になる。

NISAやジュニアNISAでは、上場株式やETF、投資信託などに投資できるが、つみたてNISAでは、あらかじめ定められた要件を備えた投資信託、ETF(上場投資信託)にしか投資できない。さらに、現存の「NISA」と「つみたてNISA」を併用することはできないので、どちらの口座を利用するのか選択しなければならない。

主な要件としては、運用手法はインデックス型を基本としつつ、アクティブ型の場合は、信託設定以来5年以上が経過し、販売手数料はノーロードで、信託報酬は国内資産に投資する場合は1%以下、海外資産に投資する場合は1.5%以下となっている。

金融庁の「つみたてNISA対象商品にかかる事前相談の結果について」によると、7月時点で運用会社から問い合わせがあった商品の中で、つみたてNISAの要件を満たすのは投資信託は114本(うちインデックス型は99本、アクティブ型は15本)、ETFは6本で、合計120本になったとのこと。

「NISA」と「つみたてNISA」 どちらを選べばいいのか?

【投資対象】

「NISA」と「つみたてNISA」では、そもそも投資できる金融商品に違いがある。上場株式に投資したい場合は従来からあるNISAになだろう。さらに、「日本在住で20歳以上」が口座開設の条件とされているため、未成年者はジュニアNISAを選択することになる。

【投資スタイル】

筆者としては、上場株式への投資にこだわらず、投資するタイミングを判断することが難しいなどと考える場合には、コツコツ購入できるつみたてNISAを選択してもよいだろう。年間の投資額は従来からあるNISAの方が年間120万円と多いが、毎月自分で積立風に利用することは時間も労力もかかるだろう。

【向いている投資家】

つみたてNISAでは年間40万円まで投資できるので単純計算で毎月3万円まで投資できる。とりわけ投資にこれからチャレンジする場合は、投資に慣れるという観点で、最初から毎月3万円を利用する必要はなく1万円程度から始め、生活に支障のない範囲で始めてみた方がよいのではないだろうか。

【つみたてNISAのキャンペーン】

最後に、これからつみたてNISAの口座を開設しようと考えるのであれば、金融機関では新規に口座を開設した場合に現金をプレゼンとするなどのキャンペーンを行っているので、お得に口座を開設する方法を狙いたい。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、 メルマガ発行 、講演活動、株塾を行う。