米国FOMCの資産縮小観測は、狼少年の故事のように繰り返され、その都度市場に大きな影響を与えている。中国でもFOMCほどの影響はなくても、注目すべき銀行のスリム化が進行している。ネットニュースサイト「今日頭条」が伝えた。背景を探ってみよう。

上半期、銀行の経営環境

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(写真は中国人民銀行、PIXTA)

2017年上半期、A株市場に上場している25銀行の総資産は145兆元に達した。しかし前年比ではプラス4%で、一昨年比伸長率は大幅に下降した。レバレッジに対する銀行業監督管理委員会(金融庁に相当)の管理が厳しくなり、銀行資産拡大のペースは落ちる一方である。

また銀行の預金と貸出の金利差は2010年以来の最低である。今年の上半期では、A株上場25行のうち12行で金利収入が減少した。特に株式制銀行や農業共同組合では著しい。
当面、業績は各銀行によってばらつきが出るだろう。またマクロ経済の見地からも不良資産の圧縮を求められている。

総資産拡大は腰折れ、利益は伸び悩み 行員は減少

もう少し詳しく見てみよう。銀行業監督管理委員会のデータによると、2017年6月末における中国内地の商業銀行総資産は183兆8500万元だった。2016年12月末比で4,49%増加している。しかし前年の同じ時期は8.77%の伸びであり、記事はこれを“腰折れ”と表現している。

ここ数年、銀行資産規模拡大は急だった。国有四大銀行(工商銀行、農業銀行、建設銀行、中国銀行)を例にとると、2010年四行の総資産は45兆600万元だった。それが2015年には75兆1600万元と5年間で66.79%も伸ばしている。

また銀行利益も“膨張”した。2009~12年までの間、銀行利益の伸び率は常に2ケタを上回っていた。それが2017年上半期のA株上場12行の利益は7573億1500万、4.91%の伸びにとどまった。

資産規模拡大が緩やかになるのと歩調を合わせ、銀行員の減少が続いている。6月末の国有四大銀行の行員数は、160万4000人だった。これは昨年12月末比で2万5700人減っている。総資産トップの工商銀行は、同じように6月末で45万4073人で、7676人減った。また支店も減少している。工商銀行の支店・出張所は1万6270となり159カ所減った。ATMは1784カ所の減少だった。

非銀行金融機構の登場

原因は明らかである。“非銀行金融機構”の躍進である。今年6月末、アリババ集団のMMF「余額宝」の資産総額は1兆4300億元に達した。半年で6000億元も伸ばしている。そのため8月には、余額宝の新規受入れは10万元までに制限された。当初の10分の1である。

このような非銀行金融機構が大量の資金を吸引している。その反動で銀行の定期預金は細るばかりだ。人民銀行(中央銀行)のデータによると、7月の個人定期預金残高は23兆8100億元となり、1カ月で4000億元減少している。一方で7月末の非銀行金融機構の資産規模は、14兆5000億元に達した。これは今年1月末比で1兆6700億元、13%伸ばしている。このままではいずれ逆転だ。

この趨勢はもはや止めようがない。銀行は効率経営に徹すること、新しい金融機構との提携を模索することになる。A株上場25行のうち最も営業経費率の低いのは、トップバンクの工商銀行で21.01%である。最も高いのは常熟銀行の37%だ。各行とも工商銀行の水準を目指して身を削らなければならない。銀行の人員整理は当面続きそうである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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