この夏、東京都心では8月に21日連続で雨が降り続け、夏休みのレジャー気分が高まらず、プールや海岸沿いの海の家は閑古鳥が鳴いている日が目立った。記録的な連続した雨は、外出を遠ざけ、レジャー産業のみならず、飲食店にも大きな打撃を与えた。

厳しいビジネス環境の中、椿屋珈琲店などのグループを展開する東和フードサービス <3329> の業績が注目を集めている。雨にも負けず、しっかりと成長を続ける要因はどこにあるのか。

若い女性をメインターゲットに絞り込み

椿屋珈琲,東和フードサービス
(写真=PIXTA ※画像はイメージです)

東和フードサービスは、「椿屋珈琲店」「ダッキーダック」「スパゲティ食堂ドナ」「ぱすたかん・こてがえし」の4種類の店舗でグループを構成し、椿屋珈琲店の売り上げが全体の約35%を占める柱だ。グループの店舗は、首都圏の1都3県に集中しているため、知名度は全国に及んでいないかもしれない。しかし、この東京を中心とした出店攻勢の裏には、地方人口の減少、働く女性の増加という社会のトレンドに合わせ、若い女性にメインターゲットを絞った戦略がある。

例えば、椿屋珈琲店では銀座の古き良き時代の洋館で、珈琲マイスターが淹れる本格的な一杯を、クラシック音楽が静かに流れる空間で味わうことができる。大手チェーンでコーヒー文化に慣れ親しんだ若い女性にとっては、そのレトロな雰囲気は新鮮に映る。アルコールランプに照らされた球体のガラス器で抽出されるサイフォン珈琲は、陶器の珈琲カップに注がれ、高級な雰囲気が漂う。

大手チェーンでは、ワンコインで楽しめるコーヒーは、椿屋珈琲店では900円前後と割高になるが、価値を見出したものへの出費を惜しまない若い女性の心をとらえ、手の届く贅沢として支持を集める。気軽に立ち寄ってコーヒーを楽しむ大手チェーンとは一線を画した戦略が奏功し、独自のジャンルで顧客を取り込む。

純利益は2.2倍に