強い経済基盤を維持しているドイツだが、その陰で所得格差が広がっていることがドイツ経済研究所などの調査から分かった。調査について報じたCNNによると 、最高所得層である1割が、国全体の所得の3分の1と資産の6割を所有している。

失業率は欧州で最も低いが、逆に「潜在的な労働力不足」を懸念する専門家もおり、低所得層の可処分所得凍結や高齢化など格差を広げる要因が不穏な空気となって漂っている。

所得配分ではフランスと同水準、高齢化率は世界4位

米国、英国、フランスの政府債務残高の対GDP比率が年々上昇傾向にあるのに対し、ドイツは着実に縮小させている。2017年上半期は0.7%と過去3年で最大の経済成長率を示し、平均世帯所得も緩やかに伸びている。

しかしこうした「底力の強い経済」が、「国内を侵食する所得格差問題を覆い隠している」との声が上がっている。

ジニ係数(社会における所得配分の不平等さを測る指標)に基づいて測定されたOECDの「所得分配データベース(IDD/2015年)」 を比較してみると、ドイツは0.29とフランスと同水準。

メキシコ(0.46)や米国(0.39)や英国(0.35)よりも所得格差が少ないものの、ノルウェーやフィンランド(各0.26)やアイスランド(0.25)よりは高い。その上、ドイツにおける格差は徐々に広がっているという。

要因の一つとして、ドイツが日本、イタリア、ギリシャに次ぐ世界4位の高齢化国であることが考えられる。2016年の時点で、同国における65歳以上の高齢者の割合は総人口の21.45%に達している(グローバルノート 統計)。

低所得層の収入の7割が福祉給金