9月14日、東京商工リサーチは「上場製造業1270社の平均年間給与」についての調査結果を公表した。2016年度の平均年間給与は前年度から3万9000円増の605万9000円となった。好調な業績を背景とした順調な賃上げが進む製造業であるが、業種別に見ると、給与水準の格差も浮かび上がっている。

4年連続の賃金上昇も増加ペースは鈍化の兆し

製造業,給与
(写真=PIXTA)

調査は上場製造業1270社を対象に、2016年度決算の有価証券報告書から平均年間給与を割り出している。

2016年度の上場製造業の平均年間給与は605万9000円と、前年度の602万0000円から0.6%の増加となった。平均給与の増加は2013年度から4年連続となり、好調な業績を背景とした順調な賃上げが進んでいるようだ。2010年度から比較すると、平均給与は6年間で40万円の上昇となる。ただ、増加率は2015年度の1.2%増から半減しており、賃金上昇カーブは2014年度の2.2%増をピークに鈍化の傾向が見られる点には注意が必要だ。

平均給与が前年より増加した企業は全体の60.1%にあたる764社であった。半数以上の企業が平均給与の増加を果たしているが、前年度の823社からは59社の減少となった。減少した企業は全体の39.0%にあたる496社となり、こちらは前年度の440社から56社の増加である。製造業は2014年度以降、円安による輸出関連の業績改善を中心に好調を維持している企業が多い。ただ、ドル/円レートは2015年半ばにつけた120円台を境に円安傾向に一服感が出ており、足下では110円を挟んだ値動きが続く。円安による業績改善期待が薄れつつある中、今後は企業によって業績改善のスピードに差がついてくる可能性もある。

製造業の給与水準は高い? 業種による格差も大きい