投資家にとって、何とも甘く切ない言葉「バブル」。日本だけでも、1980年台後半のバブル景気、2000年頃のITバブル、2007年頃のファンドバブルなどがあり、株式、不動産などが大きく上げた後に崩壊している。
アベノミクスの株価上昇や仮想通貨の上昇もバブルだとの見方もある。金融市場で資金形成するためには、バブルのチャンスを活かし、バブル崩壊を避けることも大切だ。過去のバブルと崩壊過程を学ぶことができるバイブル的な5冊を紹介しよう。
(1) 『[新版]バブルの物語 人々はなぜ「熱狂」を繰り返すのか』
――ダイヤモンド社(2008/12)、 ジョン・ケネス・ガルブレイス(著)、鈴木哲太郎(訳)
故ガルブレイスはカナダ出身の経済学者で、ルーズベルト、トルーマン、ケネディ、ジョンソンなどの米政権のブレーンとして仕えた。終戦直後には日本の統治の顧問も務めた。著書も多いことから「20世紀でもっとも読まれた経済学者」とも言われている。『大暴落1929』という著書もあり、大恐慌50周年記念式典でスピーチをしたバブルについての権威でもある。
市場があり、欲がある限りバブルは必ず繰り返す。ガルブレイスは、投機の古典的な例を上げ、17世紀チューリップバブルから、29年世界大恐慌、87年ブラックマンデー、1990年日本のバブルに至るまでを分析している。91年に日本のバブルが崩壊後に初版された名著の改訂版だ。
「暴落の前に天才がいる(暴落の前にはバブルを発生させる金融の天才がいる)」、「真実はほとんど無視される」、「上昇の頂点で暴落は起きる」、「崩壊は時が過ぎれば忘れ去られる」など、バブルの本質に迫る名言が多い。誰もが今回だけはバブルでなく永遠に続くと勘違いしてしまう。その歴史を学んでおくための「バブル」のバイブル本だ。