スマホの普及によって中国で急速に普及した新サービスは、ライドシェア、シェアサイクル、フードデリバリーサービスの3つである。

調査機関の艾媒咨詢による「2017上半年中国在線餐飲外買行業研究報告」(以下報告)というレポートによると、2017年の中国フードデリバリーサービス業は、2000億元(約3兆4000万円)を超えるという。「餐飲O2O市場」はどこへ向かうのか? 経済ニュースサイト界面が分析している(1元=17.0円)。

5年で5倍の高度成長

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(写真=PIXTA)

中国のフードデリバリーサービスの歴史は浅く、2011年以来、急成長を遂げた。2012年には400億元にも満たなかった市場規模は、2016年には、前年比33.0%増の1662億4000万元となった。さらに2017年には、23.0%伸び2045億6000万元、2018年には、18.0%伸び2413億8000万元になると予想されている。

今後、伸長率は下降し、市場規模は落ち着きを見せ、成熟へ向かうものとみられる。短い歴史は次のように2分できる。

2012~14年

「餓了麼」「美団外買」「百度外買」などの企業が相次ぎ出現し、BAT 百度(バイドゥ)アリババ、テンセントなどネット企業巨頭がそろって投資、“フードデリバリー大戦”が勃発した。

2015~17年

資金を得たフードデリバリーサービスサイトがそろってバージョンアップ、差別化へ向かう。そして大手2社体制へ集約される。

市場シェアと利用頻度

2017年上半期の市場シェアは、2つのデータがある。美団の認めた、Trustdata「2017年上半期中国外買行業発展分析報告」によると、美団外買 45.2%、餓了麼 36.4%、百度外買 6.3%、その他12.1%だった。

一方で餓了麼が認めた先の「報告」では、餓了麼 41.7%、美団外買 36.4%、百度外買 13.2%、その他4.1%となっている。

どちらが正しいかはともかく、今後は“三足鼎立”から“両強争覇”へ変化する。8月末、餓了麼は正式に「百度外買」の買収を発表したからだ。2強に集約されたのである。そしてアリババは、吸収合併前の餓了麼株32.94%を所有する最大株主である。これによりアリババ系と美団系による生活サービス業における争いも一段と激化する。

先の「報告」によると2016年、フードデリバリーサービスの利用者は2億5600万人に及び、前年比22.5%のプラスだった。そのうち毎週少なくとも1回以上利用する“高頻度利用者”は全体の80%近くを占める。さらに詳しく見ていくと、毎週1~3回の利用者が35.6%、4~6回が34.3%、毎月1~3回15.6%、そして10.2%の顧客が毎日1回以上、発注を行っていた。

問題点と将来

こうした発展により問題も先鋭化している。

交通事故

2017年上半期、上海市におけるフードデリバリーサービス起こした交通事故は76件。餓了麼26%、美団26%、その他48%と2強の事故率は互角だった。

食品廃棄物

0.06立方Mの食べ残しと0.06立方Mの容器、合わせて0.12立方Mの廃棄物が1日2000万食分出てくる。1日平均240万平方Mとなり、これはサッカー場336カ所分に相当する。

食品安全

調査によると35.7%の顧客がフードデリバリーは、不衛生、不健康と考えている。この心理的な壁を突破しなければならない。

こうした状況に対し、国家食品薬品安全督察局は「網絡餐飲服務管理辯法」を発布し、業界標準の策定を目指している。また大手2社のサイトには、食品スーパーや、コンビニなども参加し、新しい小売方法の提案に貢献するなど、進化を続けている。

フードデリバリーサービスは、中国の食文化を変えつつある。中国の会食文化は、接待や交渉、一族の結束など、社会で大きな機能を果たしてきた。何か大切なものを手放している感もしないではない。大きな流れが変わりつつあるのは確かのようだ。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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