スーパーマーケットの苦戦が続いている。業界全体の既存店売り上げは4ヶ月連続のマイナス。総合スーパー(GMS)業界最大手のイオン <8267> と2位のセブン&アイHD <3382> の既存店も低迷している。特に、イオンの3-5月のGMS部門は赤字だった。イオンのスーパー部門が不調の理由に迫ろう。

スーパーマーケットの既存店は4ヶ月連続マイナス

日本スーパーマーケット協会が9月21日に発表した17年8月のスーパーマーケット販売統計では、全店売り上げは前年同月比1.3%増の9254億円とプラスを保ったが、既存店ベースでは同0.2%減と4ヶ月連続のマイナスとなった。5月は0.8%減、6月は0.7%減、7月0.4%減だった。

業界大手2社の既存店売り上げは業界平均を下回る

スーパーマーケット業界は、低コスト化を図るためM&Aなどでグループによるスケールの拡大が進んでいる。セブン&アイの資料によると、15年度の業界トップのイオンリテールのシェアは約15%、2位のイトーヨーカ堂が10%で2位。上位10社の占めるシェアは年々上がりつつある。

イオンのGMS部門であるイオンリテールの月次の既存店動向は、3月3.4%減、4月1.2%減、5月3.3%減、6月2.5%減、7月0.1%増、8月2.7%減と、日本スーパーマーケット協会の既存店の数字を下回る厳しさだった。

セブン&アイのGMSであるイトーヨーカ堂の月次の既存店動向は、3月3.7%減、4月2.0%減、5月3.9%減、6月2.7%減、7月0.8%減、8月2.5%減と、既存店の数字ではイオンよりさらに厳しい。

3-5月期はイオンのGMSは67億円の赤字に

イオンの18年2月期第1四半期(3-5月)のGMS事業のセグメント収益は、売上が7530億円(0.7%減)、本業の利益を示す営業利益が67億円の赤字だった。赤字ながらも前年同期の103億円の赤字から35億円改善し、利益の改善幅はイオンの7事業のなかでも最大。実は、イオンの第1四半期の11%増益に最も寄与したのはGMS部門の赤字改善だった。

既存店売上は前年同期比2.7%減だったが、商品改革・売場改革の浸透で粗利は0.2ポイント改善した。特に旧ダイエーの店舗は、イオンの商品・販売施策の浸透で既存店が3.3%増、粗利は1.6ポイント改善している。

セブン&アイの18年2月期第1四半期(3-5月)のスーパーストア事業の収益は、売上が4760億円(3.6%減)、営業利益は53億円(1.6%減)。減収幅はイオンより大きいが営業黒字をキープしている。ヨーカ堂の既存店は3.2%減だったが、テナントミックスによる売り場構成の見直しなどで粗利が0.5ポイント改善した。

イオンのGMS部門は厳しい状態ではあるが、ダイエーの負の遺産を引き継いだことによるものが大きいだろう。イオンのGMS子会社であるイオンリテールの売上は4882億円(1.0%減)、営業損失は62億円だ。粗利は25.7%、販管費および一般管理費率35.6%となっている。

一方、セブン&アイのGMS子会社のイトーヨーカ堂の売上は3112億円(1.6%減)、営業利益7億円(70.5%増)と売上イオンより落ち込んでいるのに黒字だ。粗利は25.7%、販管費および一般管理費率25.5%。両社を比べた場合、粗利は同じ水準だが販管費および一般管理費が10%程度もイオンの方が高い。

その差でイオンが赤字になってしまった。ただ、前述のように旧ダイエー店舗の収益は急速に改善しつつある。前期も第1四半期だけ赤字で残りの3四半期は営業黒字だった。ダイエーの移管コスト等が一巡すれば黒字体質になる可能性が高そうだ。