サラリーマン不動産投資家が増えています。最近では「大家さん」ではなく、「不動産投資家」とも呼ばれています。今や、不動産投資は地主さんだけのものではなくなってきています。今どきの不動産投資家がどんな人たちなのか、その移り変わりと共に紹介していきます。

(写真=sdecoret/Shutterstock.com)
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融資環境と投資環境の変化

不動産の評価には、路線価や法定耐用年数などで計算される積算評価法が長年使われていました。税務上の評価計算で担保価値を見ていたのです。ところが、2002年の国交省による不動産鑑定評価基準の改正による収益還元評価法の導入で変化します。市場でより稼ぐことのできる物件に価値があるとされたのです。

収益還元評価では、高い家賃を期待できる物件は価値が高いとされます。そのため中古物件でも家賃収入が見込める物件なら高く評価し、融資対象となったのです。中古物件は建物が割安で、土地を含めた購入でも投資として成立するため、土地を持たない人にも道が開かれました。

融資基準も変化しました。資産状況だけを見るのではなく、安定した給与の会社員を評価する考えが生まれたのです。給与を返済原資とみなすことで、自己資金の少ないサラリーマンでも不動産オーナーになれる時代が訪れます。

投資環境も様変わりしています。2005年から相次いで不動産仲介専用ポータルが開設され、購入物件を簡単に検索できるようになりました。収益物件を探して不動産屋さんを訪れるのではなく、自宅で物件探しができるようになったのです。
不動産投資を学ぶためのアカデミーや投資家向けサークルも数多く設立され、投資手法の学習も容易になりました。インターネットにあふれる情報を上手に取捨選択し、土日を効率よく使う行動力が今どきの投資家の特徴と言えます。

不動産投資家の変遷

夜明け前
地主系大家さんの時代です。土地ありきのため、資産評価額の圧縮(相続税対策)や税制優遇による節税(損益通算)が目的でした。ハウスメーカーの新築アパートプラン投資が全盛となり、サブリースという家賃の一括借上げ保証制度が脚光を浴びました。

開拓期
投資環境が整う前のリーマン・ショック以前に、一部の先駆者が果敢にチャレンジした時代です。融資環境も整わない中で金融機関と交渉し、道を切り開いていったのです。早期リタイアを目指す、個性的なサラリーマン不動産投資家の誕生です。

導入期
開拓期の投資家の書籍に触発されたサラリーマンが、不動産投資へと踏み出した時代です。リーマン・ショック以降の融資環境や投資環境の整備と軌を一にして、情報感度の高い人たちが続々と大きな実績をあげ、成功例を収録した本の発刊が相次ぎます。

彼らは物件に問題があれば売却して素早く乗り換えるという意味で、地主系大家さんとは大きく異なります。ICTを使いこなし、購入地域も問わないのです。

成長期
低金利が続く中、導入期の投資家の成功に刺激され、2012年頃からサラリーマンの参入が一段と増えました。高属性の正社員だけではなく、低収入層や契約社員、パートタイマーでも成功事例が出ています。女性の比率も格段に上がりました。満室経営やリフォームにも関心が高く、スキルアップに余念がないのが特徴です。

これからの不動産投資家

周りが空室だらけでも、自分の物件が埋まれば不動産投資は成功します。運営ノウハウやリフォームスキルを身に付けて、管理会社と密なコミュニケーションを取ることが秘訣です。立地に縛られない不動産投資家の方が、地主さんより有利な時代なのです。

投資環境や融資環境は整っています。年金や退職金に頼れない自己責任の時代でもあり、給与だけではない、収入の複線化が求められているのです。相続で期せずして物件を所有した地主さんが、漫然と運営できる時代ではありません。何としても満室にするという熱意のあるサラリーマン不動産投資家が、これからも求められるのです。

(提供: Incomepress

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