「不動産投資には興味があるが、多額の借り入れをするのが怖い」「いろいろな不動産に少しずつ分散投資したい」などの要望に応えられるのが、「不動産小口化商品」です。法的な立場は数種類あり、そのうち現物不動産としてのメリットが大きい「任意組合型」について紹介します。
少額でも不動産に投資ができる不動産特定共同事業
一般的な不動産投資は、個人で多額の借り入れを行ってマンションやアパートなどを買い、入居者へ賃貸します。分散投資がしにくかったり、管理の手間がかかったりするというデメリットが発生しやすいものです。これらのデメリットを極力排除する方法として、投資家たちが少額を持ち合い、不動産または不動産事業に出資する、不動産小口化商品や証券化商品があります。投資家の感覚としては、株式や債券などの金融商品に近いでしょう。
法的な枠組みには、「資産の流動化に関する法律(SPC法)」や「投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)」、「不動産特定共同事業法」などがあります。「不動産特定共同事業法」は宅建業者のような不動産の専門家が運営する事業を想定した制度です。「賃貸型」「匿名組合型」「任意組合型」などに分けられます。
任意組合型のメリット
任意組合型は、各投資家が不動産の共有持分を取得します。管理はこの事業のために作った組合が行います。利益の分配を受ける権利ではなく、不動産そのものを所有するというのが特徴です。
匿名組合型のクラウドファンディングや投信法にもとづくREITなどと違い、不動産を持つことの税制上のメリットを発揮できます。まず、取得費用を長期間にわたって費用化することで所得税の節税になる減価償却を利用できることです。
相続税の節税にもなります。現物不動産は評価(相続税の計算上、査定される価格)を下げやすいため、富裕層の節税対策として使われます。1つの不動産を複数名で所有する任意組合型も同様です。一般的に相続税の計算で使われる路線価は実勢価格の8割、固定資産税評価額は7割程度といわれています。現金を不動産に換えるだけで2~3割の減税効果があるのです(実際には税金計算にさまざまな要素があるのでもう少し複雑です)。
相続対策として、もう1つメリットがあります。それは、個人で不動産を所有するよりも、分割しやすいという点です。小口化商品を相続人の数に応じて複数買っておけば、人数割りで平等に分配できます。1つの不動産を複数名で共有したり、収益物件を人数分買ったりするよりも便利です。
不動産小口化商品に共通のメリット
任意組合型に限らず、不動産小口化商品には、少額で投資できるというメリットがあります。金融機関の融資を得ることが難しい人でも、数万円~数百万円の現金があれば不動産投資ができるのです。資産価値が下がりにくい都心の1等地にも土地や建物を持つことができます。
また、管理は不動産のプロが行うので、クレーム対応や修繕の手配などにわずらわされる心配はありません。1から不動産の勉強をしていく自信がない人や、賃貸経営に時間を割くことが難しい人にもおすすめできます。
不動産特定共同事業法は2017年に改正され、小規模不動産特定共同事業が新設されるなど、投資家と事業者の双方にとって、より利用しやすい制度になりつつあります。進化する不動産投資の手法を知り、資産形成に役立ててください。
少額でも現物不動産と同様の効果が得られる不動産小口化商品
不動産特定共同事業法の任意組合型では、現物不動産を複数の投資家で共有します。減価償却や相続財産の評価減など、個人で土地や建物を買うのと同様の節税メリットがあります。小口のため相続時の分割対策にもなります。管理は組合が行うので、時間や手間をかけられない人も投資しやすい商品だといえるでしょう。
(提供: Incomepress )
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