Googleの職業訓練事業に
前回【第1回】ではGoogleのクラウド進出について紹介した。Googleは検索エンジン等ITツールが有名なため、クラウド進出については特に意外性はなかったかもしれない。しかし、実はGoogleはIT以外の分野にも進出している。
その一つが職業訓練事業だ。Googleは職業訓練を支援する非営利団体に今後5年間で10億ドルの助成金を支給するほか、無償のキャリアトレーニングやGoogleの従業員による100万時間相当の無償労働を通し、米国民のITスキルアップを支援する。
支援するのがITスキルアップという点ではITとまったく無関係ではないが、新たな取り組みと言えるだろう。
Googleが重点を置く3つの領域
Googleは「教育」「インクルージョン」「経済的なチャンス」の3つの領域に重点を置いた支援を行っている。
サンダー・ピチャイCEOはプロジェクトの発表会で、テクノロジーによって労働基盤が変化し始めている点を指摘。AI(人工知能)や自動化がそうした現状をさらに加速させ、「教育・トレーニング・機会のつながりに影響を及ぼしている」(USA Today より)。
ピチャイCEOは「現時点では普及していないスキルが、2020年には3分の1の職業で必須となる」と予測している。このままスキルギャップを放置すれば、2年後には社会が深刻な問題に直面することになる。
「すべての人々に新たな技術から生まれた機会を届ける手段」として人材の育成をこれまでない水準で強化し、そのギャップを埋めることが必須となる。10億ドルは単体の助成金としてはGoogle最高額となるが、それだけの価値は十分にあるだろう。