EU,Google,独禁法
(写真=PIXTA)

Googleに対するEUの厳しい目

【第5回】でGoogle税の規制について解説したが、EUは租税回避だけでなく独占禁止法の観点からもGoogleに対して厳しい目を向けている。単に一企業、一業界の問題ではなく、金額規模が大きいだけに国家間の問題にもなりうる事態だ。

租税回避についても独占禁止法についても度々追徴課税や罰金処置が取られているため、今後の動向にも目を向けておくと良いだろう。特にGoogleの広告ビジネスが槍玉に挙がっているため、検索エンジンを活用してビジネスを行っている企業や個人は注目しておいた方が得策だ。

独占禁止法違反では過去最高の制裁金 Googleは上訴へ

欧州委員会は米Googleの検索サイトで自社の商品比較サイト「Googleショッピング」を優先して表示させていた事を問題視している。Googleの検索サイトは欧州諸国の大半で9割を超えるシェアを誇るが、その特権的な地位を利用して、競合他社を締め出していたとされる。kutiコミサイトの米イエルプや旅行サイト大手の米トリップアドバイザー、出版大手の米ニューズ・コープなどからの苦情を受け、調査を始め、2015年と2016年には二度にわたって異議告知書をグーグルへ送付し、警告を行っていた。

Googleに命じられた制裁金は43億4000万ユーロに上る。欧州委員会による独占禁止法違反に課す制裁金としては、2017年にGoogleが命じられた額(24億2000万ユーロ)を上回って過去最高となる。90日以内に違反行為をやめなければ、1日あたりの売上高の最大5%の罰金を、さらに毎日科すとした。

Googleは今回の判決は不服であるとしており、EU司法裁判所への上訴を検討している。Googleの持ち株会社である米アルファベットは2018年6月末時点で1022億ドルの手元資金を抱えており、制裁金の支払いが業績に与える影響は軽微である。しかし、今後の事業展開に大きく関わってくる問題であり、簡単に引く事が出来ない事情がある。法廷での争いに入れば、争いは長期化する可能性もある。

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