「配当取りの動きで日経平均株価が上昇」というニュースは株式市場を賑わせることが多い。これは配当の権利を取得するためには決められた日に株を持っていなければならないことから、その日に向け、株が買われる傾向から発生する現象によるものである。
ある意味では、配当で投資家を満足させることができる企業は株も簡単には売られない。配当を出す企業の数は3の倍数月(3、6、9、12月)に多いが、直近9月でもやはり配当に向けた株価の上昇が見られたようだ。
ここでは次に決算企業数の多い12月に向け、業績が増収増益で配当利回りが高い企業を紹介する。ここでいう「増収増益」は、2016年実績数値に対して、2017年会社予想が売上・純利益ともに増加している企業を指す。また、以下の配当金額は年間での配当金額であり、12月にすべての金額が配当実施されるわけではない点に注意していただきたい。(株価は2017年10月25日終値)
トライアイズ <4840>
グローバルインベストメント事業、ファッションブランド事業、建築コンサルタント事業などを行う。直近の業績予想では通年での売上高は下方修正されたものの、純利益は大幅に増加。記念配当も実施予定。
【株価】403円
【配当】15円(3円分は記念配当)
【配当利回り】3.72%
【必要投資金額】100株で40300円
DIC <4631>
印刷インキの製造販売を国際的に事業展開する同社。基礎素材である有機顔料、合成樹脂分野の事業を拡大している。同社は2017年8月に発表された第二四半期決算でも前年に比べて微増ながら増収増益のペースを保っている。PERも10倍代と未だ割安の範囲内。
【株価】4150円
【配当】120円
【配当利回り】2.89%
【必要投資金額】100株で415000円
あおぞら銀行 <8304>
東京都千代田区に本社を置く普通銀行。通期会社予想は収益が増加、純利益は微増の予想となっている。決算月が3月、6月、9月、12月の4回であり、その都度配当を実施している。2017年10月1日に株式併合を実施。
【株価】4425円
【配当】200円
【配当利回り】4.16%
【必要投資金額】100株で442500円
CDS <2169>
取扱説明書・技術マニュアルの作成、デジタルコンテンツの企画、エンジニアリング事業などを事業として行う。配当性向(配当を出す目安となる指標)を30%以上と定めており、株主還元を重視。
【株価】1330円
【配当】40円
【配当利回り】3.01%
【必要投資金額】100株で133000円
桧家ホールディングス <1413>
不動産中心に保育・介護事業も行う企業。通年では順調な増収増益ペースを保っている。好業績高配当でありながら、PERは8倍代と割安株としての側面も持っている。2017年3月に市場変更で名古屋証券取引所から東京証券取引所へ移ったため、より多くの投資家からの投資も期待される。
【株価】2570円
【配当】80円
【配当利回り】3.11%
【必要投資金額】100株で257000円
日本エスコン <8892>
マンション分譲、商業施設など手がける総合不動産企業。分譲戸建て住宅からホテル開発、不動産投資顧問まで幅広く業務展開を行っている。2017年は前年比で大幅増収増益の会社予想となっている。
【株価】513円
【配当】15円
【配当利回り】2.92%
【必要投資金額】100株で51300円
ウィル <3241>
関西圏で戸建・マンションの売買仲介やリフォームを扱う不動産企業。その他不動産企業と同様PERは8倍代と低い数値。株価は順調に上昇トレンドを継続中。必要投資金額が低いのも魅力。
【株価】393円
【配当】13円
【配当利回り】3.31%
【必要投資金額】100株で39300円
高配当銘柄は株価下落局面で狙うべし
高配当銘柄は配当の魅力ゆえに業績に対して株価が上がってしまっていることも多い。その点上記に挙げた企業は高配当ながらもPERが低めの数値を保っているなど、いまだ割安圏にある株式とみることもできそうだ。
高配当企業を買う際には、相場全体が下がったタイミングで企業の個別の株価が連れ安した時に仕込むのが良い方法だ(個別企業の業績や配当絡みで下がった場合には買ってはいけない)
現在は解散総選挙が材料となり相場全体も上がっているが、どこかで反動安をすることもあるかもしれない。そんなタイミングでは12月へ向けて好業績高配当株を仕込んで見るのもよいのではないだろうか。
谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある