「財テク」という言葉があります。いわゆる投資や資産運用によってお金を増やすことを意味していますが、こと日本人に関して言えば、この財テクがもっとも苦手な民族と言っても過言ではないかもしれません。事実、財テクで成功している人はごく一部の人に限られています。
では、なぜ日本人は財テクが苦手なのでしょうか。それにはハッキリとした理由があります。その理由とは、「学校で財テクに関する知識を学んでこなかったから」ということなのです。こと日本の義務教育においては、財テクについて学ぶことはありません。
一方で海外では、小さいときから財テクについての知識を与えられます。特にアメリカでは、「いかに自分の資産を運用するべきか」ということを、家庭や学校で学ぶことが正しいとされているのです。これはまさに、文化の違いとしか言いようがありません。
一概にどちらが良いとは言えません。しかし、お金に苦労している人が多いという現状をふまえると、日本でももっともお金に関する知識を自然に得られる環境があった方がいいでしょう。例えば、不動産投資についての知識などは、その典型的なものです。
特に不動産投資は、会社員に向いている投資となります。それにも関わらず、多くの人は不動産投資についての知識がありません。興味はあったとしても、その内容についての基礎的な知識を得られる場が限られているため、着手できていないのが現状です。
そこで本記事においては、不動産投資の基本的な内容をマスターできるように、必要事項を網羅しています。最初から最後まですべてしっかりと読み込んでいただければ、不動産投資をスタートするだけの基礎が身につくように工夫して構成しました。
不動産投資で押さえておくべき知識は次の通りです。
・ 不動産投資の概要
・ 不動産投資に必要な資金
・ 物件の管理について
・ 投資するべきエリアについて
・ 会社員がもつ資産「与信」について
それぞれ順番に見ていきましょう。
不動産投資の概要
そもそも不動産投資とは、何らかの利益を得ることを目的として、不動産を所有・売買することを指しています。自らが住むための住宅購入(一戸建てやマンションなど)とは異なり、あくまでも“利益をあげることが目的である”という点に注意してください。
具体的な方法としては、銀行からお金を借りてマンションやアパートを購入し、賃貸物件として貸し出すことによって毎月の賃料を得たり(インカムゲイン)、あるいは購入時の価格よりも高値で売却して利益をあげたりする方法(キャピタルゲイン)のがあります。
不動産投資においてはもちろんのこと、あらゆる投資において「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」というそれぞれの概念は重要です。どのような仕組みで収益をあげるのかを理解することにもつながりますので、ぜひ覚えておくようにしてください。
ちなみに、投資全般におけるインカムゲインの定義については、「ある資産を保有することによって、安定的・継続的に得られる現金収入のこと」とされています。まさに賃料などは、(入居者がいる限り)安定的・継続的に得られる現金収入というわけです。
証券投資(株や投資信託など)におけるインカムゲインには、いわゆる「配当」があります。ここでは深くふれませんが、とくに企業が支払う配当金はここ数年、低水準で進んでいます。その点、不動産投資の賃料収入は、インカムゲインの代表格と言えるでしょう。
また、投資全般におけるキャピタルゲインの定義としては、「保有している資産の価格が、購入時よりも値上がりすることによって、売却時に得られる利益(リターン)のこと」となります。毎日のように変わる株価を考えれば、イメージしやすいことと思います。
このように、インカムゲインとキャピタルゲインから不動産投資について考えてみると、時代によっても異なりますが、その性質(収益体系)は“インカムゲインが主流である”と分かります。つまり、継続的・安定的な家賃収入を得ることが不動産投資の基本となります。
どのくらいの「資金」が必要なのか
では、不動産投資を実践するために、どのくらいの資金が必要なのでしょうか。マイホームをイメージしていただければ分かりますが、不動産の購入にはおおむね数千万円ほどの資金がいることは容易に想像できます。地域によっては1億円以上のものもあります。
「そんな大金はもっていない」「お金がないから自分には不動産投資などできない」。そのように考えている人もいるかもしれません。しかし、誤解しないでください。不動産の購入に必要なすべてのお金を、自己資金として用意する必要はありません。
自己資金で用意しないとなると、どうすればいいのでしょうか。マイホームの購入と同じです。銀行をはじめとする各種金融機関からお金を借りればいいのです。「お金を借りるのは気が引ける」と思う方は、ここで「レバレッジ」という概念について理解しておきましょう。
レバレッジ(leverage)とは、他人の資本を使うことによって、自己資本に対する利益率を高めることを言います。語源は「てこ(レバー、lever)」にあります。つまり、てこの原理によってお金を大きく増やす(利益率をあげる)ことが、レバレッジとなります。
自己資本だけを利用した経済活動においては、用意できる費用が限られています。そのため、投資をするにしても、事業をするにしても、大きく稼ぐことは難しいのが実情です。その点、他人の資本を利用することによって、レバレッジをきかせられます。
想像してみてください。5%の利回りが得られると仮定した場合、100円用意するのと1億円用意するのとでは、投資による利益の差はどのくらいあるでしょうか。一方はたったの5円、もう一方はなんと500万円です。極端な話、これだけの差が生じるものなのです。
だからこそ、自己資金だけで投資するのは効率が悪いとされています。不動産投資においても、銀行などの金融機関から融資を受けて物件を購入し、家賃収入を得つつ返済していくのが一般的です。あらかじめ試算しておけば、計画的な投資が可能となります。
とくに会社員の方であれば、不動産投資は向いています。なぜなら、銀行から融資が受けやすいためです。会社員という立場は安定しており、銀行からの評価もよく、条件によっては審査が通りやすいのです。この「与信(返済に対する信用)」を上手に活用することがポイントとなります。
実際に不動産を購入する場合には、融資を受けるにしても、物件価格の2~3割は、自己資金を用意することとされています。ただし、条件によってはフルローン(全額を融資で賄うこと)で行うことも可能なので、金融機関に相談してみるといいでしょう。
物件購入後の「管理」について
不動産投資において、重要なのは物件の購入だけではありません。マンションやアパートを購入したあと、その物件を「管理」についても意識しなければなりません。この管理がうまくいかないと、不動産投資で成功することは難しいでしょう。
しかし、管理をおろそかにした結果、不動産投資に失敗してしまう人があとを絶ちません。「優良物件さえ購入すればそれでいい」という考えは、あくまでもキャピタルゲイン狙いの場合だけであり、インカムゲインを狙う場合には正しくありません。
例えば、不動産投資における管理には次のようなものがあります。
・ 入居対応
・ 入金管理
・ 物件管理
・ 退去対応
・ トラブル対応
など
これらの管理をきちんと行っていないと、入居率が低下してしまい、結果的に家賃収入を思うように得られなくなってしまいます。家賃収入がなければ、不動産投資での収益率は大きく低下します。だからこそ、管理にもきちんと力を入れることが大切です。
ただし、これらの管理をすべて自分で行う必要はありません。とくに忙しい会社員にとって、管理を自ら行うというのは現実的ではないでしょう。そこで、専門の「管理会社」に委託することになります。つまり、アウトソーシングするのです。
管理会社に委託する場合には費用がかかりますが、この費用についても、あらかじめ試算しておけば無駄がありません。管理にかかる費用は管理会社によって異なりますが、おおむね賃料収入の数%ほどと理解しておけばいいでしょう。
管理費用の他、不動産投資においては「ローン金利」「固定資産税」「修繕費」「保険料」などについても考慮しておく必要があります。それらをすべて計算し、家賃収入とあわせてシミュレーションしておけば、どのような物件を購入するべきかが分かるようになります。
高利回りを実現する「投資エリア」とは
次に、投資すべきエリアについて見ていきましょう。実際に不動産投資を行う場合、どこの地域で物件を購入すればいいのでしょうか。結論から言うと、投資するエリアに正解はありません。どの地域にも特色があり、その特色をふまえたうえで投資を行うことが大切です。
例えば東京都心で物件を購入する場合を考えてみましょう。東京都心は人口密度が高く、入居率も高水準であることが見込めます。とくに駅から近いエリアであれば、高い入居率を維持することができるでしょう。家賃が高額でも、相場内であれば問題ありません。
ただし、都心の物件は高額です。物件価格は土地と建物の値段で決まるので、土地が高い都心はそれだけで価格が跳ね上がってしまうのです。融資を行える金額にも限度がありますし、あまりに大きな借金を抱えるのも考えものです。その点、バランスを考えて決断する必要があるでしょう。
一方で地方の場合は、物件を安く購入できるというメリットがある反面、エリアによっては入居率が低い傾向にあります。入居者がいなければ家賃収入を得ることはできません。地方での不動産投資は、ある意味において、玄人向きと言えるかもしれません。
ですので、これから投資をはじめる方は、入居率の高い都心でチャレンジすることをオススメします。とくに需要の高い新築あるいは築浅の物件を購入すれば、高い入居率を維持することが可能です。物件価格との兼ね合いもふくめて、検討してみるといいでしょう。
会社員の方が不動産投資を行う場合の注意点としては、本業をおろそかにしないということです。不動産投資のことが気になり、本業が手につかなくなってしまえば、本末転倒です。あくまでも、本業に集中できる環境にて、不動産投資を行うことが大切です。
その点、入居率や管理について不安を抱えてしまうような物件は避けた方がいいでしょう。また、キャピタルゲインを狙うような相場を判断しなければならない物件も同様です。そのような物件ではなく、あくまでも家賃収入をコンスタントに得られる都心の物件が最適だと言えるでしょう。
「与信」という資産を活用して
不動産投資という財テクは、会社員の方が副業としてお金を増やす方法として、もっとも適していると考えられます。本記事で見てきた通り、きちんとシミュレーションをしておけばリスクも少なく、管理や相場の動きなどで時間をとられることもありません。
その他の投資に関しては、どうしても時間や労力がかかります。株式投資をするにしても、つねに相場をチェックしておかなければなりませんし、FXなども同じです。そうなると、本業に支障をきたしてしまい、結果的にうまくいかないことが少なくありません。
その点、不動産投資はアウトソーシングが容易です。信頼できる管理会社が見つかれば、あとは安心してまかせることができます。もちろん、管理会社との人間関係は大切なので、定期的に、顔を合わせるなどの工夫は必要でしょう。つまり、その程度で十分なのです。
また、レバレッジという観点からも、不動産投資はオススメです。会社員がもつ与信という資産を活用して、大きな資金を動かしつつ、コツコツと資産形成をする。それができるのは、会社員の特権と言ってもいいでしょう。もちろん、返済が終わった物件は資産にもなります。
将来が見通せない現代において。不動産投資を行う人は、これからも増えていくことが予想されています。あらゆる投資に言えることですが、いち早く取り組んだ者にこそチャンスがあるのです。
興味はあるけどまだ不動産投資に着手できていないという人は、この機会に、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
(提供: Incomepress )
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