腕時計や高級車は、実用的なアイテムとしてはもちろん、ステータスの証という点でも持つ意義や価値があります。今回はただせっかく高額なアイテムを購入するのであれば、「使いたい」「持ちたい」という“消費”の視点だけではなく“投資”という視点を加えた考え方をご紹介します。
時計の王様「ロレックス」
高級時計と聞いて思い浮かべるブランドは人それぞれ。007もつけたオメガ、かつてはF-1、いまはインディカー公式計時のタグ・ホイヤー。世界3大高級時計ブランドであるパテック・フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタンやオーディマ・ピゲ。時計専門のブランド以外にもカルティエやブルガリをイメージする人も多いでしょう。
しかし腕時計の知識や興味の濃淡を問わず、誰の口からも挙がるのがROLEX(ロレックス)です。王冠をロゴとしたロレックスは時計界の王様。自動巻きのパーペチュアル機構、日付が午前0時のタイミングで替わるデイトジャスト機構などを発明したことでも知られます。エクスプローラーやサブマリーナー、デイトナ、ミルガウスなど、そのラインアップはいずれも世界中で高い人気を誇ります。
あまりの人気と浸透ぶりに、「今さらロレックス?」と思われるかもしれません。ただ世界中で人気が高いということは需要が高いわけで、中古市場も存在し、価格は安定しています。
人気にも関わらず流通量を抑えているため中古になっても値崩れが大きくありません。むしろレア物、限定品や珍しい色やデザイン、生産終了品など希少なモデルなどは販売時点よりも価格は高くなります。
ことに2017年は高級腕時計の中古市場が活況です。腕時計投資家の斉藤由貴生さんは「多くの腕時計が目を離した隙に値上がりしているぐらい」と表現。過去1年で数十万円高くなった時計はいくつもあるそうです。氏のまとめによる上位5モデルをみると、最も高くなったのは+160万円のパテック・フィリップですが、2位から5位まではすべてロレックスでした。
値上がりする一品を素人が見つけて買うのは容易ではないでしょう。しかし、中古でも比較的高い価格で買い取ってもらえるものを選ぶことで、大きく値下がりするリスクを軽減することは可能です。中古市場での高級時計の買取価格は、販売価格の約50〜60%が相場と言われていますが、ロレックスの人気が高いモデルは、70〜80%です。
自動車では「フェラーリ」が価格上昇中
腕時計と並んで趣味の極致といえる高級車。メルセデスやBMW、アウディといったドイツの御三家、ロールス・ロイスやジャガー、アストンマーティン、ベントレーなど英国車も人気です。イタリアのフェラーリ、ランボルギーニ、マセラティなども忘れてはいけません。
高級車の場合も、購入して1年も乗り続ければ、(走行距離やメンテナンスの程度などにもよりますが)買い取り価格が買値の半額以下になることは珍しくありません。ただその中でもフェラーリの場合は事情が違います。
“跳ね馬”の愛称で知られるこのイタリアの高級車メーカーは、世界中で人気があるだけでなく、製造販売台数を抑えるブランド戦略のため、そもそも希少性が高く、新モデルが出ると数年の納車待ちになることも珍しくありません。中古車サイトなどを見ても、新車価格を上回る値段がつく車もあります。
日本でも特にバブル期に人気は急騰。人気モデル「F40」は新車価格4,650万円に対し、5倍以上の2億5,000万円がついたなどの逸話も多くあります。
実は今年、70周年を迎え、記念モデル「ラ フェラーリ Aperta」が209台限定で生産されました。9月に行われた70周年記念イベントでチャリティ用に生産した210台目がオークションに出されたところ、830万ユーロ(約10億7,700万円)で落札されました。売り上げがセーブ・ザ・チルドレンに寄付される特別なイベントであったとはいえ、その人気振りがうかがえます。
フェラーリのこれほどのまでの人気を後押ししているのは、2000年代に入って高まったクラシックカーブームと、フェラーリが2006年に創設した、価値あるクラシックカーを認定する「フェラーリ・クラシケ」という制度でしょう。ヴィンテージ中古車のメンテナンス、認定制度の総称で、これが生まれたことで、今後状態のいい中古フェラーリは“認定”され、より高いプレミアが付く可能性があります。
ここ数年フェラーリの価格はじわじわ、または急に上がっています。数年前には500万〜700万円程度で買えるものもある、比較的手が出しやすいと考えられた「テスタロッサ」や「308GTB」などでも、最近では1,000〜2,000万円クラス(もしくは価格応談)になっています。購入して数年乗っている間に、値下がりするどころか値上がりすることもあるのです。
価格予測までは難しいかもしれないが……
こうして考えると、車や自動車も「手元に置きたい」「使いたい」「持っていたい」という欲求だけで決めるのではなく、「資産価値が上がるか」「値崩れしにくいか」といった“投資”の視点も持ったほうがいいと思えないでしょうか。
本気で価値や価格が上がる可能性、価格予測までして買うなら、それぞれの分野とマーケットに関する知識・経験が必要になります。ですからあくまで基本は、時計にせよ車にせよ実用品として楽しみ、自分の生活をより豊かにするためのアイテムとして位置づけることになるでしょう。
しかしせっかく高い買い物をするのであれば、「資産」としての可能性、値崩れのリスクについて考える、“投資”の視点も持ちつつ、具体的に購入する一品を決めたいものです。(提供:DR‘S WEALTH MEDIA)