14日に発表された10月の中国景気指標は予想を下回る結果となった。その影響で、翌日のNY市場ではエネルギー、素材関連などに売りが出た。経済、輸入規模がアメリカに次ぎ世界第2位であり、かつ、成長率が6%を超える国の景気に変調があれば、世界経済に与える影響も大きい。今回は中国の足元の経済状況について紹介しておきたい。

10月は素材関連を中心に生産量が低下、インフラ投資は鈍化、消費は低迷

中国経済
(画像=PIXTA)

【生産面】
生産面をみると、10月の鉱工業生産は6.2%増で、前月と比べ▲0.4ポイント低下、市場コンセンサスを▲0.1ポイント下振れした。景気の動きに敏感に反応する発電量は2.5%増で、前月よりも▲2.8ポイント低く、2016年6月以来の低水準である。NY市場で意識された鉄鋼について、鋼材生産量は▲1.6%減で、9月の1.8%減に続いて、2か月連続でマイナスとなった。非鉄金属は▲3.3%減で、9月の▲3.1%減、8月の▲2.2%減に続いて3ヵ月連続でマイナスとなった。そのほか、セメントは▲3.1%減で、5か月連続でマイナスとなった。

産業規模、需要の広がりが大きい自動車生産では0.6%増とプラスを保ったものの、9月を2.5ポイント下回っている。国際原油価格は6月下旬をボトムに上昇基調となっているが、価格上昇を好感して、原油加工量、エチレンなどの生産量はプラスの伸びをキープしている。ただし、伸び率は鈍化している。

【設備投資面】
設備投資面をみると、10月累計の固定資産投資は7.3%増で、市場コンセンサス並みではあったが、前月累計よりも▲0.2ポイント低かった。製造業投資は4.1%増だが、9月累計と比べると▲0.1ポイント低い。インフラ投資は19.6%増で引き続き高い伸び率を維持しているものの、9月累計と比べると▲0.2ポイント低い。そのほか、民間固定資産投資は5.8%増で▲0.2ポイント低く、全国不動産開発投資は7.8%増で▲0.3ポイント低かった。

【消費面】
消費面をみると、10月の小売売上高は10.0%増で9月と比べ▲0.3ポイント低く、市場コンセンサスを▲0.5ポイントも下回った。

【貿易面】
貿易面をみると、10月の輸出(米ドルベース、以下同様)は6.9%増で、前月と比べ▲1.2ポイント低く、市場コンセンサスを▲0.3ポイント下振れした。輸入は17.2%増で、前月と比べ▲1.5ポイント低下したものの、市場コンセンサスと比べると1.2ポイント上振れした。

10月の状況をまとめると、設備投資はインフラ投資が息切れ、製造業投資は低迷、民間投資、不動産投資も鈍化している。小売りは予想ほど良くない。外需は予想以上に鈍化している。生産面では、発電量、自動車などはかろうじてプラスの伸びを確保したが、伸び率は鈍化。鋼材、非鉄金属、セメントはマイナスの伸びである。景気は予想以上に鈍化していることがはっきりとわかる。

共産党は成長よりも安定を重視する方針