老後を安心して生活できるように年金を個人でも準備する時代になってきた。年金と一口に言っても、いろいろな種類がある。そこで今回は、大まかな種類と内容を見ていくことにする。

年金の体系と種類

国民年金
(画像=PIXTA)

まず年金を大きく分けると公的年金と私的年金に分類される。公的年金には、加入者が全員入る「国民年金」と会社員などが入る「厚生年金」がある。

さらに私的年金は「個人年金」と「企業年金」に分けられる。個人年金は、生命保険会社や損害保険会社、共済などが扱っている。個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は私的年金の中に含まれる。

老後の生活を支える老齢年金(公的年金)

老齢基礎年金(国民年金)は、20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた人は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給される。平成29年4月分からの年金額は満額で77万9300円。

老齢厚生年金は、厚生年金の被保険者期間があって、老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たした人が65歳になったときに、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金が支給される。

残された家族をサポートする遺族年金(公的年金)

遺族年金とは、公的年金の被保険者や被保険者であった人が亡くなった場合、その人の遺族に対して支給される年金のことである。

遺族基礎年金は、死亡した人に生計を維持されていた子のいる配偶者、または子に支給される。遺族厚生年金は配偶者・子、父母、孫、祖父母の順で支給が受けられる。ただし、先順位の遺族があるときは、後順位の遺族は遺族厚生年金を受け取ることができない。

病気やケガ障害を負ったときの障害年金(公的年金)

老齢年金や遺族年金ほどには知られていないが、公的年金の被保険者や被保険者であった人が、病気やケガのために障害を負ってしまった場合やその治る見込みがない場合には、一定の保険料納付要件のもと、その症状に応じて障害基礎年金が支給される。

また厚生年金に加入していた場合には障害等級3級があり、3級よりも軽い障害が残ったときは一時金が支払われる。

個人年金にはどんなものがあるのか

個人年金には、生命保険会社、損害保険会社の保険型と銀行、信託銀行、証券会社が扱う貯蓄型がある。個人年金保険は、被保険者の生存を条件に保険金が支払われるものであり、主に老後の生活資金の準備を目的として利用されることが多い。

個人年金保険(受取り期間タイプ別)

(1)終身年金 被保険者が生きている限り年金を受け取ることができ、被保険者が死亡すると年金が支払わなくなるタイプである。長生きするほど有利になる。「保証期間付終身年金」であれば、年金の受け取り開始後に被保険者が死亡しても、保証期間内であれば遺族が受け取り予定だった年金を受け取れる。

(2)確定年金 契約のときに定めた期間(5年、10年、15年など)、被保険者の生死にかかわらず年金が支払われるタイプである。契約時に定めた期間中に被保険者が死亡した場合には、残存期間について継続して年金を遺族が受け取るのか、残存期間の年金現価を遺族が一時金で受け取るのかを選択する。

(3)有期年金 10年、15年などあらかじめ定めた年金受取期間に、被保険者の生存を条件に年金を支払うタイプである。年金受取期間中に被保険者が死亡するとそこで年金は打ち切りとなる。

「保証期間付有期年金」は、保証期間中には被保険者の生死にかかわらず年金が支払われる。保証期間中に被保険者が死亡した場合は、残存期間の年金を遺族が年金で受け取るのか、一時金で受け取るのかを選択できる。

(4)夫婦年金 夫婦のいずれかが生きている限り年金を支払うタイプのものである。たとえば夫が年金を受け取りその後死亡した後は、妻が夫の年金を引き継ぐ形になるもので、夫婦2人同時に年金が支払われるものではない。

変額個人年金保険 運用実績で将来受け取れる年金額が変わる

個人年金保険には定額タイプのものばかりではなく、変額のものもある。変額個人年金保険は、契約者から払い込まれた保険料を個別のファンドで運用し、運用実績によって、将来受け取れる年金額が変動するものをいう。年金開始時点で年金額が決まる仕組みになっている。

変額個人年金保険は株式を多く組み入れて積極運用を行うタイプが主流になっており、選択できるファンドや死亡給付金、年金の最低限度額などは保険会社各社で異なる。この保険は初期費用や運用関係、保険関係のコストがかかるのが特徴だ。なお、解約返戻金額については最低保証がないので注意したい。受取は保証期間付終身保険や確定年金で受け取るタイプが多い。

また、年金受取開始前に死亡した場合は、死亡日の積立金相当の死亡給付金が、受取開始後であれば年金現価相当額が死亡一時金として支払われる。

確定拠出年金(DC)不測の事態に備えて、必要な金額をすべて自分で準備するとしたら、多額のお金が必要だ。国の制度も考慮に入れ、個人で備える参考にしたい。

池田 幸代 お金と老後のお困りごとコンシェルジュ
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業を営む傍らで夫の両親の介護に従事。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに、2016年にFP業務で株式会社ブリエを設立し、福岡を中心に活動中。 FP Cafe登録パートナー