ドル円予想レンジ112.00-114.35

「(総裁後任人事については)全く話はなかった」-。これは12/5の黒田日銀総裁による発言だ。安倍首相から日銀総裁の続投要請があった場合に関しても「私から何か申し上げるのも僭越だ」とし、明言を避けている。

黒田総裁続投なら現策は「2023年」まで続く

安倍首相と黒田日銀総裁は、12/5に首相官邸で昼食を取りながら会談を行った。今後の金融情勢に関する内容だったとされる。しかし、黒田総裁が2018年4月8日に任期満了を迎えることから、続投要請や打診、またはお互いの腹の探り合いぐらいはあった、と読むのが普通だろう。筆者は“黒田続投”、と睨んでいる。

理由は2つ。11/6週号でも指摘したが、①10/22投開票となった衆院選挙期間中に日経平均株価の水準が“失われた20年”を取り戻し、与党はアベノミクスの成果だと訴えることが出来たこと。②黒田総裁にしてみれば、昨年9月から続けている短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%程度とする「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」政策継続のお墨付きを選挙で得たことである。少なくとも、政治が黒田総裁に勇退を迫る大義名分は見当たらない。

1944年生まれの黒田日銀総裁には些かハードとの見方もあるようだが、総裁自身が12/5の参院財政金融委員会で、現行策を「粘り強く進めていく」と答弁している。これを以て「再任5年・2023年迄」への続投意思表明、と筆者は受け取った。

イエレン最後の利上げと今後

米利上げ確率を示すシカゴFEDウオッチでの12/13・FOMC利上げ確率は90%超(12/8時点)とほぼ織り込み済み。焦点は、来年2月に任期終了となるイエレンFRB議長が今後の利上げペースをどのように示すかだ。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の1カ月物・3カ月物の金利が月末・年末期需要と相まって、それぞれ1.40%、1.51%と2009年12月以来の水準にまで急上昇している。ドル調達コストの急変が直物ドル円レートに影響を及ぼす可能性も留意すべきだろう。

12/11週のドル円

上値焦点は11/15高値113.51、日足雲上限113.521。超えれば11/14高値113.92、11/9高値114.08、11/7高値114.35意識。11/4高値114.75は望外か。下値焦点は週足雲上限112.474、12/7安値112.215、11/6安値111.98、11/30安値111.725、200日線維持。下抜けた際は12/1安値111.40、11/29安値111.375を推考。

為替相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト