中国人はブランド好き、ランキング好きである。とくに経済大国となってからは何でもランキングしたがるようだ。上海に「胡潤研究院」という機構がある。胡潤という人物の創立した「富」に関する研究を行う専門の機関で、毎年各種のランキングを発表している。その中に企業ブランド価値を数値化したものがあり、これは現代中国のダイナミズムをよく表している。以下分析を加えてみよう。

ブランド価値トップ10

中国経済,まとめ・ランキング
(画像=PIXTA)

それは“最具価値中国品牌”といい、中国で高い価値を持つブランドをランキングしたものである。12年連続で発表され、注目度は非常に高い。今年はトップ200のうち、「非国有品」つまり外国ブランドが114、純国産のものは86だった。トップ10は以下の通りである。増加率は前年比。(1元=17.1日本円)

10位 天猫 1500億元 25%増(アリババのB2Cネットショッピングサイト)
9位 中国平安 1510億元 44%増(保険会社から総合金融グループに)
8位 貴州芽台 1900億元 124%増(マオタイ酒メーカー)
7位 中国移動 1920億元 15%減(中国電信「三大運営商」のトップ)
6位 建設銀行 2000億元 29%増(国有四大銀行の一つ。アリババと提携)
5位 微信 2200億元 67%増(騰訊=テンセントのSNS、利用者10億人に迫る)
4位 工商銀行 3100億元 45%増(国有四大銀行のトップ)
3位 百度 3150億元 44%増(検索エンジントップ)
2位 騰訊 3500億元 67%増(ゲーム、SNSでトップ)
1位 淘宝 4500億元 96%増(アリババのC2Cネットショッピングサイト)

アリババとテンセントは2つランクインしている。メーカーは貴州芽台だけである。ここから国有企業4社を排除し、純粋な民営企業に絞ると、以下のようになる。

10位 順豊 750億元 456%増(香港資本深セン本社の物流会社)
9位 滴滴出行 800億元 220%増(ライドシェア、配車アプリ)
8位 華為 1080億元 96%増(通信機器メーカー)
7位 京東 1130億元 43%増(ネット通販2位)
6位 天猫 1500億元 25%増
5位 中国平安 1510億元 44%増
4位 微信 2200億元 67%増
3位 百度 3150億元 44%増
2位 騰訊 3500億元 67%増
1位 淘宝 4500億元 96%増

7位~10位に今年活躍した民間企業がランクイン。メーカーは華為(ファーウェイ)のみ。

ランクアップ、ランクインのトップ10

次に大幅ランクアップのブランドトップ10を紹介する。

10位 圓通 124億元 124%増(物流)
9位 中通 105億元 209%増(物流)
8位 申通 128億元 213%増(物流)
7位 韵達 58億元 220%増(物流)
6位 滴滴出行 800億元 220%増(ライドシェア、配車アプリ)
5位 漢庭 93億元 285%増(ホテルチェーン)
4位 碧桂園 410億元 341%増(不動産)
3位 恒大 640億元 443%増(不動産)
2位 順豊 750億元 456%増(物流
1位 吉利 225億元 626%増(自動車製造)

なんと物流会社が5社と半分を占めた。ネット通販全盛によるのは間違いない。メーカーはやはり1社、吉利だけである。

最後に新規200位以内ランキング入りブランドトップ10を紹介する。

10位 VIVO(通信機器メーカー)
9位 雅居楽(不動産)
8位 菜鳥(物流、アリババ系)
7位 陌陌(SNS)
6位 鍵屋(不動産)
5位 口碑(生活サービス)
4位 大疆(ドローンメーカー)
3位 融創(不動産)
2位 今日頭条(ポータルサイト)
1位 微博(ミニブログ)   メーカーはVIVOと大疆(DJI)の2社だった。

以上のランキングから、中国経済変化の様子はよくわかる。ほとんどオンラインを主戦場とする企業ばかりになっている。また中国経済のネックが物流であることもはっきりしている。不動産会社は企画提案力のあるところが伸びている。実業でもソフト面に見るべきものがない企業は、いずれ淘汰される形勢だ。今後とくにランクアップ、ランクインした企業の動向には注目したい。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)