株の楽しみは値上がり益や配当だけではない。企業が用意する様々な株主優待も株式投資の魅力の一つだ。自社商品の贈呈やQUOカード、食料品、割引券など様々な優待内容があるが、中でも常に人気を集めている優待が空運業大手のANAホールディングス <9202> と日本航空 <9201> だ。数ある優待銘柄の中で昔から人気を集め続けるANA・JALの優待についてそれぞれ今回は解説していく。

ANAはどんな会社なのか

株主優待,日本航空,全日空

優待の前にまずはANAという会社について解説しておこう。

同社は国内線、国際線ともに首位を誇る日本を代表する航空会社である。グループ企業にはLCCのバニラ・エアやPeach Aviationなどがある。2017年3月末時点で268機の航空機を所有しており、ボーイング787を世界で初めて導入したことも話題となった。2017年3月31日時点のグループ全体で3万9243人もの従業員を抱えている。年間輸送客数は5200万人、就航都市は国内線52都市、国際線41都市となっている。

ANAの最近の業績・株価・配当の状況

2017年3月決算短信によると、連結ベースで売上高は前年度比1.4%減の1兆7652億5900万円、営業利益は同6.7%増の1455億3900万円、経常利益は同7.4%増の1403億7500万円、当期純利益は同26.4%増の988億2700万円となっている。為替の影響で売上高は減少したが、国内・海外経済の緩やかな回復が続く中で、訪日外国人の増加などにより増益となった。

2017年11月1日に発表された2018年3月期第2四半期決算では、連結ベースで売上高は前年同期比11.3%増の9850億4900万円、営業利益は同28.5%増の1150億8400万円、経常利益は同35.1%増の1127億3600万円、四半期純利益は同106.1%増の1183億8400万円と増収増益となっており、好調な四半期決算内容から通期見通しの上方修正も行われた。

現在の株価は4680円(12月12日執筆時点終値)だ。年初来高値は12月12日の4700円、年初来安値は2月16日の3050円となっている。業績が好調なことも影響し、株価も直近の12月12日に年初来高値を更新するなど、堅調に推移している。

配当に関しては、2017年3月期同様に1株あたり60円(株式併合の実施により6円から60円に)と昨年同様の配当金が予定されている。

ANAの株主優待制度

それでは本題のANAの株主優待制度について解説しよう。同社の株主優待制度では3種類の優待が贈呈される。

(1)ANA国内線で利用可能な50%割引券(片道1区間搭乗時普通運賃から50%割引)

ANAの優待と言えば、こちらのANA国内線で利用可能な50%割引券が有名だ。多くの場合、ANAの優待と言えばこの券の事を指す。この券を一枚利用することで、ANA国内線の片道普通運賃から50%の割引を受けることができる。保有株数に応じて受け取れる枚数も変わり、100株以上保有していれば1枚、200株以上保有していれば2枚と、株数の増加とともに優待券の枚数も増加する。具体的には以下の通りだ。

100株以上……1枚
200株以上……2枚
300株以上……3枚
400株以上……4枚+400株超過分200株毎に1枚
1000株以上……7枚+1000株超過分400株毎に1枚
10万株以上……254枚+10万株超過分800株毎に1枚
有効期間:(3月末)6月1日~翌年5月31日、(9月末)12月1日~翌年11月30日

現在の株価は4680円(12月12日執筆時終値)であり、最低単元の100株を購入する場合は46万8000円が必要となる。400株までは100株毎に1枚優待券が贈呈されるが、それ以上の超過分の株式は1000株までは200株毎に1枚、1000株以上は400株毎に1枚、10株以上は800株毎に1枚と保有株数が増えるにつれ、優待券1枚をもらうために必要な株数も増加するので注意が必要だ。

(2) ANAグループ各社・提携ホテル優待券

100株以上を保有している株主には他にもANAグループ各社・提携ホテル優待券が贈呈される。ANAグループ各社・提携ホテル優待の内容は具体的には以下の通りだ。

ホテル…………IHG・ANA・ホテルズグループジャパンご優待

  • IHG・ANA・ホテルズグループジャパンでのご宿泊……20%割引(6枚)
  • レストラン・バーでのご飲食……10%割引(5枚)
  • ご婚礼のご飲食…………10%割引(1枚)
  • 会議・一般ご宴会……宴会場・会議室室料15%割引(3枚)

ツアー……海外・国内ツアーご優待

  • ANAスカイホリデー(国内旅行)……7%割引(2枚)
  • ANAハローツアー(海外旅行)……7%割引(2枚)
  • ANAワンダーアース(海外・国内ツアー)……7%割引(2枚)

ショッピング……ショッピング割引

国内34空港のANA FESTA・ANA DUTY FREE SHOPにて1店舗1回1,000円以上のお買い物が10%割引(5枚)

ゴルフ……プレー料金のご優待

  • 武蔵の杜カントリークラブ(4枚)
  • 早来カントリー倶楽部(3枚)

(3)株主様専用サイトにて下記のサービスを提供

上記の優待以外にも、100株以上を保有する株主向けに株主限定機体工場見学会への申し込みや9月末時点株主へカレンダーも贈呈される。

ANAの優待を手に入れる方法は?

国内運賃50%割引券を筆頭に魅力ある優待を用意しているANA、この優待を手に入れる方法を開設しよう。ANAだけでなく、どの企業も優待を手に入れるには基準となる日に当該企業の株式を保有していなければならない。逆に言えば、基準となる日の1日だけ株式を保有していても優待を手に入れることも可能(一部保有期間の制限がある企業は除く)だ。

ANAの場合は権利確定日を3月末と9月末に設定しているため、3月末日と9月末日に100株以上の株式を保有していれば年2回優待を手に入れることが出来る。ここで注意が必要なのが、単純に3月31日や9月30日といった月の最後の日に株を購入しても優待はもらえないという事だ。

株式は購入した日(約定日)と実際に購入代金を決済し株を受取る日(受け渡し日)が違なる。購入した日から3営業日後が実際に株を受取ることができる日となっているのだ。優待受け取る為、3月31日に株を保有しようとするならば、3月28日までに(28日から31日が全て平日の場合)株を購入する必要がある。3月28日に株を購入し、3月29日に売却した場合も3月31日には株を保有している事となるので、優待を手に入れることが可能だ。

3月28日の様に、優待や配当を手に入れることができる最後の日を権利付最終日、3月29日の様に権利が無くなってしまった日を権利落ち日という。優待を手に入れる為には権利付最終日までに株を購入する必要があり、売却は権利落ち日以降であれば優待を受け取ることができる。優待や配当を手に入れたい方は約定日と受け渡し日、権利付最終日に注意して頂きたい。

ANAの優待のメリット・注意点

ANAの優待、特に国内線50%割引券についてのメリット・注意点を説明しよう。メリットはお分かりの通り、航空券購入時に通常運賃から50%割引を受けることが出来るという点だ。いつ予約してもこの割引は適用となる為、直前での予約等で航空券が高くなる場合も、繁忙期の航空券が高い期間でも50%割引を受けることができる。

一方、株主優待の割引を利用した方が必ずしも安くなるわけではないのでこの点は注意が必要だ。株主優待を利用した場合通常運賃から50%割引だが、それ以上に75日前までの予約で適用される旅割75や、旅割55、旅割45といった各種割引運賃や、旅割Xといった期間限定の運賃などの方が安い場合もある。路線や割引などによって異なる為、その都度チェックする必要がある。

その他、ANAの優待券はいつでも何度でも予約を変更できるなどのメリットやANAマイルが貯まるといったメリットもある。その際の積算率は75%となっている。

JALはどんな会社か?

ANAに続いてJALについて解説していこう。JALはANAと双璧を成す航空会社である。従業員数は2017年3月末時点、連結ベースで3万2753人、機体数は2016年7月29日時点で227機、国内線・国際線共にANAに次いで2位の巨大航空会社である。2017年3月時点での就航都市は国内線127都市、国際線54都市となっている。

過去には経営破綻により会社更生法の適用、上場廃止などもあり、一時はその経営状態が危ぶまれた。しかし現在では公的資金投入や企業努力もあり、経営状態の改善が進み、2012年には東証1部に再上場を果たした。

JALの最近の業績・株価・配当の状況

2017年3月決算短信によると、連結ベースで売上高は前年度比3.6%減の1兆2889億6700万円、営業利益は同18.6%減の1703億3200万円、経常利益は同21.1%減の165,01300万円、当期純利益は同5.9%減の1641億7400万円となっている。為替の影響や原油の上昇等で減収減益という形にはなったが、会社更生法適用時代の事を考えれば十分な黒字化を達成できる体質になっているのが伺える。

2017年10月1日に発表された2018年3月期第2四半期決算では、連結ベースで売上高は前年同期比6.2%増の6923億1900万円、営業利益は同7.2%増の990億7300万円、経常利益は同8.8%増の976億9600万円、四半期純利益は同9.2%増の779億6200万円と増収増益となっており、好調な四半期決算内容からANA同様JALも通期見通しの上方修正も行われた。

現在の株価は3400円(12月12日執筆時点終値)だ。年初来高値は12月11日の4311円、年初来安値は6月1日の3225円となっている。今期は業績が好調なことも影響し、株価も直近の12月11日に年初来高値を更新するなど、堅調に推移している。

配当に関しては、2018年3月期からは中間配当45円、期末配当45円の年間90円が予定されている。

JALの株主優待制度

それではJALの株主優待制度について解説しよう。同社の株主優待制度は主に2種類の優待が贈呈される。

(1)普通運賃50%割引券

ANAと同様、JALの優待も普通運賃からの50%割引券が贈呈される。この券を1枚利用することでJAL国内線の片道普通運賃から50%の割引を受けることができる。保有株数に応じて受け取れる枚数も変わる。また権利付基準月が3月、9月の2回設定されているが、それぞれ優待を受取れる条件が少し異なるので注意が必要だ。

3月末基準
100株以上…………1枚
300株以上…………2枚
500株以上…………3枚
700株以上…………4枚
900株以上…………5枚
1100株以上…………5枚+1000株超過分500株ごとに1枚増(年2回)
10万株以上…………203枚+10万株超過分1000株ごとに1枚増(年2回)
有効期限:(3月末基準)6月1日~翌5月31日、9月末基準:12月1日~翌11月30日

9月末基準
200株以上…………1枚
400株以上…………2枚
600株以上…………3枚
800株以上…………4枚
1000株以上…………5枚
1100株以上…………5枚+1000株超過分500株ごとに1枚増(年2回)
10万株以上…………203枚+10万株超過分1000株ごとに1枚増(年2回)
有効期限:(9月末基準)12月1日~翌11月30日

上記に加え、3年(7基準日)連続で同一株主番号保有で各基準日ごとに株主割引券を追加贈呈 300株以上…………1枚
1000株以上…………2枚
1万株以上…………3枚

(2)ジャルパックツアー商品の7%割引券

上記の優待以外にJALでは株主割引券配布の対象となる株主に対して、海外・国内ツアー割引券を発行し贈呈している。各基準日ごとに海外・国内ツアー各2枚(100株以上で年1回、200株以上で年2回発行)が受け取れる。

JALの優待を手に入れる方法は?

JALの優待を手に入れる為にはANAと同様、権利確定月の基準日に同社の株式を保有していればよい。JALの場合も3月末と9月末に設定されているので、3月の場合は31日の3営業日前、つまり3月28日(28日~31日が平日の場合)までに株式を購入していれば優待を受取れる。現在の株価は4300円(12月12日執筆時終値)であるので、100株購入する場合は43万円が必要となる。

JALの場合はANAと違い3月と9月で優待を受取れる株数に違いがある為、こちらにも注意が必要だ。ANAの場合は最低単元株である100株を保有していれば、3月と9月の年2回普通運賃の50%割引券を受取ることができた。しかしJALの場合は最低単元100株のみの保有であれば3月は普通運賃の50%割引券を1枚受取ることができるが、9月は200株以上を保有している株主のみしか優待を受け取る権利が無い。

そのため最低単元株での投資を考えている方はJALの9月の優待にはご注意いただきたい。またJALには300株以上を長期保有(3年以上)することで優待券の受け取り枚数が増える制度もあるがANAにはこのような制度は無いという点にもお気をつけ頂きたい。

JAL優待のメリット・注意点

JAL国内線の普通運賃から50%割引になるお得な優待券だが、ANAの優待と同様に必ずしも優待券を使った場合が1番安い運賃になるわけではないことには注意して頂きたい。JALの場合は搭乗日の75日前や55日前、45日前、28日前といった予約にはお得な割引運賃である先得割引が適用される。その他数多くある割引等も日程や路線によっては株主優待を利用する場合より安くなる可能性もあるので注意して頂きたい。

ただし運賃の安い75日前までの予約等の割引サービスは予約変更が不可能な場合がほとんどだ。一方優待券を利用した場合はいつでも予約でき、予約変更も可能な点が大きなメリットだ。もちろん優待券を利用した場合もマイルを貯めることができる。マイル積算率は普通席で75%、クラスJ85%、ファーストクラス125%となっている。

ANA・JAL優待券の使い方

ANA・JALの株を購入し権利付最終日に株を持ち越せば、あとは優待が届くのを待つだけである。届いた優待を利用し普通運賃の50%割引で搭乗するために、優待券の使い方について簡単に説明しよう。

ANAの場合は優待券には株主優待番号と登録用パスワード、登録用コードが記載されている。このうち登録用パスワード、登録用コードはスクラッチになっているので利用する際にはコインなどで削る必要がある。

実際にANAのWebサイトから株主優待運賃で航空券を買う際には、搭乗したい便の運賃表の中から株主優待割引の運賃を選ぶだけで良い。その後通常どおり航空券を予約・購入し、後日株主優待番号と登録用パスワードの入力を行なう必要がある。その際は記載された番号を入力する。

JALの場合もほぼ同様の手順だ。JALの優待券には発券用コードと発券用バーコードが記載されている。それぞれスクラッチになっているので利用する際はコインなどで削る必要がある。実際にJALのWebサイトから航空券を予約・購入する際は、購入したい便の運賃表の中から株主割引の運賃を選択するだけで良い。その後は通常通り航空券を購入し、購入時に発券用コードを入力する必要がある。

ANA・JAL共にWebサイトからの予約・購入以外にもカウンターや旅行会社、自動発券機などにも対応しており、その際は優待券に記載された各種番号、コードが必要になるので忘れずに持参して頂きたい。

株主優待で予約した航空券は通常の割引運賃とは違い、ANA・JAL共に予約変更がいつでも可能となっているので、もし予約の変更が必要になった場合でも安心して変更ができるメリットがある。

数ある株主優待の中でも長年絶大な人気を誇るANAとJALの株主優待制度、ぜひこれまで両社の優待をもらったことが無い方は、次回の優待について検討してみてはいかがだろうか。(右田創一朗、元証券マンのフリーライター)

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