ビジネスをしていれば、性格的に合わない人、意見が異なる人とも付き合う必要があります。また、気の合う人であっても時には意見が対立することもあるでしょう。その時に起きる人的摩擦がストレスとなり、自分の本来の力が発揮されず、それが新たなストレスに繋がることもあるかもしれません。「ストレス社会」と言われる現代において自分らしく活躍するために「メタ認知」を活用して、思考とメンタルを強化してはいかがでしょうか。

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(写真=Kirill Savenko/Shutterstock.com)

自分自身を客観視するメタ認知

「メタ認知」とは、認知している自分をさらに高い次元から俯瞰して捉え、自分の気持ちや思考や行動を客観視することを言います。「メタ認知」は、近年盛んに研究されている心理学の分野の一つで、文部科学省が2015年に検討しています。「メタ認知」を具体的にすると下記のような例が挙げられます。

ビジネスの場で失礼なことを言われ、不愉快に感じたとします。その時に「イライラしているのはこの言葉がきっかけ」「この態度を見るとイライラする」など、相手のどの言葉に腹を立てたのか、何に対して自分がどう感じたのか、どう考えたのかなど、自分の気持ちや思考を客観的に捉えられていれば「メタ認知」が機能している状態だと言えます。自分がこの状態であれば、言いたいことがあったとしても、気持ちをコントロールして、冷静に対応することができるため、事態を悪化させずに済むことでしょう。

一方で、気持ちのたかぶりを抑えられずに思わず失言してしまい、相手を更に怒らせるような事態になれば、それは「メタ認知」が機能していない状態だと言えます。

すなわち、「メタ認知」が十分に機能していれば、もうひとりの自分である「ホムンクルス」が表層意識の自分を客観視しているため、事態を悪化させず好転させることができるということです。その反面「ホムンクルス」が陰を潜め「メタ機能」が十分に機能していなければ、感情に流されて事態が悪化してしまいます。

メタ認知能力が低いと、「うっかりミスが多くなる」「同じミスを繰り返す」といったことが顕著に表れます。肝心なところでそのようなミスが繰り返されると、気持ちが落ち込み、自分を攻めたりして、ストレスを抱え込むような心理状態になってしまいます。

メタ認知能力を高める方法とは

それでは「メタ認知」を十分機能させ、その能力を高めるためにはどうすればいいのでしょうか。「メタ認知」は「メタ認知的知識」と「メタ認知的活動」の二つが主な構成要素になります。

メタ認知能力を高めるためには、メタ認知的知識により認知するための知識、判断材料を得て、メタ認知活動を意識した「振り返り」を行うことが大切になります。自分の行動を振り返り、原因を探り、反省し、次回以降の対策を立てることがポイントです。

具体的に自分のことを振り返る場合はその時の自分自身の状況を理解することが大切です。まずは、自分がどのように行動したのかを順番に書き出し、その時のプロセスを書き加えます。書くときには自分の「できること/できないこと」「やりたいこと/やりたくないこと」を切り分けて書きます。そうすることで、結果に至るまでの行動を知ることができるので、自分の能力や限界、弱点、自分の求めているものを理解することができるでしょう。

また、批判などにより感情が高ぶっている状態であれば、何が不快なのか、何を不満に思うのかなどを日記やブログに書き、思いを客観的に言葉や図にして、自分の思考を可視化し、自分がどのような状態なのかをセルフモニタリングします。次に、モニタリング結果に基づき、今後どうすればいいのか、何をすればいいのか方針を考え、自分の思考をコントロールします。自分で立てた方針を試してみて、モニタリングを行い、また改善点を確認します。

このように、モニタリングとコントロールを繰り返していくことで思考が訓練され、自分のことを客観視できるようになります。それだけでなく、繰り返して考えることによってメタ認知能力が向上するため、自分の思考や行動をパターン化でき、「同じ心配を繰り返さない」「過去の成功を再現する」ことが可能になります。

自分の気持ちをコントロールするにはメタ認知を

「メタ認知」は自己改革として有効な手法です。「メタ認知」を活用して、どのようなことが起きても冷静に、そして客観的に見る癖をつけることができれば、ストレス耐性がついて自分自身をコントロールすることができるようになるでしょう。そうすれば、変化が激しいビジネスの場も乗り越えていくことができるのではないでしょうか。(提供:J.Score Style


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