中国では最近、国家主導による成長戦略の話題が増えている。国務院は11月27日、“インターネット+先端製造業”戦略を深く進め、工業インターネットを発展させるための指導意見を発表した。これによれば、国務院の定める条件を満たす企業について、域内外の各資本市場において資金調達することを支持するとしている。また、国務院の主要任務について以下の7点を挙げている。
- インターネット網の基礎を固め、コストを下げ、標識解析システムの建設に推進する
- 多層でシステム化されたプラットフォームを形成し、その運用能力を高める
- 産業支援を強化し、カギとなる共通性の高い技術を攻略する力を強化する。統一、総合、開放的な工業インターネットシステムの建設を加速し、製品とソリューション供給能力を引き上げる
- 技術の融合・応用を進め、大型企業において工業インターネットの創造力、応用レベルを引き上げ、中小企業において工業インターネットの応用技術を普及させる
- 生態システムを改善し、工業インフラ・イノベーションセンターを建設し、効果的で整合性のとれた高等教育機関、科学研究所、企業イノベーションリソースを作り上げる。工業インターネット産学共同イノベーションプロジェクトを立ち上げ、中央地方の連動性、区域間の相互補完といった共同発展メカニズムを作り上げる
- 安全防犯保護能力を引き上げ、データの安全保護体系を打ち立て、安全な技術手段を確立させる
- 開放合作を推し進め、国内外の企業が領域を超え、全産業チェーンが緊密に協力し合うことを奨励する
国家が工業インターネット発展の道筋を示し、環境を整え、資金的な支援まで行うとしている。
ビッグデータ発展政策の中身は?
中国共産党中央政治局は12月8日、国家ビッグデータ戦略第二次集団学習会を実施した。名称は勉強会だが、習近平国家主席が主導する会議である。ここで示された内容が今後、国務院の関連部局に伝わり、実際の政策決定に繋がることになるだろう重要な意味を持つ会議である。
習近平国家主席は、「ビッグデータの発展は日進月歩である。我々は時局を詳細に分析し状況の変化を予想、しっかりと計画を練り、先回りをして主導権を奪う」と意気込みを示している。
また、「インターネットショッピング、モバイル決済、シェアリング経済などデジタル経済における新業態、新モデルが発生し、急成長しているが、中国はそうした業界で世界のトップを走っている」といった現状認識を示した上で、「高速で、モビリティ、安全性、汎用性の高い次世代の情報インフラ設備の構築を加速する。
政府データリソース、社会データリソースの規格化、統一化を推し進める。全面的に“ビッグデータ発展行動計画”の実施を促進し、ビッグデータの発展環境を改善する。ビッグデータを以て産学研究を深く融合させるための絆とし、ビッグデータ駆動型イノベーションシステム・発展モデルを形成し、ビッグデータ産業の中から、軍をリードする企業を育て上げ、多層、多種類から成るビッグデータに関連する人材グループを育てる」と強調している。
「ビッグデータを発展させるにあたって、インターネット、人工知能も同時に発展させ、それらを深く融合させる。それによって製造業はデジタル化、インターネット化、インテリジェンス化を推し進めることができる。ビッグデータは、“インターネット+教育”、“インターネット+医療”、“インターネット+文化”などの発展を推し進めるための重要な要素である。
また、政府サービス面では公共サービスの均等化、低所得者への浸透、簡便化などを促進することができる。民生の不足部分を補い、教育、就業、社会保障、医薬衛生、住宅、交通などの領域に応用することができる。ビッグデータ技術の発展は、インターネット、人工知能の発展と共に今後、社会を一新させることになるだろう」などと説明している。