群馬の名産品といえば、真っ先にコンニャクを思い浮かべる人も多いでしょう。地味な食べ物というイメージですが、実は今、日本のコンニャクがヨーロッパを中心に海外から注目を集めています。

群馬が誇る食材を世界に広めるべく、県が行なっているブランド戦略。その重要なポストを担う、「コンニャク」を利用した取り組みについて紹介します。

世界に誇る群馬の食材

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(写真=PIXTA)

群馬全体の産業からみると、農林水産業は全体のわずか1.4%とかなり少ない割合です。しかしこのわずかな中に、全国生産量の9割以上を占めているコンニャクイモ、国内生産量2位のキャベツ、鍋料理に大人気の下仁田ねぎなど、他の都道府県から抜きん出る農産物が数多くあります。

これらを踏まえ群馬では、県の認知度を向上させるべく「群馬県農畜産物ブランド力強化基本戦略」を2016年に策定しました。ブランド和牛「上州和牛」やコンニャクイモから作られるしらたきをはじめ、群馬県内ですき焼きの材料が全て揃うことから「すき焼き応援県」としてPRを開始。11月29日を「ぐんま・すき焼きの日」と定めるなど、県の特性を生かした独自の取り組みを行っています。

さらに、県産農畜産物のブランド化を考える女子会「ひめラボ」を設立し、商品企画、開発、広告PRとあらゆる方面から群馬のブランディングを行ってきました。

コンニャクが海外から注目を集めた理由

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(写真=PIXTA)

「上州和牛」はヨーロッパ圏ですでに人気の食材ですが、和牛はいまや世界的ブームであり、独自性やインパクトには欠けます。そのため、「GUNMA」というひとつのブランドを確立させるにあたり、国外ではまだ知名度の低い「コンニャク」にスポットが当てられました。

県のPRにコンニャクが利用できる、その手応えを感じたのは2015年。ブランド力強化基本戦略を策定する1年前のことです。

この年に開催された「ミラノ国際博覧会」の日本館内イベントにおいて、群馬の食をPRするため、県内産農畜産物を使用したスペシャルメニューを提供しました。そのひとつにあったのがコンニャクをパスタ「タリアテッレ」に見立てたヘルシーメニューです。

欧米各国では国民の肥満が問題となっていますが、特にヨーロッパ圏の主食であるパスタをヘルシーに変えてしまうコンニャクの登場は当時、現地でも大きな話題を呼びました。

コンニャクは日本独自の食材であることに加え、独特の風味と食感を持つため海外進出はハードルが高いと考えられていました。しかし、「その国の食文化に合わせてメニューを作る」という群馬の取り組みは、狙い通り大成功を収めたのです。

群馬の次なる戦略は?

これを受け県は、「GUNMA」ブランドを発展させるべくさらなる製品の開発を行ってきました。

2017年10月、県のブランド化およびPRを務める女子会「ひめラボ」と、富岡市のコンニャク製造会社「アイエー・フーズ」が、粒々コンニャク入りスープを共同開発し販売を開始。

スープにはトマトとオニオンの2種類があり、直径3ミリ程度の小さなコンニャクがたっぷり入っています。洋風に味付けされ食感も楽しいこの商品は、海外観光客の購入も意識し作られました。

同年11月末、EU市場でのさらなる販路拡大を狙い、イタリアでレストランを経営する大手給食会社を県に招致。袋からそのまま取り出して手軽に食べられる味付きコンニャクパスタをはじめ、多様な商品の試食会を行いました。

先進国では、解決すべき喫緊の課題として、肥満解消にさまざまな取り組みが行われています。これらの背景により、近年急拡大した「糖質制限」市場において、糖質オフのコンニャク麺はさらにニーズを高めて行くでしょう。今まで和食の脇役に甘んじてきた食材が、ヘルシーフードとして世界的な肥満問題を解決するカギとなる日も近そうです。(提供:JIMOTOZINE)