不動産を利用した資産運用では、不動産所得と給与所得の損益通算による所得税の節税以外にも、現金ではなく不動産として相続することによる相続税の節税が期待できます。その節税効果を期待して資産運用として不動産投資を選択する人も多いのではないでしょうか。

しかし、不動産の資産運用では「最終的に所有している不動産をどうするのか」という出口戦略の判断によって、節税効果や不動産所得を最大限に活用できなくなる可能性があります。出口戦略とは一体どのようなものなのでしょうか。不動産の資産運用における出口戦略について見ていきましょう。

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(写真=ra2studio/Shutterstock.com)

出口戦略は不動産における資産運用の最終地点を決めること

出口戦略は、不動産を所有して資産運用を行い始めてから、どのような流れでその不動産の資産運用を行っていくのかをあらかじめ決めておくことです。出口戦略として以下のような4つのプランが考えられます。

・買値より高く購入してくれそうな人がいた場合にはすぐに売却する
需要のある不動産を購入した場合には、すぐに高値で転売できる可能性もあります。家賃収入から融資を返済し、残債より高値で売却することが出来れば、売却益を得ることも出来ます。場合によっては、「このときに売却しておいた方が良かった」という可能性もあるため、出口戦略の1つとして検討しておいても良いでしょう。

・不動産の資産運用をある程度行ってから利益が出そうなタイミングで売却する
不動産は築年数の経過とともに資産価値が低下するため、売却時の価格も低下します。資産運用を行う期間が長ければ、その分、家賃収入が発生しますが、売却時の価格の低下や買い手が見つかりにくくなってしまうこともあるでしょう。不動産は一般的に高額です。そのため、なかなか買い手が見つからず、最終的に売却する場合には、「何年で売却するか」など出口戦略を明確にしておく方が良いでしょう。

・リフォームや建て替えが必要になる寸前で売却する
築年数が経過してからの売却になるため、価値の低下だけでなく買い手が見つからない可能性が大きくなります。売却ができず、リフォームや建て替えが必要になった場合には、諸費用が発生してしまいかねません。そのため、最初から長期運用を想定していない場合には出口戦略を1つ前の段階に設定しておく必要があるでしょう。

・リフォームや建て替えをして引き続き資産運用をするか更地にして売却する
土地や立地条件が良い場合には無理に売却を検討せずに、リフォームや建て替えを行って引き続き資産運用を行うことも出口戦略の1つです。劣化した建物が買い手を遠ざけているような場合には、建物を取り壊し更地として売却することも出口戦略の1つとして考えられるでしょう。

同じ不動産を所有し続けることによる3つのデメリット

同じ不動産を所有して資産運用を行い続けた場合にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?デメリットには以下のような3つがあります。

・築年数の経過による劣化
新築時はきれいな物件でも、築年数の経過とともに物件のいたるところが劣化してくるでしょう。一昔前の物件と比較すると使用する部材の質の向上などにより、不動産投資の運用を長期にわたり行えるようになってきています。しかし、築年数が経過すると内装や外装などの修繕を行わなくてはなりません。

・劣化に伴う家賃収入の減少
不動産の資産運用を行うにあたって重要なことは、諸費用を抑えつつ、いかに家賃収入の減少を防ぐかということです。築年数が経過してきた場合には、家賃の引き下げによる家賃収入の減少や劣化による修繕費などの支出が生じるようになってしまうので注意しなければなりません。

・節税効果の減少
不動産投資の運用では不動産所得から運用に必要な諸費用を経費として差し引くことが可能です。実際に支出を伴わないにもかかわらず、建物の経年劣化による資産価値の減少を経費として計上できる減価償却は大きな節税効果が期待されます。しかし、減価償却の期間はあらかじめ決められており、長期的な資産運用で償却期間を超えてしまった場合には、大きな節税効果が期待できません。

出口戦略を明確にして不動産投資を成功させよう

出口戦略は不動産の資産運用を行う上で必要不可欠です。出口戦略をおろそかにしてしまうと、売却するタイミングを逃すだけでなく、リフォームなどの修繕費によって家賃収入も減ります。そのため、想定していた資産運用に支障が生じてしまう可能性があるでしょう。出口戦略をきちんと明確にしておくことで、どのような状況にも柔軟に対応できるようにすることが不動産の資産運用のポイントといえます。(提供:不動産投資セミナー

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