昨日の海外時間には、再びNY株式市場が1000ドル以上暴落したことから円買いが強まってクロス円を中心に下落しました。

昨日の海外市場動向

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

欧州時間序盤、特段の材料はありませんでしたがユーロ買いが強まって、ユーロドルは1.2290台まで、ユーロ円は134.80円付近まで上昇しました。しかしすぐにユーロ売りが優勢となって、ユーロドルは1.2220台まで、ユーロ円は134.00円台まで下落しました。BOE(英中銀)はMPC(金融政策委員会)で予想通り金融政策の据え置きを決定しましたが、声明文で「金融政策を11月時点の予想よりも幾分早く、大きく引き締める必要があるかもしれない」とされたことからポンド買いが強まりました。ユーロは対ポンドでユーロが売られたことから一旦売られ、ユーロドルは1.2220台まで、ユーロ円は134.00円付近まで下落しました。この間ドル円は109.60円台を中心としたもみ合いが続きました。

NY時間序盤、ポンドドルが一段高となると、ユーロドルもつれ高となって1.2290台まで、ユーロ円も134.60円台まで上昇しました。NY株式市場が取引開始直後から下落を開始すると、リスク回避の円買い、ドル買いが強まって、ドル円は108.50円台まで、ユーロ円は132.90円台まで、ユーロドルは1.2230台まで下落しました。その後株式市場がやや反発したことからドル円は108.90円台まで、ユーロ円は133.70円台まで、ユーロドルも1.2270台まで反発しました。

その後再びNYダウは下落して、ほぼ安値引けとなったことから、東京時間にかけてドル円は108.40円台まで、ユーロ円は133.00円台までユーロドルも1.2240台まで下落しました。

FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは73%までやや低下しています。

今日の予定

今日の海外時間には、英・12月鉱工業生産、英・12月貿易収支の発表が予定されています。

今後の見通し

NYダウは、月曜日に続いて再び1000ドル以上下落しました。終値ベースでは月曜日を下回りましたが、日中につけた安値は月曜日を下回っていません。また月曜日には一時50まで上昇したVIX指数も昨日も上昇しましたが35付近と上昇幅は限定的となっています。リスク回避の動きで円買いが強まっていますがドル円は最近取引レンジ内での動きに留まっていて、パニック的な相場にはなっていません。昨日は複数のFOMCメンバーが講演をしましたが、ダドリーNY連銀総裁が現在の株式の下落を「SmallPotatoes(取るに足らないこと)」と述べるなど、今後の政策運営に影響を与えるものではない、と述べています。

ドル買い円売りポジション

今回の株式市場の混乱がさらに拡大するかはいまだ予断を許さない状況ではありますが、従来の取引レンジが維持される、と想定しています。昨日は下落のスピードが速かったために一旦様子見をしたあと、東京時間朝方に108.80円でドル買い円売りのポジションを作りました。損切ラインは2月6日の安値割れの108.40円です。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。