先週(2/13〜2/16)の日本株は4週ぶりに反発、日経平均は週間で337円63銭(1.6%)高の2万1720円25銭で商いを終えた。週間のザラ場安値は14日の2万0950円、高値は16日の2万1866円だった。
米国の長期債利回りの急騰と米S&P500指数のボラティリティ指数であるVIX指数の急騰による「VIXショック」の株式市場の調整は落ち着き始めた。
NYダウは2月9日の2万3360ドルを底に反発しはじめた。1月26日の過去最高値の2万6616ドルからの下げは3256ドル(12.2%)で、9日からは5連騰で16日には2万5129ドルまで1769ドル(54.3%)と半値戻しを達成し2万5000ドル台を回復した。
日経平均は1月23日の高値2万4129円から2月14日の安値2万0950円までまで4179円(13.2%)下げ、15日からの2連騰で770円(7.1%)戻した。米国発の暴落ながら、日本株の方が下げは大きく、日本株の戻しの方が鈍い。日本株の戻りが遅いのは円高の影響だ。
米インフレ懸念からドル安が進んだ。14日発表の米1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.1%増とコンセンサスの1.8%増を上回り、15日発表の米1月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比で2.84%増とコンセンサスの3.20%は下回ったものの、インフレ傾向が確認された。インフレ懸念から米長期債利回りの上昇は続き、15日には一時2.94%と14年1月以来4年ぶりの水準まで上昇した。金利の急騰を嫌気してドル安が進み、ドル円は16日の東京市場で16年11月以来1年3カ月ぶりとなる105円55銭をつけた。
日本企業は17年12月期の決算発表をほぼ終え、日本企業のファンダメンタルズの良さが再確認されて、割安感も浮上し始めた。金融を含む全産業の17年4月〜12月の最終利益は27.5%増となり18年3月期通期でも23.9%増となった。決算を終えた企業の約2割が上方修正しており、下方修正を上回っている。
日経平均採用225社の予想EPSは上方修正が相次いだことで大きく切り上がり、1月末の1531円から2月15日には1675円まで144円増加した。PER14倍としても144円増は日経平均のPERでの理論値を2016円押し上げる。日経のPERは12.8倍まで低下しており、ここ数年のレンジの下限である14倍を大きく下回った。
さらなる円高で企業業績が下方修正される懸念はあるものの、日本企業は円高への耐性を強めており、PER12倍台は明らかに割安感がある。15〜16日の東京市場で円高でも株高となったのは、外国人投資家が割安感の強まった日本株に買いを入れたためだろう。
一時50近辺まで急騰して株価急落を加速させた米VIX指数は危険水域と言われる20を下回り16日には19.46までて低下した。VIXと共に上昇した日本株のボラティリティ指数(VI)も一時36台まで上昇したが23台まで下落した。
米金利上昇、円高が落ち着くならば、今週の日経平均は少なくとも2万2000円を奪回する展開と予想している。
先週(2/13〜2/16)の振り返り
13日の日経平均は続落、前日比137円(0.7%)安の2万1244円で引けた。東京が3連休の間にNYダウは2日で740ドルの戻しを演じた。日本株も買い戻しや反発狙いの買いが先行し、朝方は296円高まで上昇したが、東京為替市場で円ドルが108円台前半まで上昇したため、再び売りが拡がりマイナスに転じて引けた。株式市場の引け後には円高がさらに進展し一時107円67銭と108円を割り込んだ。
14日の日経平均は3日続落、前日比90円(0.4%)安の2万1154円で引けた。米国市場は39ドル高と小幅ながらも3連騰。日経平均も朝方は126円高まであった。17年10〜12月期のGDPが年率換算の前期比で0.5%増と減速したこともあってドル円が一時106円84銭と107円を割り込むと、連日で朝の高値を消してマイナスに転じた。一時は294円安と4カ月ぶりに2万1000円を割り込んだが、午後から日銀が731億円のETF買いを執行したことで下げ幅を縮小し、200日移動平均を一種運割り込んだが引けでは上回った。
15日の日経平均は4日ぶりに反発、前日比310円(1.5%)高の2万1464円で引けた。NYダウが253ドル高で4連騰。さらに日本時間のNYダウ先物の夜間取引が続伸していたため、日本株にもリバウンド狙いの買いが拡まった。ドル円が一時106円18銭までつける局面があったが、円高にもかかわらず日経平均は反発した。政府は黒田日銀総裁を再任する国会同意人事案を提示した。すでに織り込み済みで反応は限定的。
16日の日経平均は続伸、前日比255円(1.2%)高の2万1720円で引けた。NYダウは306ドル高の5連騰で半値戻しを達成した。日本株にも反発狙いの買いが広まり一時401円高まで上げたが、ドル円が一時105円55銭まで円高に進んだため上げ幅を縮小して引けたが、円高にもかかわらずプラスは保った。東証1部の売買代金は15日に次いで2日連続で3兆円割れ。ボラティリティの激しい市場で参加者は限定的だった。
先週の海外市場を振り返る
16日の米国株は小幅ながら6連騰。19ドル高の2万5219ドルで引けた。一時232ドル高まで上げる局面もあり、トランプ大統領とロシアゲート疑惑でロシアの個人と企業を起訴したとの発表でマイナス51ドル安の場面もあり、まだボラティリティは高いが、19日がプレジデントデイの休日で3連休となるため一旦利益確定の売りが入り小幅高で商いを終えた。週間では1028ドル(4.3%)の上昇で、週間としては過去最高の上げとなった。
NY為替市場では、円が5日ぶりに反落した、前日比15銭円安の106円35銭だった。東京時間では105円55銭まであって17時のレートが106円02銭。東京の引け比では33銭の円安だった。ドル円も連休を控えドルショートの利益確定売りが先行した。
15日に2.94%まで上昇した米長期債利回りも落ち着き、2.87%で引けている。VIX指数は19.46と平常時の20を3日連続で下回った。
日経平均の夜間取引は2万1880円と円が反転したことを好感して上昇、16日の大阪先物の引け比140円高だった。
今週(2/19〜23)の株式展望
今週の日経平均の予想レンジは2万1393円〜2万2353円を想定している。日経平均は長期サポートである25日移動平均線を1月30日に、75日移動平均線を2月5日に下回り、100日移動平均線を2月7日に下回った。2月14日には長期トレンドラインである200日移動平均線を一旦下回り反発し始めた。最後の砦は死守した感じだ。現在の100日移動平均線は2万2300円にあり、200日移動平均線は2万1059円にある。
米国市場の落ち着きから、円高ではあるが売られすぎで戻りの遅い日本株に対する好業績の再評価の買いが入れば2万2000円までの戻しは通過点となる可能性が高い。
下値目処は5日移動平均線の2万1393円。高値の目処は8日の戻り高値2万2353円これを抜けば、2月8日の窓埋めの2万2659円。今週以降は、下げ幅の半値戻しの2万3040円。PER14倍の2万3506円。このあたりへの戻しを意識する展開となろう。
今週のイベントは、日本では21日に始まる自動車大手春闘第一回労使交渉がインフレ傾向をみるために重要、23日の日産自動車とDeNAが無人運転車の実証実験発表が注目される。22日には20年国債入札がある。海外では21日のFOMC議事録要旨が最大の注目材料。FRBの景気、金利見通しに注目が集まる。19日の米国がプレジデントデイの休日、1ユーロ圏財務相会合@ブリュッセル、21日には米5年債入札、22日の米7年債入札がある。
今週の経済指標は、日本では19日に貿易統計、20日に粗鋼生産、コンビニ売上、21日にマンション市場動向、スーパー売上高、百貨店売上、訪日外国人数、23日に全国消費者物価指数、企業向けサービス価格指数がある。海外では22日に新規失業保険申請件数、米中古住宅販売件数、23日に米1月CB景気先行指数、独Ifo景況感指数などが注目される。(ZUU online 編集部)