[2018年版]これから10年で起こることを業界ごとに徹底分析!
グローバル化、少子高齢化などに加え、急速に発展するAIやロボットなどの技術の進歩により過渡期を迎えている日本社会。「自分の仕事はどうなるのか」不安に思う人も多いだろう。これから10年、日本の産業はどのように変化し、どのような人材が求められていくのか。業界分析とともに、今後の展望を専門家にうかがった。
過去10年間を知れば10年後の未来が見える
「結論から言えば、今後10年間で日本経済が飛躍的に成長することはないでしょう。理由は、過去10年で日本はさほど成長せず、産業構造の新陳代謝もあまり進まなかったからです。未来が変化するためには何か明確な要因がなくてはならず、それがない場合には、未来は過去の延長線上にあると考えざるを得ません」
そう話すのは、金融アナリストとして長年にわたり企業の動向を見てきた岩崎日出俊氏。いわば“未来予測のプロ”の立場から、まずは米国と比較した日本の過去10年間をこう総括する。
「この10年間で、日経平均株価は48%の上昇に留まったのに対し、米国のダウ平均株価は76%も上昇しました。GDPも、日本は過去10年間でわずかプラス8%の成長でしたが、米国はプラス34%。この数字を見れば、日本が米国に比べていかに低成長だったかがわかります」
さらに大きな問題は、日本は産業構造にも変化が見られないこと。たとえば、2007年と2017年の「企業の時価総額ランキング」を比較すると、トップ10の顔ぶれはほぼ変わっていない(下表)。10社のうち6社は10年前と同じ名前が並び、トップのトヨタ自動車の時価総額は、どちらの年も約22?23兆円で横ばいだ。
一方、米国の時価総額ランキングは、ここ10年間で激変した。2006年はエクソンモービルやGE、シティグループなど、製造業やエネルギー、金融が上位だったが、2016年はアップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックと、上位5社すべてがインターネット企業で、うち2社は設立後20年も経っていない。しかも、第1位のアップルはこの10年間で株価が8倍になり、現在の時価総額は約102兆円。これはトヨタ自動車の4.4倍に相当する。
「米国では経済を牽引する企業が次々と台頭し、しかも世界全体に大きなインパクトを与えた。いまや世界中の人々がiPhoneを持ち、グーグルで検索し、アマゾンで買い物をしています。
こうした変化の潮流は、今後10年間でガラリと変わることはありません。ゲームチェンジャーとなるような要因がないからです。米国は今後も経済を成長させ、世界で変化を創出するでしょう。それに対し、日本は残念ながら経済はあまり成長せず、世界で変化を創出することもできない。過去を踏まえると、そう予測するしかありません」(岩崎氏)
「AI」をネガティブに捉える必要はない
日本人にとっては、なかなか厳しい現実だ。では、日本経済に明るい兆しはないのかと言えば、そうではない。そのキーワードになるのが、AIやロボットなどの「テクノロジー」。製造業でコンサルティングや製品開発を手がけ、これらの最新技術に詳しい水野操氏は、こう解説する。
「AIは、『人間の雇用を奪う存在』としてネガティブに語られがちですが、私はAIを脅威とは考えていません。なぜなら現在のAIは、あくまで何かの作業や業務に特化した単機能だから。たとえば『アルファ碁』はプロ棋士にさえ勝つ能力があるものの、投資の運用サービスを提供したり、車を自動運転するなど他のことはできません。
一方、人間の仕事は、データ分析もすれば、資料も作るし、商談もするといったように、一人が複数の機能をこなし、さらにその全体を見て総合的に判断しながら行なうもの。こうしたマルチタスクを人間同様にこなせるAIはまだ存在しないし、今後10年で実現する見通しは高いとは言えない。もちろん、データ分析だけはAIに任せるなど、仕事の一部は置き換わりが加速するでしょう。しかし、少子高齢化が進む中、最新のテクノロジーを活用して業務を効率化したり、作業を機械化することは、むしろ日本企業が成長するために必要不可欠なはずです」
また、産業構造の変化が起こらず、新しいビジネスの担い手が育っていないという課題についても、テクノロジーが突破口になると水野氏は見ている。
「これまでは、『優れたアイデアや技能はあるが、資金がなくて商品化やサービス化ができない』という中小企業やベンチャーは非常に多かった。ところが今は、3Dプリンターのように低価格でもの作りができる技術が次々と登場している。誰もが最新のテクノロジーに手が届くようになったことで、新規参入が進んだり、既存のメーカーとベンチャーが協業したりと、今までになかったビジネスを生み出すチャンスも増えるはずです」
今ある業界が10年後あるとは限らない!?
従来にないビジネスを創出すること、それはすなわち「イノベーション」だ。岩崎氏も、日本が成長するための方策として、同じキーワードを挙げる。
「イノベーションは、多様性と自由から生まれます。よって日本の会社が成長するには、画一性から脱却し、違いを認める風土に変えなくてはいけない。日本人は、子供の頃から個性より団体を重視するよう教育され、『皆と同じがいい』という価値観を刷り込まれます。だから日本企業の経営者に外国人は少ないし、女性の役員も全体の3.4%しかいない。しかし、イノベーションに必要なのは、人とは違う発想。それが均一性の中から生まれることはありません」
しかも日本人は、「競争を好まず、リスクをとるのを嫌う」と岩崎氏は指摘する。米国ではアプリを使った配車サービスのウーバーなどが急成長し、サンフランシスコ最大のタクシー会社が破綻するという新陳代謝が起こったが、日本ではタクシー会社を守るため、一部の例外を除いて配車サービスの参入を認めていないのが象徴的な例だ。
「競争が少なく、規制が多い日本社会では、企業が合理的な経営をしなくてもなんとかやっていけてしまう。ただし規制に守られている限り、これ以上の伸びしろはない。今後伸びるとしたら、やはり海外へ打って出る業界や会社でしょう」(岩崎氏)
また、水野氏は、「業界の枠組み自体が、10年後にはすっかり変わっているだろう」と話す。
「今後はあらゆる業界や業種にテクノロジーが入り込み、産業の垣根を越えた融合が進むはず。いまやソフトバンクが電気を売る時代だし、すでに自動車や家電メーカーも半分IT企業みたいなもの。今ある業界が10年後もそのままのかたちで残っている可能性のほうが低いかもしれません」
では、こうした未来予測を踏まえたうえで、各業界が今後10年でどう変化していくのか詳しく見ていこう。
15の業界別未来予想図
今後10年で日本の産業界はどのように変わり、我々の仕事はどう変化していくのか、15の業界で、岩崎氏と水野氏に予想をしてもらった。
■電機・通信
家電はベンチャーが有利に? 課題はエンジニアの育成と確保
「アメリカのテスラモーターズに電池を供給しているパナソニックや、iPhoneの基幹部品を作っている村田製作所など、米国勢とビジネスをしている会社は、今後も伸びるだろう。一方、国や官公庁が発注する大規模システム開発で稼いでいる企業は、いずれ頭打ちになる」(岩崎氏)
「AIやIoT、ソフトウエア開発を手がける業界は伸び盛りだが、どの企業もそれを担う優秀なエンジニアが不足している。日本企業が今まで以上に採用や教育に力を入れなければ、人材豊富な海外企業には勝てずに終わるかもしれない。また、家電業界では、従来の大手メーカーより、アイリスオーヤマやバルミューダのようなベンチャーや家電以外から参入する新たなプレイヤーが、ますます存在感を増していくだろう」(水野氏)
■自動車
車の絶対数は減少。とはいえ自動車メーカーは残る
「自動運転技術とウーバーなどのテクノロジーで、必要なときに呼ぶと自動運転で自分のところに来るような車社会が生まれるかもしれない。個人で車を所有する必要がなくなる、そんな“カーシェア” 時代の行きつく先は、必要となる車の絶対数の減少。これは、日本のみならず、米国や欧州でも起こり得る未来だろう」(岩崎氏)
「アップルやグーグルが電気自動運転車の開発に参入したが、彼らも自動車メーカーになろうとは考えていないはず。車そのものを作るという部分では、従来の自動車メーカーも当面は残る。AIを搭載した自動運転車の開発は、当然日本のメーカーも積極的だが、自社における技術開発はもちろん、外部の優れたIT企業とのコラボレーションも成長のカギとなるだろう」(水野氏)
■商社
自らリスクを取るビジネスに。第三国への進出がカギとなる
「商社のビジネスモデルは、売買や取引の仲介をしてコミッションを得るかたちから、自ら事業に出資し、リスクをとって経営を行なうケースが主流となりつつある。たとえばコンビニ業界では、三菱商事がローソンに、伊藤忠商事がファミリーマートに出資して、経営に参画している。商社としては、成長性のある投資先を見つけられれば、自分たちも成長していける可能性は十分にある。
石油や鉱山などのエネルギー分野でも、商社が経営に乗り出す案件は以前から多かった。ただし、高度成長期は日本の電力会社やガス会社などの買い手を掴んでいることが日本の商社の強みだった。今後、新興国のエネルギー需要が増えたとき、第三国の買い手と取引を成立させられる商社が、ビジネスを拡大していくだろう」(岩崎氏)
■金融
サービスがなくなることはないが、店舗や窓口は確実に減少
「先日、メガバンクが相次いで店舗の大幅な統廃合を発表した。世界の中でもこれほど銀行の支店やATMが多い国はないから、店舗の統廃合や採用を減らすなどしてムダを削減する方向に向かうのは当然だろう。
証券や保険は、さらにネット化が進む。今は金融資産の大半を所有する高齢者が、パソコンやスマホを介した取引をあまりしていないため実在の窓口業務が成り立つが、今後は業務のスリム化が進むはずだ」(岩崎氏)
「すでに金融の投資業務には、コンピュータが活用されている。最近は、資産運用にAIやビッグデータを取り入れる動きも目立つ。この世にお金の動きがある限り、金融サービスがなくなることはないが、そこに従事する人の働き方は、今後数年で大きく変わりそうだ」(水野氏)
■食品・外食
実は日本の次なる成長産業に!? カギは「顔が見える」こと
「日本の食文化のレベルは国際的に見ても高く、この分野は日本の成長産業になり得ると考える。ミシュランの三つ星が東京には12軒もあるし、ニューヨークやパリで活躍する日本人シェフもいる。ただ、個人の活躍が期待される一方、食品・外食産業の海外展開にはまだ課題が多い」(岩崎氏)
「最近は外食産業でも、『契約農家の○○さんが作った野菜です』といったアピールをすることが増えている。農家は生産物を確実に買い取ってもらい、外食産業は食材の安定供給を確保でき、消費者は作り手の顔が見えて安心できるという、3者ともにメリットがある。ネットの発達で情報コストが大幅に下がった今、産地や食材の品質や安全性も消費者が直接知ることができる。それを強みにできる企業や店が成長できるだろう」(水野氏)
■医療
グローバルでの開発競争が激化。AI化やロボット化で現場は激変
「医療分野も進歩が目覚ましい業界。再生医療や遺伝子医療の研究が進み、今後、病気の治療法も大きく変わってくるだろう。また、近い将来、がんやアルツハイマーなどの治療薬も実用化されるだろうが、これらのバイオベンチャーは米国が中心。日本にもiPS細胞の実用化を研究する山中伸弥教授のような研究者もいるので、医療分野のビジネスでもグローバルでの戦いがさらに激化すると予測される」(岩崎氏)
「医療や介護は、今後間違いなくAIやロボットの導入が急速に進む領域。すでに、がんをAIで判別する技術などが開発されている。高齢化によって病気になる人が増えていく以上、医療関連のテクノロジーを開発・提供する企業は、今後伸びていくだろう」(水野氏)
■エネルギー・環境
米国に差をつけられるも好機あり。ただし「何をするか」で明暗が
「テクノロジーの発展に電気は欠かせない。2017年10月、米国テキサス州にアマゾンが建設した世界最大級の風力発電所が稼働した。年間の発電量は100万MWh。米国の33万世帯の年間消費電力をまかなえる規模だ。日本では再生可能エネルギーがなかなかビジネスとして拡大していかないが、海外のこうしたトレンドは日本にも影響を及ぼすだろう」(岩崎氏)
「資源が乏しい日本では、エネルギー産業は今後も存在感を維持するが、環境問題への国際的な意識が高まる中、事業者は『どのようにエネルギーのビジネスを推進するのか』を問われる。また、今は電気やガスも、携帯電話やネットとセット販売する時代。流通の面でも、電力自由化を機に業界の垣根を越えた融合が徐々に進むと考える」(水野氏)
■流通・小売り
人手不足やコスト増が深刻。ビジネスそのものの転換が必須
「食品や外食業界ではすでに始まっているが、中間業者を介さずに生産者と消費者がダイレクトで取引をするようになり、ムダな中間業者が淘汰されていくこととなる。中間業者としての意味を持たないところはなくなっていくだろう。
また、小売り業界の人手不足はすでに深刻化している。コンビニなどは外国人労働者に依存しているが、最近は東南アジア諸国の給与水準も上昇しており、わざわざ日本に稼ぎに来る必要がなくなる日も近い。それこそAIやロボットを活用した無人コンビニを営業するなど、人間の労働力なしでオペレーションが回るよう、ビジネスの仕組みそのものを変えなければ事業を存続できなくなるだろう」(水野氏)
■メディア
編集者の仕事はなくならないが、業界の仕組みは大きく変わる
「新聞や書籍、雑誌など紙のメディアは、今後も残っていくためには相当な工夫が必要。デジタル化を進めるのは当然のこと、そこを介して人を集め、セミナーに呼び込んだり、関連する教材を販売したりと、リアルな世界へ落とし込んで儲ける仕組みを構築する必要がある」(岩崎氏)
「いまや情報収集はネットで気軽にできてしまう時代。既存の新聞や雑誌の役割は薄れてきているが、まだ強いのは事実だ。だが、情報入手のかたちが変わる以上、メディア企業も変わる必要がある。AIが書く記事も生まれているが、人間を相手に取材をして、話を聞き出すという編集者や記者の仕事は人間ならではのもので、まだロボットには置き換えられないだろう。ただし、下調べや情報収集などにおいてAIは優秀なアシスタントになってくれる」(水野氏)
■教育
「知識を教える」教師は不要に。海外で教えるビジネスに好機あり
「この分野でも、海外に積極的に進出する企業の成長が目立つ。ヤマハは中国や韓国で裕福な中間層が増えていることに着目し、現地でピアノスクールを展開して、この5年で株価が5.8倍に。また、ピアノの中古販売を手がけるタケモトピアノは、子供の頃に習ったあと実家で眠ったままになっているピアノを買い取り、中国や台湾、韓国、東南アジアなどで販売。海外での教育需要に着目したビジネスは、今後も伸びていくだろう」(岩崎氏)
「学校教育や塾では、知識を教える作業はAIに置き換わり、人間の教師はそれを実生活や仕事にどう生かすかを教えるコーチ役としての役割が中心となるだろう。一方、社会人向けのプログラミング教室など、AI社会の到来に備えたスキルアップビジネスは拡大が見込める」(水野氏)
■エンタメ
マンガ・アニメはまだまだ強い。クリエイティブの世界にもAIが
「日本には、マンガやアニメの分野で、海外でもヒットするコンテンツが多く、それらを生み出す優秀なクリエイターもたくさんいる。今後さらに積極的に海外へ打って出れば、日本のエンタメ業界は産業としても伸びていくはずだ」(岩崎氏)
「音楽の分野でもIT化が加速している。初音ミクのような音声合成システムで生まれる音楽がある一方、今後、AIが売れそうなミュージシャンを探しだし、さらに売れそうな曲を分析できるようになる時代が訪れるだろう。また、クリエイティブの世界でも、チームラボのように、テクノロジーとアートやデザインを融合して価値を生み出すプレイヤーがすでに登場。さまざまな分野で、エンタメとテクノロジーとの融合が期待される」(水野氏)
■農林水産
ITで「カン」がいらない世界へ。ピンチとチャンスが同時に到来
「農林水産業でも、IT技術の活用が進んでいる。これまでベテラン農家の経験とカンに頼っていた知見を、ITによってデータ化・情報化することで、農業の経験が浅い人でも効率的に生産できるようになった。また、テクノロジーで温度や湿度を徹底管理した室内で、LED照明を使って水耕栽培するなどの取り組みも進んでいる。
農産物の販売でも、テクノロジーが作り手と消費者をダイレクトにつなぐようになった。楽天が運営する『Ragri(ラグリ)』では、個人が気に入った農家に栽培を依頼し、サイトを通じて作物の成長具合を見守りながら、収穫後に作物を受け取るサービスを提供している。ネットを介して作り手と消費者がつながる機会が増えれば、農家のビジネスチャンスも広がるだろう」(水野氏)
■公務員・士業
「公務員なら安心」はもはや幻想。弁護士や税理士も例外でない
「リスクを取らない日本人に人気の公務員だが、北海道・夕張市の例を見ればわかるように、絶対安定の職業ではない。とくに地方は、今後ますます過疎化が進み、納税者も減って、財政が悪化する自治体は増える。日本創世会議による試算では、日本の市区町村の約半分に当たる896の自治体が2040年までに存立不可能となるかもしれないという現実も、頭に入れておきたい」(岩崎氏)
「弁護士や税理士などの『士業』は安定した職業とされるが、すでに判例の収集・分析などの業務はAIに置き換わっている。一方で、ITベンチャーが新規事業を立ち上げるために社内弁護士を求めるケースは増えていて、今後は法律や財務の専門家の中でも、テクノロジーの知見を備えた人材のニーズが増えるだろう」(水野氏)
■ネット
今後も拡大は続くが「国内重視」では取り残される
「今から20年前、ITの世界ではハードウエアが主役で、ソフトウエアはおまけの扱いだった。だが現在は立場が逆転し、アップル製品のような例外を除けば、消費者も『ハードウエアは動けばいい』という感覚になっている。それに伴い、グーグルやアマゾンなどのインターネットサービス企業が急拡大した。この流れは今後も続くだろう。
ただし、日本ではいまだにグーグル級のインターネット企業は生まれていない。日本企業は大規模投資が苦手なことや、『まずは国内で成功してから、海外へ行けばいい』という発想になりがちなのが、小さくまとまってしまう理由だ。優れたアイデアや技術を持ち、最初から海外を狙うベンチャーが出てくれば、日本から世界レベルのインターネット企業が誕生する可能性はある」(水野氏)
■観光
日本の観光業はまだ伸びしろあり。「人のいないホテル」が増える!?
「日本政府は、訪日外国人観光客を2020年に4,000万人、2030年に6,000万人にすることを目標とするが、現状で日本の外国人訪問者数は世界16位。アジアだけで見ても、4位の中国をはじめ、タイやマレーシア、香港にも負けている。裏を返せば、日本の観光業はまだ伸びしろがあるということ。英語を併記した標識を増やすなど、言語の壁を取り払う努力も含めて、本当に喜ばれる『おもてなし』が求められる」(岩崎氏)
「ホテル業界では、ロボットが接客する『変なホテル』が話題。宿泊でも『寝られればいい』という需要が一定レベルで存在するため、『人間がいる付加価値』を追求する必要がない領域では、AIを活用した効率化やコスト削減によって成長していく企業が増えるだろう」(水野氏)
岩崎日出俊(いわさき・ひでとし)経営コンサルタント/インフィニティ[株]代表取締役
1953年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得。22年間の興銀勤務後、J.P.モルガン、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズの各投資銀行でのマネージング・ディレクターを経て、2003年に独立。『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』(SBクリエイティブ)など著書多数。
水野 操(みずの・みさお)[有]ニコラデザイン・アンド・テクノロジー社長
1967年、東京都生まれ。米・Embry-Riddle Aeronautical Universityで航空工学の修士課程を修了。1990年代のはじめから、CAD/CAE/PLMの業界に携わり、大手PLMベンダーや外資系コンサルティング会社で製造業の支援に従事。2004年に独立し、独自製品の開発の他、3Dデータを活用したビジネスの立ち上げ支援などを行なう。著書に、『あと20年でなくなる50の仕事』(青春新書インテリジェンス)など。(取材・構成:塚田有香)(『The 21 online』2018年1月号より)
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