今月に入っていきなり波乱に見舞われたマーケットも落ち着きを取り戻しつつある。VIX指数は先週半ばに20以下に下がってその水準で落ち着いている。米国株も、いまだに荒っぽい値動きだが、前日比の大幅安大幅高はなくなってきた。ダウ平均、SP500は下げ幅の半値戻し、ナスダックは3分の2戻しを達成している。
なにしろ米国の主要企業の株価が強い。いま世界で最強の企業のひとつと言えるアマゾンは初の1500ドル台を一昨日の取引時間中につけて昨日まで3日続伸である。
無論、下げをすべて埋めて最高値更新である。そもそも、この激震の中、たいして下げなかった。まさに「疾風に勁草を知る」である。AI時代の半導体メーカーの雄、エヌビディアも下げをすべて埋めて今週の初めに最高値を更新した。ネットフリックスも1月末につけた高値に再度迫る勢いである。
思い返してみれば、今年初の営業日1月2日はナスダックの史上初の7000ポイント台乗せから始まった。やはり相場の主役はハイテク株だという暗示だったように思う。
春節の連休明けとなった中国の上海総合指数も昨日は大幅高となった。
日本株は午後になるとグローベックスの先物主導で伸び悩む展開が続いている。東京時間のグローベックス先物など参加者が限定的でなんのインプリケーションにもならないが、そういうものに連れ安してしまうところ、まだまだ市場がナーバスで不安定な証拠だろう。
市場が完全に落ち着きを取り戻すにはもうしばらく時間がかかりそうだが、気が付けば来週はもう3月。春は着実に近づいてきている。
この週末は感謝デー。東京ドームシティホールでお目にかかりましょう。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
【関連リンク マネックス証券より】
・円高はどこまで進むか 「1年3カ月ぶりの円高」の意味
・円高懸念と割安・出遅れ感の綱引き 2万2000円台回復を試すか
・プラザ合意の時代は終わった 円高ドル安で困るのは米国民だ
・円高や米長期金利上昇の影響は
・仮想通貨初の国際規制議論: 3月のG20では何が出てくるのか