昨日の海外時間には、パウエルFRB議長が就任後初となる議会証言で、タカ派的な発言をしたことから米長期金利が上昇してドル買いが優勢となりました。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

パウエルFRB議長の初めての議会証言では、年内3回の利上げ見通しが妥当かという質問に対し「経済に関する個人的な見通しは12月以降に強まった」と答えるなどタカ派的な発言で年内4回の利上げを実施する可能性が示唆されました。米長期金利は上昇しましたが、2月後半の付けた2.95%までは上昇していません。また年内の利上げの織り込みも引き続き3回に留まっています。今晩は米・第4四半期GDP(改定値)が発表されますが、前回から下方修正されれば、昨日の米長期金利の上昇が帳消しになる可能性もあります。また、今日EUがイギリスの離脱に関する協定案を発表する予定です。イギリスにとって厳しい物となればポンド売りが強まる可能性があります。

ポンド円で戻り売りを狙う

昨日のNY時間のドル円の上昇で、107.40円で一度107.75円で作ったドル売りポジションを決済(35銭利食い)しました。今晩のEUによる発表で、ポンド売りが強まると予想して、ポンド円で、149.40円付近で戻り売りをしたいと考えます。損切りラインは150円乗せです。

昨日の海外市場動向

欧州時間序盤、発表されたスペインの物価指数が強かったことからか、ユーロ円の買いが優勢となって、ユーロ円は132.10円台まで、ドル円も107.10円付近まで上昇しました。しかしこの買いは続かず、ユーロ円は131.60円台まで、ドル円は106.90円台まで、ユーロドルも1.2310台まで下落しました。

NY時間にはいって、パウエルFRB議長の議会証言の原稿が公表されると一旦米長期金利が上昇してドル円は107.20円台まで上昇しましたが、すぐに米長期金利が低下するとドル円は106.90円台まで反落しました。この間ユーロドルは1.2280台まで下落したあと1.2310台まで反発しています。その後パウエルFRB議長の議会証言が始まると「経済に関する私の個人的な見通しは、12月以降に強まった」「今後2~3年、景気はかなり強い状態が続く」などとタカ派的な言葉が続いたことから米長期金利が大きく上昇し、ドル買いが強まって、ドル円は107.60円台まで上昇し、ユーロドルは1.2220台まで下落しました。この間ユーロ円は131.30円台まで下落したあと131.60円台まで反発しています。

NY時間午後にかけて、米長期金利が上昇したことからNYダウが下落を始め、ドル売りが優勢となって、ドル円は107.20円台まで下落し、ユーロドルは1.2250台まで反発しました。

東京時間に、日銀が25年超の国債買い入れ額を前回より100億円減の700億円としたことから円買いが強まりました。

今日の予定

今日の海外時間には、独・2月雇用統計、ユーロ圏・2月消費者物価指数(速報値)、米・第4四半期GDP/個人消費/GDP価格指数/コアPCE(改定値)、米・2月シカゴ購買部協会景気指数、米・1月中古住宅販売保留指数の発表が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり 慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp