不動産投資には注意すべきことは色々あるが、まずは投資の入り口で道を間違えると負組への道を歩むことになる。そうならないために、初心者が実際に投資をする前に気をつけつけておくポイントがある。また効率的に情報を得るための方法もおさえておくべきだろう。

不動産投資のメリットと言われるフレーズの意味を理解する

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不動産投資のメリットとして、以下の様なキャッチフレーズがある。嘘でも間違いでもないが、何れにも前提条件があり、これらを安易に鵜呑みにするのは危険だ。

(1) 特別なスキルやノウハウは不要
(2) 不労所得を得られる
(3) 節税対策になる

●(1)  特別なスキルやノウハウは不要

不動産取引には専門的な知識が必須だが、実際の業務は知識や経験のある宅建業者が行う。投資した物件の運用もまた、専門の管理会社に依頼するのが一般的だ。その意味では、確かに投資家に特別なスキルやノウハウは必要ないと言える。

しかしそれは、実績と経験があって信頼できる業者がいるという前提。たまたま出会った業者に一任するのはリスクが高い。このため優秀な業者を選ぶためには知識が必要になる。

●(2) 不労所得を得られる

労せず収入を得るには、物件の管理運営を誰かに任せる必要がある。その場合、前途したように専門の管理会社に依頼することになるが、そのためには一定のコストが掛かる。そのコストを節約するとなれば、自ら管理運営をする専業大家になるしかない。

物件の管理運営を業者に任せていても、まったく何もしなくて良いということではない。少なくとも、業者が適正に仕事をしているかのチェックは欠かせない。費用対効果を検証して、場合によっては他の業者に切り替えることも必要だ。

●(3) 節税対策になる

所得税や住民税が節税できるのは、原則として赤字経営が前提になる。サラリーマン大家の場合は、不動産収支の赤字分が給与所得から控除されるので節税になるという構図だ。しかし、そもそも赤字続きでは不動産投資をする意味がない。

初年度は購入時の仲介手数料や各種税金などの諸経費を計上できるので、収益が黒字でも一定の節税効果がある。減価償却の償却期間中は減税になるが、それが永遠に続くわけではない。節税はあくまでオマケであり目的ではないと考えておいたほうがいい。

不動産は時価より低い路線価に基づいて評価されるため、時価と同じ額の預貯金に比べて相続税は安くなる。その上、1棟物の土地付きアパートやマンションは、税法上「貸家建付地」という扱いになるので、概ね3割ほど評価額が減額されるメリットがある。しかしこのメリットは、保有する現金を不動産に替えることが前提となる。

短期的な視点で判断するのは危険

不動産投資を短期的な視点だけで捉えるのは危険だ。どんな物件でも経年に伴って劣化し、修繕費や付帯設備の修理代などが掛かる一方で家賃は下がっていく。この点を見据えて、長期的な視点で計画を立てる必要がある。

家賃保証があっても、同じ額の家賃が保証され続けるわけではない。周辺相場の変動や入居状況によって家賃の値下げを提案され、応じなければ契約解除ということもある。営業マンの美味しい話を鵜呑みにして、この落とし穴にハマる投資家は少なくない。

横断的に知識を得る方法 セミナー参加

不動産投資の経験を持つ友人や知人から知識を得るのも一つの方法だが、初心者の周囲にスペシャリストがいるケースは、まれだ。

初心者が最も気をつける点は、偏った情報にとらわれないことである。そのためには横断的に知識を得ることが肝要で、まず「セミナー」を通じて不動産投資のスペシャリストの話を聞くのは効果的だ。

一口にセミナーといっても多種多様で、区分投資、1棟投資、融資関連、税金や相続、リノベマンションに特化したものなど色々とある。まずは、初心者向きの全般的な講演内容のセミナーに参加するのが無難だろう。

セミナーを選ぶ際の注意点

ネットには不動産投資セミナーを紹介しているサイトが多くあるが、中には営業対象の情報収集が目的のサイトもある。下手に問い合わせしてメールアドレスや電話番号を登録すると、後で執拗な営業をかけられることがある。運営会社の住所や連先などの情報が記載されていないサイトは要注意だ。

初心者向けのセミナーで不動産投資に関する全般的な知識を得た後は、区分や1棟など、投資ジャンル別に特化したセミナーに参加すると良いだろう。

そこで気を付ける点は、区分に特化したセミナーで区分のメリットを鵜呑みにしてはならないということだ。むしろ、そこで説明される1棟物のデメリットを学ぶことの方が大事なのである。

その逆もまた然りで、それぞれのセミナーで説明される他ジャンルのデメリットが参考になる。その上で、それぞれのメリットとデメリットを比較することで客観的な判断が可能になるというわけだ。

より知識を深めるには、専門知識があるプロが務めるセミナーを選ぶことだ。セミナー主催会社の多くが不動産関連事業会社だが、主催会社の社員が講師というセミナーは営業色が強く専門性に欠ける傾向がある。

定期的に開催されているセミナーは、内容が充実していて参加者の満足度が高いと考えられる。とはいえ、人気があるセミナーだからといって数多く参加すれば良いというものではない。大切なのは、順序立てて効率良く知識を深めていくことだ。

Webサイトや書籍による情報収集

その他の情報の収集源は、主にインターネットや書籍がある。ネットは情報量が豊富だが、玉石混交で正確な情報の見極めが難しい。金融や市況などの数値データについてはリアルタイムで情報が得られるので、時事系のコラムやニュースは注視しておく必要がある。

意外と参考になるのが、不動産投資経験者のブログだ。成功談より、むしろ失敗談の方が参考になることが多い。そこから、不動産業者が口にしない“落とし穴”を知ることができるからだ。

書籍でも様々な情報を得ることができるが、これも玉石混交で無闇に買い漁ると無駄なコストが掛かる。そこで、まずネットで口コミやレビューを参考にして購入する書籍を絞り込むのが効率的だ。

書籍からの情報収集で一番のネックは、タイムフラグがあることだ。最新版であっても執筆から出版までに時間を要するので、数値データなどは既に古い情報になっている可能性がある。

その他に、大家ネットワークを活用した情報収集がある。全国の大家がネットワークを構築しているサイトが幾つかある。上手く活用すれば、様々な大家から情報を得ることができる。

融資に関する情報を得るには

不動産投資ローンに積極的な金融機関名や金利などの情報を収集することで、より有利なプランを立てることが可能になる。何故なら、同じ金額の物件を購入しても借入期間や金利によってキャッシュフローやトータルでの収益性が変わるからだ。

融資の可否や条件は、借主の信用状況と物件の積算評価を基に判断され、その基準は金融機関によって異なる。そのため、より有利な条件で融資してくれる金融機関を選ぶことが重要なポイントになる。

物件を販売もしくは仲介する不動産会社には提携金融機関があることが多いのだが、必ずしも好条件の融資が受けられるとは限らない。それを見極めるためにも、各金融機関の情報を収集しておく必要があるのだ。

この手の情報は、ネットで簡単に調べることができる。たとえば「不動産投資に積極的な金融機関」で検索すると金利や借入期間などを比較したサイトが出てくる。大概は金融機関のWebサイトへのリンクがはってあるので、個々に詳細な条件を確認できる。

投資の手法について情報を得る

不動産投資の手法には、区分所有と1棟所有、新築か中古、都心か郊外かといった選択肢が幾つもある。資金力や運営に費やせる労力によって投資手法は異なるので、それぞれのメリット・デメリットについて情報を収集することが大切だ。

ネットには不動産会社や民間のシンクタンク、個人のブログなど、様々な情報がある。市況動向の予測や投資手法に関するコラムなどは参考になるが、一つの情報だけにとらわれると判断を誤る可能性があるので注意すべきだ。

自分に合った手法を選択するには、複数の業者から具体的かつ詳細な情報を収集して判断することが重要になる。その際に大切なのは、自分が納得するまで質問して回答を得ることだ。その際、もし納得できなければ撤退する覚悟が必要になる。

物件情報の情報源を得るには

物件情報の収集についてはネットが入口になるが、ネットで収益性の高い物件を見つけるのは容易ではない。実は、ネットに物件を掲載している不動産会社の担当者とコンタクトを取ることが入り口なのだ。

どの業者もすべての物件をネットに掲載しているわけではない。むしろ、掘り出し物は表に出さないことが多い。そこで重要になるのが、担当者と信頼関係を構築することだ。それによって、公開されていない掘り出し物の情報を提供してもらうことが可能になる。

ここで大切なのは、誠実かつ真剣に物件を探している姿勢を示し、自ら足を運んでシビアな目で物件を確認することだ。そういう顧客には、担当者もそれなりの対応をしてくれる。優良物件を探し出すためには、担当者とのコネクションが必須なのである。(ZUU online編集部)